第三回「満次郎の会」まで、あと12日でございますっ!
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さて、今日は敬老の日…。
以前は9月15日と決まっていたものを、ハッピーマンデーとやらで流動的&強制的に連休になってしまってからは、祝日の意味はほとんどなくなってしまったようにも思えますなぁ。
ま、それも置いておいて…。
今日のテーマは、国立劇場開場45周年記念 九月文楽公演「寿式三番叟」の感想ナドナドでございます。
この「寿式三番叟」ですが、そんなに頻繁にでる演目ではございません。
やっぱり何かの節目とか、お祝事とかがないと、登場しない演目なのです。
ここにプログラムから解説を引用いたします。
国土安穏、天下太平の願い、「がんばろう日本」の祈りを込めて上演いたします。
また国立劇場は本年開場四十五周年を迎えます。この節目を寿ぐ心も併せております。
『寿式三番叟』は、能楽でも特別な格式をもつ『翁』を人形浄瑠璃に受け継いだ作品で、
祝賀には欠かせない祝儀曲。国立劇場開場記念の第一回文楽公演でも上演いたしました。
重厚で儀式的な義太夫の演奏で始まり、千歳の爽やかな舞、翁の荘重な舞、
そして二人の三番叟により賑やかな舞へと進む、華やかで格調高い作品です。
ということなんですね。
それにさ『翁』の人形を使うのは吉田蓑助、浄瑠璃は竹本住太夫の両人間国宝ですぞ!
だからとにかく今回は何が何でも行くぞ~、とココロに決めて、チケットを確保いたしました。
ところでまり子がこの『寿式三番叟』を知ったのは、もうかなり昔…。
今は亡き吉村流の四世家元吉村雄輝が人間国宝の認定を受け、その受賞パーティに、このまり子も吉村流の末席に連なる一人として参加させていただいた時のこと…。
このパーティの余興で、この『寿式三番叟』の三番叟(鈴ノ段)部分だけが演じられたのです。
もうもう、強烈な印象!
それ以来、何かあったらまた三番叟観たい!とずっと思っていた訳なのであります。
(その時の人形を遣ったのは、吉田蓑助&桐竹勘十郎、だった…カナ?)
なんせ、三番叟の鈴の段のところの、三味線が軽快で心地よいのよ~。
CDまで買ってるし~。
邦楽舞踊シリーズ 義太夫 二人三番叟(寿式三番叟)/オムニバス

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さて次に『寿式三番叟』を国立小劇場で観たのは、三味線の鶴澤寛治の襲名披露の時…。
確か、お孫さんの鶴澤寛太郎もその時がデビューだった。
でもまだこの時はお能を観たこともない時期で、まり子の興味はもっぱら三番叟…。
なので今回の観賞は、謡&仕舞のお稽古をするようになって、お能もガンガン観るようになって、それも毎年「翁」を観るようになって、初めての『寿式三番叟』なのであります。
やっぱりオリジナル(能)を知ってちゃんと観るって違いました。
知らない=存在しない、ですもんね。
『寿式三番叟』は能の「翁」をベースとしているので、ちゃんと能で『翁』がやることは全部、お人形もやります。

千歳は烏帽子に紅白の梅を付けて、鮮やかな紫の(梅が枝模様の)素襖姿。
色男です。
面箱を持って最初に登場。千歳と面箱持ちの両方の役割をします。
続いて、直面の翁。ははは

そして二人の三番叟が続いて登場します。
翁は深々と正面でお辞儀をします。
そして、千歳の露払いの舞、翁が面をつけて「とうとうたらり」…。
基本的に、ぜ~んぶ、おんなじ。
辰巳満次郎様

そして、お待ちかねの二人の三番叟!
揉ノ段が終わると、面箱持ちと黒尉の面を付けた三番叟とのやりとりがあるんですけど、お人形は黒尉の面はつけません。
かわりにもうひとり、色黒の三番叟(写真の一番左下の根性ありそうな色黒のお人形、又平、だそうです)が、色の黒い尉殿、と呼ばれてました~。
そして、二人の三番叟が千歳からそれぞれ鈴をもらって、舞い始めるのですが…。
これ、同じことを人間がやったら、絶対途中でへばっちゃう、ってぐらい(特に鈴ノ段)ひっちゃきに舞うのです。
これこれ!
好きなんだよね~!
途中、先に色黒クンの方がバテバテになって、橋掛リの欄干にもたれてゼーゼーしていると、色白クンがやってきて「そんな根性ないことでどないする!」と手をひっぱって引きずるように舞台に戻します。
色黒クンはそれからもうやけくそ?のひっちゃきで、鈴を振り種を蒔く仕草で舞いつづけますが…。
その間、色白クンはちゃっかりと休憩したりして…。
そんな演出もお楽しみなんです。
この間六丁の太棹の三味線が、ベベレケ ベベレケ ベベンベ ベンベン、とず~っと弾き続けます。
ふと脳裏に、大津波の為に稲を植えられない田圃の風景が浮かび、今目の前にいるはずの三番叟のお人形がそこにガンガン種を蒔いてる光景になりました。
能の「翁」が神事ならば、この『寿式三番叟』も当然神事…。
きっと復興できる…。

そんな思いが胸に迫って、思わず涙がこぼれそうになった瞬間でした…。
