昨日は、能「隅田川」についてイロイロおさらいした訳ですが、
今日は、その能「隅田川」から生まれたオペラについて、勉強したいと思います。

イギリスの作曲家、B・ブリテンが作った「カーリュー・リヴァー」は、
「隅田川」を元にして作られた作品なんだそうですが、
知識としては知っていても、どんな曲なのか知らず…。
今回、思い切ってアマゾンで「カーリュー・リヴァー」を購入してみました!
Curlew River/John Shirley-Quirk

¥1,992
Amazon.co.jp
CDよりもMP3ダウンロードの方が安いのでソッチにしましたが…。
ハイ、早速、聴きながらこの記事を書いておりまする。
そもそもまり子は、B・ブリテンという人のオペラに食指が動かなかったので、
詳しく調べてみようという気さえ起こらずにいましたが、
今回調べてみたら、カーリュー(Curlew)って、ナント鳥だったんですよ!
ダイシャクシギ(大杓鷸、curlew、学名 Numenius arquata)は、チドリ目シギ科に分類される鳥類の一種である。その名前は大きく下に反ったくちばしに由来している。

北欧から中央アジアにかけての内陸部で繁殖し、西欧からアフリカ、中東、インド、東南アジアの沿岸部で越冬する。
全長は60cmほどで、日本に渡来するシギ類では最大級の大きさである。長い脚とくちばしが特徴で、頭から翼までの羽毛は褐色の細かいまだらもよう。
ほ、ほ~う、そういうことでしたか。
なんだか興味がわいてきました。それで早速、鳴き声もチェ~ック!
http://mobile.suntory.co.jp/eco/birds/encyclopedia/45.html
何だか、ユリカモメよりももっと悲しげな鳴き声です。
さて、話を戻します。
「Curlew River」をダウンロードはしたものの、解説書とかがある訳でなし、
歌から英語の歌詞が聞き取れる訳でなし…。
なので、ウィキペディアに頼らざるを得ませんで…

(ウィキペディアさん、ありがとうございます!)
「カーリュー・リヴァー」はオペラだと思ってましたが、本当のところは、
普通のオペラでなく、教会上演用オペラだとのこと。確かに!
それで歌手は男性ばかりです。

こんな感じで、とことん能の形式に則って、
狂女(テノール) … シテ
渡守(バリトン) … ワキ
旅人(バリトン) … ワキヅレ
修道院長(バス) … 間狂言(能にはないが、語り手の役割で登場)
少年(ボーイソプラノ) … 子方(基本的には歌声だけ)
8人の巡礼者(コーラス)… 地謡(テノール3、バリトン3、バス2)
いや~、ホントびっくりです。
だって、狂女(母親)はてっきり女性が演るものとばかり思ってましたから。
それで、さらに驚きがオケ?(楽器)の構成です。
フルート(ピッコロを掛け持つ)
ホルン
ヴィオラ
コントラバス
ハープ
パーカッション(5個の調律されていない小太鼓、5個の小さな鈴、1個の調律された銅鑼)
小型パイプオルガン
さらにさらに驚いたのですが…、この作品には指揮者がいないんですって!


奏者たちが自身でコントロールできるよう、スコアには各所で、
どの楽器がその時の音頭をとるのか記載されているんだそうです。
また場面により演奏する楽器の組み合わせ(グループ)を変えたり、
グループ毎に演奏テンポを変えたり、って複雑!
でまた、グループ間で同期を取るための「カーリュー・サイン」ってのがあって、
同期を取るまでアドリブ(繰り返したり伸ばしたり)で繋ぐとか…



ここまで!ブリテンは能から強く影響を受けたんですね~。
ただ、能にはない弦楽器や小型パイプオルガンが配されていますが、
特にハープは日本の琴の演奏から、小型パイプオルガンは雅楽の笙の演奏から
強くインスパイアされたらしいです。
ブリテンくん、笙のお稽古までしたらしいです。(お稽古してる写真が残ってる)
芝居の進行は能「隅田川」とほぼ同じですが、ラストがちょと違います。
能では、わが子の面影(亡霊)が朝の訪れと共に消えて終わるのですが、
「カーリュー・リヴァー」では、わが子の声が母を慰める?のです。
Go your way in peace, mother...
いわゆるこれが、救いがある、ってやつ?
この時、狂女は癒され、その狂気は消え去る…、んだそうで。
ここらへんが、西洋との考え方の違いなんでしょうかね~。
つまり、余韻として敢えて何も語らずに終わる…、んじゃ、
西洋の観客には納得がいかないから、こういうラストになったとか…。
そして、いろいろお勉強すると、やっぱり映像が見たくなりまする。
やっぱり曲だけじゃ、モノ足りないわ。
で、YouTubeを探してみると、結構あるもんです。
そして、演出も様々!
なんとフルバージョンもありました!
その中から、まり子のチョイスが、こちらです。
一番のクライマックス、わが子の墓でわが子に出会う場面です。
(違う演出のフルバージョンはこちらで。1時間過ぎぐらいがクライマックス場面です。)
http://youtu.be/InBawPCqN1c
ここまでの作品を作らせちゃった、能「隅田川」って…。
おそるべし能パワー!
最後に、さらにさらにネット検索していると「カーリュー・リヴァー」は国内で、
比較的最近上演されていました。(興味がないと、ホントにアンテナに引っかからないのね~)
2012年10月28日に東京藝術大学の奏楽堂にて、
能「隅田川」と「カーリュー・リヴァー」を連続上演
2013年3月22日・23日に神奈川芸術劇場にて、
「カーリュー・リヴァー」と舞踊「清元 隅田川」
何でも2013年は、ブリテン生誕100周年だったとか…。
またやらないかなぁ、場所は紀尾井ホールがいいと思うんだけど…。
モチロン、能とのカップリングで、宝生流の「隅田川」よね!
シテは…、おわかりでしょう?
辰巳満次郎様


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