試演 復曲「雷電」の感想ナド…は、8月中に! | 能楽師 辰巳満次郎様 ファンブログ

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まり子です。

遅ればせながら、先週の試演能 復曲「雷電」の感想をまとめておきたいと思います。

この記事を読む人ならば、元々の曲「雷電」が宝生のみの曲「来殿」になったいきさつなどはご存知と考えて、ここで敢えてくどくど書くのはやめますね。

宝生流の偉大なパトロンであった加賀前田家の、遠いご先祖様が菅原道真(の係累?の者)だったという理由で、後半を改作したという現行の「来殿」…。
復曲「雷電」との差を観てもらうために、わざわざ舞囃子として後シテの部分を番組にする、っていうのはかなりオシャレ?ではありませんこと?

なのでまり子はフンパツして「来殿」の謡本と宝生機関誌(「雷電」特集!)をわんやで購入いたしました。

で、その舞囃子なのですが、単独で拝見したせいか、いっそう普通の早舞物の舞囃子にしか見えませんでした。
パターンとして「融」ですかねぇ。
でも「融」の方がずっと凝っているしなぁ…。
まあ、天神様としてやってきた菅原道真公が、寿ぎ&歓びの舞を(自分がちょっと前まで雷雷落としまくっていた内裏で)舞うっていう設定だし、凝ることはできなかったのかもしれません。

ところで、まり子はどうも「来殿」をちゃんと観た記憶がないのです。
澤田師のシテで観たような気がかすかにするのですが、前シテの記憶が全くございません…。作った記憶なのだろうか…。
う~ん、ヤッパリちゃんと記録に残しておかなくちゃダメですねぇ。

それはさておき、復曲「雷電」ですが、やっぱりこっちの方が、流れが自然でした。
前半はいままでどおり、後半のみが復元部分です。
前半は、幽霊となった道真が恩師(比叡山延暦寺の座主、法性坊僧正)を訪ねて登場します。
クロガシラに面は怪士、雰囲気は「鵺」の前シテと似ています。
(ただ、菅原道真なので、ずっと気品がなくてはなりません。)

道真がなんでわざわざ恩師を訪ねて行ったかというと…。
死して怨霊?となれた道真は、内裏に巣くう自分を藤原時平を筆頭に、自分を陥れた者逹にキッチリ復讐する決意!
しかし、恩師を危険な目に合わせる訳にはいきません。
『主従は三世』なのです。
だから朝廷から呼ばれても行かないでください、とお願いする道真!
しかし、朝廷=天皇から依頼されたら三度目の依頼は断れないという法性坊僧正。
こっちも『主従は三世』なのです。

するとここで、道真クンは逆ギレ!
供物のザクロを噛み砕き、火炎メラメラを吐いて消えていった道真クン!
オイオイ『主従は三世』じゃないのか…。
怒りプンプンに目が眩んで、そこんところは自分の都合優先なんですね。

と、ここでなんでザクロなんだろう、と疑問に思ったまり子。
ザクロと言えば鬼子母神の話が有名です。
ちょっとネットで調べてみましたが、コレ、という納得の記述はありません。
う~ん、勝手に推測してみるか…。

ザクロ(柘榴)って、なんと手榴弾のモデル?らしいんです。
だから「榴」の字が同じなんだとか…。
そしてザクロの実がはじけると中の一粒一粒は、真っ赤なシューシィな果肉に包まれた硬いタネ!
室町時代に手榴弾があったとは思えませんが、一粒一粒が、血にも見え、炎メラメラにも見えたのかもしれません。

さて後半です。
辰巳満次郎様ドキドキの解説にあったように、舞台には一畳台がふたつ用意されます。
ひとつは地謡の前、もうひとつは脇正面、と二台が向き合うように、正面から見ると大きなゲタの歯みたいにみえます。
(他流の現行「雷電」もこんな風に一畳台を使うらしいですね。)

ワキが(祈祷をするので)正装で登場、地謡の方の一畳台に着座します。
すると、揚幕の向こうから、激しい足拍子が!

あれはかなりチカラいれて踏んでるなぁ~、と思いつつも、効果バツグン!
稲妻雷バチバチ、地上にガンガン雷雷を落とす、内裏に近づく黒雲が見えるようです。

そしてっ!
出ました~!
赤頭に小飛出の面をかけた、菅丞相の登場~!

おお~!
復曲「雷電」の後半は、まるで「舎利」に「殺生石」をちょっとミックスして「車僧」のエッセンスを足した感じです~!
スペクタクルな展開です~!

おシテの宝生和英師がキビキビ動いて小気味よいグッド!ですね~。
この二つの一畳台を、シテとワキが追いかけっこをしているように、行ったり来たりします。

地謡も、大音響叫びのフルパワー!
前列の辰巳満次郎様ドキドキが地味にみえたぐらい、後列の地謡はテンションアップアップアップですっ!

まり子、酔いお酒ましたっ!

こういう展開は、こういう地謡でなくっちゃ!
この日の地謡はロックでしたわよ~!
だったらシテがダイブ星しても良かったかもしれない…。(←ウソ)

そして追いかけっこの最後に、尊き帝に
無実を認めさせ?「天満大自在天神」の位を贈られて、歓びのうちに菅丞相@雷神は黒雲に乗ってエンディングを迎えたのでした。

う~ん、誰が観ても、ライデンは「雷電」が相応しいでしょう!
また観たいものです。

しかし、ふとまり子は考えました。
「来殿」もあまりに唐突に貴公子姿の菅丞相として出てくるから不自然なんじゃないのかと…。
後半を入れ替えたのに、間狂言をそのままにしているから(今の)観客が納得できないんじゃないかと…。

そう。

間狂言を、あの狂言「神鳴」のカミナリ様の格好をした、手下のカミナリ様を数人だして、
「我々は道真公に仕え奉る、新米のカミナリでござる」
とかなんとか言っちゃって、ひとしきり、ピカ!ガラガラ!をやってから、道真公が天神の位をいただいたので我々は御用がなくなったから帰るぞ、とかなんとか言って引っ込むような替間も作っちゃえば、「来殿」もオッケーなんじゃないかと…。

うん、この新作の替間付きでの「来殿」も観てみたいナ~!
そうなってくれると、一粒で二度美味しい、宝生の「ライデン」になるのに~!

と妄想に近い考えを抱いてしまったまり子なのでゴザイマス。


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