平成二十年九月十四日(日) 於:宝生能楽堂
シテ 金森秀祥
ツレ 水上優
ワキ 高井松男
アイ 善竹富太郎
ツレ 水上優
ワキ 高井松男
アイ 善竹富太郎
笛 一噌隆之
小鼓 大倉源次郎
大鼓 國川純
太鼓 金春國和
小鼓 大倉源次郎
大鼓 國川純
太鼓 金春國和
後見 三川淳雄 田崎隆三
地謡 三川泉 高橋章 當山孝道 渡邊荀之助
今井泰行 辰巳満次郎 山内崇生 小倉健太郎
今井泰行 辰巳満次郎 山内崇生 小倉健太郎
大藏吉次郎 大藏教義 宮本昇
シテ 中村孝太郎
ワキ 工藤和哉 大日方寛 野口琢弘
アイ 善竹十郎
ワキ 工藤和哉 大日方寛 野口琢弘
アイ 善竹十郎
笛 寺井久八郎
小鼓 住駒幸英
大鼓 上條芳暉
小鼓 住駒幸英
大鼓 上條芳暉
後見 近藤乾之助 宝生和英
地謡 寺井良雄 亀井保雄 登坂武雄 大坪喜美雄
朝倉俊樹 藤井雅之 佐野登 野月聡
朝倉俊樹 藤井雅之 佐野登 野月聡
シテ 佐野由於
ワキ 森常好
アイ 善竹大二郎
ワキ 森常好
アイ 善竹大二郎
笛 松田弘之
小鼓 観世新九郎
大鼓 佃良勝
太鼓 助川治
小鼓 観世新九郎
大鼓 佃良勝
太鼓 助川治
後見 渡邊三郎 水上輝和 東川光夫
地謡 今井泰男 小林与志郎 前田晴啓 小倉敏克
武田孝史 金井雄資 高橋亘 大友順
武田孝史 金井雄資 高橋亘 大友順
どうしようかな~、とは思ったのですが、イキオイで九月の月並能に行ってきました。席は正面席もあったのですが、中央よりも右側だったので、中正面にしました。
(ついでに十月の月並のキップも買いました。もう脇正面しか残っていませんでした)
(ついでに十月の月並のキップも買いました。もう脇正面しか残っていませんでした)
なんだか今日は眠い日?というくらい、舞台の上でワキから地謡から後見まで、皆さん眠そう(というか明らかに寝ている人もいたが…)でした。まあ、そういう日もあるんでしょう。
狂言はいつものようにコメントしませんが、今日もとっても良かった(つまり面白かった)です。
特にスッパの大藏吉次郎さん(ワタシの好みの狂言方の一人)がもう存在だけで可笑し味があってGoodでした。
特にスッパの大藏吉次郎さん(ワタシの好みの狂言方の一人)がもう存在だけで可笑し味があってGoodでした。
「女郎花」は去年、今日の「熊坂」のシテの佐野由於師のシテで一度見ています。(もっと見てるような気もするが明確な記憶がこれだけ)
う~ん、良かったです。
こういう書き方はあまり良くなかったみたいな感じですが、そうではありませんでした。ただ、座っていた中正面の席だと、ちょうど正面でシカケ&ヒラキをする位置がモロに目付柱で隠れてしまうので、堪能しきれなかったというストレスですね。
今回ワキの高井師の出てくる早々の謡が素晴らしく、おおっこんなに素晴らしい謡をする人だったか、と思って期待度がアップしたのですが、途中、何度か絶句?のような状態で、アレレレレ? このところ足の具合など体調悪そうに見えます。
この「女郎花」はなんとなく「田村」と対照的な位置にあるように思いました。「田村」の春爛漫の清水寺の桜 vs 「女郎花」は秋の岩清水八幡の一面の女郎花、前段ではどちらにも名所教えがあるし、後段では両者ともカケリを舞い、「田村」では観音の功徳を称える vs 「女郎花」では邪淫の罪に苦しむ、で「田村」が陽ならば「女郎花」は陰、という構図です。(あくまでワタシの印象だけですよ。)
で、この作品で最も素晴らしいのは地謡でした。後段のカングリ?のところなど、胸にグサっとくる感じで、すぐさまお稽古したい曲にカウントしました。
う~ん、良かったです。
こういう書き方はあまり良くなかったみたいな感じですが、そうではありませんでした。ただ、座っていた中正面の席だと、ちょうど正面でシカケ&ヒラキをする位置がモロに目付柱で隠れてしまうので、堪能しきれなかったというストレスですね。
今回ワキの高井師の出てくる早々の謡が素晴らしく、おおっこんなに素晴らしい謡をする人だったか、と思って期待度がアップしたのですが、途中、何度か絶句?のような状態で、アレレレレ? このところ足の具合など体調悪そうに見えます。
この「女郎花」はなんとなく「田村」と対照的な位置にあるように思いました。「田村」の春爛漫の清水寺の桜 vs 「女郎花」は秋の岩清水八幡の一面の女郎花、前段ではどちらにも名所教えがあるし、後段では両者ともカケリを舞い、「田村」では観音の功徳を称える vs 「女郎花」では邪淫の罪に苦しむ、で「田村」が陽ならば「女郎花」は陰、という構図です。(あくまでワタシの印象だけですよ。)
で、この作品で最も素晴らしいのは地謡でした。後段のカングリ?のところなど、胸にグサっとくる感じで、すぐさまお稽古したい曲にカウントしました。
