さて、渋谷のセルリアンタワーの地下にある能楽堂で、『NOH-AGE・鵺』を観てまいりましたので、そのご報告をしたいと思います。
結論から先に申し上げれば、スゴクヨカッタ、です。
渋谷の夜のオトナの楽しみを満喫した、という感じです。
では細かいところをボチボチっと。
まり子は会社を比較的早めに出て、都バス&地下鉄で渋谷に向かいました。
和久師ブログによれば、ご来場者には、もれなく涼を呼ぶ物(まさに鵺的な)が配られるそうなんですが、それはね、ウチワでした~!
お帰りの際、決して渋谷の街にお捨てにならないようお願いいたします、と書かれていたのも納得…

ま、それはさておき、会は20時ぴったりに出演者全員(モチロン和久荘太郎師は除く)による東日本復興祈願の連吟「羽衣」から始まりました。
全員って、ホント全員で、一番最後に辰巳満次郎様

「羽衣」はキリの部分でしたが、この部分の謡はホントに美しく、さらにピチピチの若手タチに辰巳満次郎様

本題の「鵺」は、構成としては「鵜飼」に似てました。
旅の僧が摂津の国蘆屋の里にたどり着き、トコロの者(狂言方)を読んで宿を借りたいというのだけれど、禁じられてるからダメと断られます。
でも川崎の御堂なら自由に泊まれるけど、バケモノがでるんだよ~、と教えられて川崎の御堂で夜を明かすことにします。
ワキ僧がなんだか出家したばかりの新人で、夢と希望を持って「迷える子羊を救うぞ~」と肩に力がはいっちゃってる感じ?
人間の幽霊だったらドン引きのタイプです。
しかし本日のシテは「頭は猿、尾は蛇、手足は虎」という鵺というバケモノ。
しっかり登場いたしました。
前シテの和久師、グッドです。
歩幅小さめにゆっくりと登場!
これだけで、このバケモノの位置づけが良くわかります。
まり子の「鵺」の解釈としては、自分じゃちょっとイタズラが過ぎたかな~ぐらいだったのに、予想以上の罰をくらってしまいショックに打ちひしがれているバケモノのお話、なんです。
まあ人間ならぬ異形のバケモノだったのが身の不運、というところでしょうかね~。
(だから、まり子的には鵺に同情しているので、ございます。)
前シテは、自分の正体を明かし、討たれた時の様子も語りつつ、夜の川に消えてゆきます。
和久師、熱演!
弓を射る型、弓が腹に当たった型、どれも力が入ってて決まってます!
後シテも同様、かなりお稽古を積んだに違いないという、かなりカラダに無理のあるところまで型を見せます。
これ、ヘタしたら転ぶ、ぐらいまでカラダを使っての迫力!熱演!
う~ん、披キの舞台を除いて、これは和久師ベストの舞台ではないでしょうか?
ただ、後シテのバケモノとしては立ち姿(の足元)がキレイすぎるな~、と感じたまり子。
「鵺」の後シテはカッコよすぎちゃダメでどこか小心さ&卑屈さが欲しい、と思っているのです。
だからこそ、最後の和泉式部の歌を引いた地謡、
暗きより 暗き道にぞ 入りぬべき はるかに照らせ 山の端の月
が鵺の哀れさを強調する、と思うのです。
でもね、こんなこと書いてても、ホント、ヨカッタんですよ!
これも一期一会の舞台、観られることが出来て、シアワセです。
そして和久師の熱演を支える辰巳満次郎様

そのために脇正面に陣取った(というより正面に席が既に無かった)まり子、ゴキゲン!
しかし、辰巳満次郎様

思ったよりオトナシイ感じで、ちょっと不満でございます。
辰巳満次郎様

ところで和久師ブログに、また、額に「肉」とか頬にナルト模様など、落書きしないよう重ねてお願いいたします、と書いてあって、一体どういう意味なんだろうとしみじみ考えていたのですが、この記事を書くにあたってこのウチワをじっくり眺めて、ハタ、と気付きました。
これって、こゆこと?
ふっふっふ。
書いてあったらやってみようと思うのが人情ではござんせんか? ねぇ!
