焦げそうでしたが溶けずにすみましたので「時の花」に行って参りました!

地獄巡りをしたオトコの物語の「歌占」がこの日のメインディッシュですが、
辰巳満次郎様


さて「時の花」公演では、季節に合わせた(能楽堂の)装いでお客様を迎える、
オ・モ・テ・ナ・シ!
として、じゃあ裏があるんかい、っていうベタなツッコミは置いておいて、
日頃は殺風景?なロビーが、「満次郎の会」とまではゆきませんが、
季節毎のテーマに合わせて、ディスプレイされております。

近すぎて見えない、ってことがあるように、今この写真を見るまで、
何に、短冊がぶら下がっていたのか、気づかなかった、まり子…


そう「歌占」のシテは、この和歌を吊り下げた弓を持って登場するんです。
ロビーから、もう「歌占」は始まっていたのですよ~

そしてもうひとつのオモテナシは、舞台の上にございました。
「歌占」の後見&地謡の皆さんが全員、麻の色紋付で、涼しげにご登場~!
そもそも、冷房の無かった時代には、夏場の演能はなかったとか。
それでも夏場に演能をする場合には、それぞれが麻の色紋付を着たんだとか。
夏のお揃いの(麻の)黒紋付を着るようになったのは、比較的新しいらしいです。
今回はその、プチいにしえの様子を再現したんだとか…

地謡後列は、概ねグレー系のバリエーション、辰巳満次郎様

前列はちょっとカラフルで奥から順に、
薄桜 うすざくら 白磁 はくじ 女郎花 おみなえし 浅縹 あさはなだ
が並びました。
(確かこんな色合いだったと思うけど…、もう既に記憶もおぼろデス~

いや~、麻の色紋付ってイイもんですね~

さて、当日いただいたプログラムはこれでございました。正方形の二つ折。

さて「歌占」ですが、ナントモ奇妙なお話です。
このところ睡魔に勝てずになかなかブログ更新できないんですが(←言い訳?)
できたら、別テーマでもっと掘り下げたいところであります。(←ホント?)
でも、まり子が書かなくても既にイロイロ書いてくださっている方がいました~

柴田稔Blog 能「歌占」 http://aobanokai.exblog.jp/i32/
(観世流って「歌占」を直面で演るんですね~

また、宝生流でも和久師が「歌占」のツレをなさった時のブログにも、
イロイロ書かれておりますので、合わせて参照なさって下さい~。
で、まり子が気になったのはシテのお役の苗字です。渡会某(わたらえのなにがし)…。
一度死に、地獄に渡って(地獄の

さてこのお能で一番の見せ場は、地獄巡りの様子を舞うトコロ…、なんだとか。
その、クセの詞章がホントにコワ~イ地獄の様が描写されているのです。
斬鎚地獄の苦しみは 臼中にて身を斬る事
截断して血狼藉たり 一日の其中に万死萬生たり
剣樹地獄の苦しみは 手に剣の樹をよどれば 百節零落す
足に刀山踏む時は 剣樹共に解すとかや
石割地獄の苦しみは 両崖の大石もろもろの 罪人を砕く
次の火盆地獄は 頭に火焔を戴けば
百節の骨頭より 焔々たる火を出す
或時は 焦熱大焦熱の焔に咽び
或時は 紅蓮大紅蓮の氷に閉ぢられ
銭杖頭を砕き 火燥足裏を焼く
飢えては鐡丸を呑み 渇しては銅汁を飲むとかや
地獄の苦しみも無量なり 餓鬼の苦しみも無邊なり
畜生修羅の苦しみは 我らにいかでまさるべき
身より出せる科なれば 心の鬼の身を責めて
かように苦をば受くるなり
コ、コワイですね~。何て詞章なんでしょう!
ところで、最近この地獄の有様を描いた絵本が人気なんだとか…

絵本地獄―千葉県安房郡三芳村延命寺所蔵/白仁成昭

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こんなのを直に見せられちゃったら(鬼のガイド付きだったと思うけどな~)
そりゃあ、恐怖で髪も白くなりましょうぞ!
この後カケリという短い舞があるのですが、どの曲のカケリよりも遅く重く、
目をそむけたい嫌悪の気持ちとは裏腹に、目を離すことができない

声も出せずに地獄ツアー中、って状態を表現しているように、思えました。
今回おシテをなさった方は、金沢ではなく高岡のお方とか。(←でも北陸)
高岡と言えば富山県、「善知鳥」の前半の舞台となった立山の地です。
そういえば「善知鳥」も後半は地獄の有様が描写されますが、それは
あくまで、自分自身が堕ちた地獄を描写したもの…、ハンパありません。
しかし渡会某は、人々に伝える為に地獄を見させられたのであって、
幸いにも地獄の責苦を体験してはいません。
その嫌悪と恐怖を舞で伝えるのは至難の技でございます。
今回のおシテ様は、かなり力強く、それを表現しようとしていたと思います。
舞は端正で、キレも素晴らしく…、ただ…、
地獄の恐怖が見所に伝わったのかというと、どうなのかなぁ、と。
いや、今回はお勉強したからそう思うのであって、以前に別のおシテ様で見た時は後半が全く印象に残っていないのですから、如何に「歌占」が難しいのかと。
恐怖っていう感情は内に向かうものであるのに、それを伝えなくてはならない…。
なんだかさ、むしろ舞なしの居グセなんかの方が伝わりやすいかもしれない~。
(今回、地謡もパワフルで良かったしね~

そんな風に思って観ていた、まり子なのでゴザイマス。
(作者…十郎元雅 and/or 世阿弥元清に、文句つけるオンナですぅ~

しかしまり子はまだ、辰巳満次郎様

辰巳満次郎様

公演があったなら、九州にでも(マタ)行っちゃうかも~

ありりり?
「歌占」ばかりで、最もご報告しなけりゃならない「能楽余話」のコトがぁ~

しょうがないっす、それは次の記事で…。
大事なお知らせもございますの。
では、また~


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