「班女」は、実はワタシ的には今まで納得がいった(つまり感動した)舞台がありません。けっこう見ているのですが、この恋に狂う女がなかなか難しいのではないかと思うのです。見損なった中に絶品の「班女」がいると思うのですが、ワタシが拝見したのは、不精だったり、生活力がありそうだったり…、ふぅ~、がっかりです。
今回もそういう意味ではちょっと納得できませんでした。
しかし絶品だったのはアイです。善竹十郎さん。この方もワタシの好みの狂言方の一人ですが、シテを叱り付けるところが説得力がある上になんとなく可笑し味があり、大藏吉次郎さんもそうですが、芸以外のその方の個性というか、経てきた人生というか、そういうものを感じます。
今回もそういう意味ではちょっと納得できませんでした。
しかし絶品だったのはアイです。善竹十郎さん。この方もワタシの好みの狂言方の一人ですが、シテを叱り付けるところが説得力がある上になんとなく可笑し味があり、大藏吉次郎さんもそうですが、芸以外のその方の個性というか、経てきた人生というか、そういうものを感じます。
今回は最後の「熊坂」が目当てと言えば目当てでした。このシテを初めて意識して見たのが去年の「藤」なのですが、姿勢が良くない?のか静々と舞う序ノ舞でシテの姿がどうしても(アノ千と千尋の神隠しの)顔ナシに見えちゃったんです。その印象が強烈だったのであまり良い印象が無かったのですが、続けて去年「女郎花」を見て、ひょっとしたら良いのかも、とやや思い、それで今回の「熊坂」は間違いなかろう、と思って観に来たのでした。
(実は今度「熊坂」の舞囃子をお稽古するというのもありまして。)
で、イジ悪く拝見していましたが、長刀の扱いとか型は確かにきちんとしていてキレイでした。でもどちらかと言えば前段の方が良かったと思います。後段は最初の「東南に~」の謡が囃子に掻き消されて聞こえなかったし、ひょっとしたらあんまり声量のないタイプなのかなぁ?と思いました。
(実は今度「熊坂」の舞囃子をお稽古するというのもありまして。)
で、イジ悪く拝見していましたが、長刀の扱いとか型は確かにきちんとしていてキレイでした。でもどちらかと言えば前段の方が良かったと思います。後段は最初の「東南に~」の謡が囃子に掻き消されて聞こえなかったし、ひょっとしたらあんまり声量のないタイプなのかなぁ?と思いました。
しかし「熊坂」ぐらい図々しい主人公はいない、とワタシは思うのです。
普通シテは、前段でそれとなく正体を仄めかし中入り直前に「実は…」と明かす展開が多いを思うのですが、熊坂クンはいきなり僧形で出てくるのにワキに「今日はある者の命日なので弔ってくれ、でも名前は言えない、それにまだ僧に成り立てだから…」なんて言って出てきて、自分の所に招きいれるが部屋には武器だらけ。怪しまれると「ここらへんは物騒でよく盗賊が出る。そういう時には助けに行くんだ。それで皆に感謝されたりすると、自分が役にたって本当に嬉しい」なんて明らかにウソをつくんですね。それでもう夜も更けたから寝たら、と言って消える。後段では、その悪行の有様をイキイキと語るんだけど、最後は牛若にやられて無念、ああもう夜が明ける、後弔ってねオネガイ、と消えるのです。
謡をお稽古したとき「え?反省ないじゃん?」と思いましたが、後段の地謡はイイんですよ~。これをやってみたくてお稽古したので…。
普通シテは、前段でそれとなく正体を仄めかし中入り直前に「実は…」と明かす展開が多いを思うのですが、熊坂クンはいきなり僧形で出てくるのにワキに「今日はある者の命日なので弔ってくれ、でも名前は言えない、それにまだ僧に成り立てだから…」なんて言って出てきて、自分の所に招きいれるが部屋には武器だらけ。怪しまれると「ここらへんは物騒でよく盗賊が出る。そういう時には助けに行くんだ。それで皆に感謝されたりすると、自分が役にたって本当に嬉しい」なんて明らかにウソをつくんですね。それでもう夜も更けたから寝たら、と言って消える。後段では、その悪行の有様をイキイキと語るんだけど、最後は牛若にやられて無念、ああもう夜が明ける、後弔ってねオネガイ、と消えるのです。
謡をお稽古したとき「え?反省ないじゃん?」と思いましたが、後段の地謡はイイんですよ~。これをやってみたくてお稽古したので…。
最後に「熊坂」のワキの森常好さんですが、ワタシはファンだったのですが、ちょっとこの方最近芸が荒れているような気がします。
謡が上手くて美声なんですが、なんだかそれに頼りすぎ?って感じ。なんだかかなりガッカリでした。
謡が上手くて美声なんですが、なんだかそれに頼りすぎ?って感じ。なんだかかなりガッカリでした。