思い切って能楽書林の実店舗?まで足を延ばして「能楽タイムズ」と「花もよ」を求めて来ました。
能楽書林は前に仕事で通っていたトコロのランチ探し圏内の、靖国通りを挟んで、わんや書店とは100メートルも離れていない場所にあります。
ある日のランチ探しで偶然発見!
かなり感動した記憶が…。
しかしこの辺り、最後まで残っていた古い古い建物もすっかり更地になって再開発中…。
ちょっと行かないとこうまで変わるのか、と思うぐらいの変わりようです。
そういえば、わんや書店だって自社ビルの1F店舗をストーブ料理「BOWL HOUSE」というまんまな名前のカジュアルダイニング?なんかにしちゃったし…。
社長みずからがお店にでてるって、本業はどうなのよ…

ま、わんやの話はさておき!
能楽書林さんも店構えなんかは元わんやとそうは変わりない…。
初めて購入する「能楽タイムズ」と「花もよ」もどこにあるかわかんなかったし…。
お店の人に声をかけてやっと…、目の前にありました…。
ご存じない方もいらっしゃると思うので、写真は能楽タイムズ(新聞でした!)の5ページ目を開いて「花もよ」を載せたトコロ。
へぇ~、タイムズなのに月刊なんだ~、とちょとツッコミを入れてみる、まり子。

「花もよ」は月刊「能楽ジャーナル」が休刊になった代わり(というのも変ですが)創刊された能楽ファンの為の雑誌です。
表紙を開くとその裏には、成田美名子氏(「花よりも花の如く」の作者)の美しいイラスト

そう、今は藤の季節…。こんな感じで藤の精が出てきてるのかもしれませんねぇ…。
雑誌全体の雰囲気はモノクロでレトロ感が漂うものですが、さらっと中を見た感じが「能楽ジャーナル」チックな構成…、と思えるんですけど…。
個人的には、近藤乾之助師の「芸談」が嬉しい

さて、月刊の能楽タイムズを買ったのは、4月6日の記事「日韓伝統文化交流『能楽&韓楽』を観たオトコの熱い感想 (Facebook より転載)」の飯塚恵理人氏が書いた能評が掲載された、というお知らせをいただいたので、現物をこの目でぜひ、見たかったからであります。
能楽タイムズは出版元が観世系なので、内容も圧倒的に観世系の情報が多い…です。
そしてお目当ての飯塚恵理人氏の記事の前に、おおっ!
辰巳満次郎様

「匂い立つ春」というタイトルの中のいくつかの能評のひとつでしたが、写真はナシだけど…

(筆者は村瀬和子氏。)
せっかくなので以下に全文をご紹介いたしましょう!
『国栖』
名古屋宝生会定式能。名古屋能楽堂。三月十八日。辰巳満次郎。
骨太く豪快で、天武王朝を予祝するスケールの一曲となった。皇位継承争いの壬申の乱を背景に、史実とは逆に、天智天皇の子大伴皇子に追われた清見原(天武)天皇が国栖の老夫婦に隠まわれ、土着の民の根強い自身と実力と誇りによって、難を逃れる。後半は、「王を蔵す」蔵王権現が、霊験を表す舞を舞い、天武王朝という絶大な王政の誕生を寿ぐ。
前半、吉野川を舟で下る老夫婦。宝生流は舞台脇正面に舟の作り物を出すが、名古屋能楽堂の長い橋掛かりを活かして、距離感を出すことは不可能だろうか。
老翁・満次郎は我が家に紫雲たなびく瑞兆を見て「姥や見給えへ」と、既に後シテ蔵王権現の威厳を備えた剛毅な一声で舞台を決定づけた。
焼いた鮎でもてなし、天皇の残された鮎を見ずに放って占う「鮎の段」では、鋭く面を切り、激流を鮎がぴちぴちと跳ねた。
舟の作り物が有効に働き、舟を伏せて追手から清見原天皇をかくまい、その舟の前にどかっと腰を下ろす。片膝立てたふてぶてしさに、国栖人の心意気を誇りと自信を見せて、<あの狼藉人を打ち留め候ヘ>、と渾身こめた打ち合わせ。追手をたじろがせる老翁の気骨とおとぼけは圧巻だ。うつぶせの舟の中で我慢している子方の片桐賢のけなげさ。天女舞の辰巳和磨の可憐さ。老翁の化身蔵王権現が、古代史のロマンを香り高く舞い働き、息つく間もない面白さだった。地謡にあと一息の力強さが欲しかった。
そうでしょ、そうでしょ!

鮎がぴちぴち
どかっ
ふてぶてしさ
追手をたじろがせる老翁の気骨とおとぼけ
イイ


う~ん、こういう風に書かなくちゃいけないのね、もしかしたら…。
もっと勉強しなくっちゃ、いけませんね。
おっと、肝心の飯塚恵理人氏の能評が書けない…。
それは、次の記事にいたします。
