続いて5月度五雲会の大一番、「石橋」の感想を書いてみたいと思います。
若手能楽師がオトナへの通過儀礼として披露(披キ)せねばならない「能」達の、始めの一歩がこの「石橋」であります。
披キと言えば、普通シテ(後半の獅子)のことを指すのですが、「石橋」ではツレ(前半の童子)も若手の若手にとっての披キなのであります。
だから「石橋」は、ダブルで披キのおめでたい演目だったのです。
シテの澤田宏司師、おめでとうござりまするっ
ツレの金森隆普さん、おめでとうござりまするっ

ツレの金森隆普さん、おめでとうござりまするっ

さて「石橋」に関しては、なるほどがってんのポッドキャストで辰巳満次郎様

前シテといっても過言でないくらいのツレ(去年、満次郎様


声は宝生和英師に似てるかな、と思いました。
(スミマセン。単独で謡ってる時にあまり遭遇してないので…)
想像したよりも、重めで太めで筋肉質な美声です。
ただ、かなり緊張されていたように見えたし、やや声量が少なかったかい?
本来はもっと声のでる方じゃないかなぁ、とそれだけが残念ございました。
しかし、また一人、楽しみな若手が階段をひとつ上ったかと思うと、
おネエさん(←厚かましっ

7月の「土蜘」は要チェックね。
地謡は重く重く、と満次郎様

意識して味わうことはなかった(できなかった)けれど、今回はタップリ堪能
できました。
辰巳満次郎様


さて後半、いよいよサワヤカ澤田師の獅子(あれ早口言葉みたい?)の登場です。
脇正面だと、揚幕を巻き上げて獅子の下半身?を見せてくれる所をぐい~っと首を
ネジって振り返らねばなりません。これだけがね~、脇正面の欠点よ。
で、幕が一度下りて、バッと上がると、ダダダダダァっと赤頭の若獅子が登場しましたっ。
そして、一ノ松の辺り(つまりまり子席のすぐ近く)で、欄干に足をかけて、
頭を振るように見所を見回します。
きゃ~、カッコイイ~

「サワヤカ」なんて軽い形容詞は吹っ飛びました。
颯爽、でもまだ軽いな~。でも豪壮っていうほど武張ってなくてさぁ~。
う~ん、ボキャ貧な、まり子…。
とにかく全体的に、体イッパイに雄々しく荒々しく舞う獅子なんだけど、
どこかきっちりコントロールされているというか、そこがオトナというか、
そこの加減が110%かな、と思った次第なのです。
例えば、A級ライセンスを持つプロドライバーが首都高を余裕で110Km超で走る、
みたいな?
(東名で140Km超とは訳が違うぜ、って感じ?)
コレが辰巳満次郎様

制限速度をちょっとだけオーバーしながらクラクション鳴らして幅寄せしてくる?
感じかなぁ~。
いや~ん、まり子萌え萌え~っ(←大バカ



おっと、大変失礼いたしました…。m(_ _;)m
とまあ、澤田師の獅子はそういう感じでしたが、地謡前列の面々(多分後列も)は
澤田師の一挙手一投足を鋭い目で追っていました。(ドキドキ…)
皆が仲間で皆がライバル…、を目の当たりにしたように思いました。
キリの謡もパワー全開!
あれだけの圧倒的パワーの謡を聴くのは快感!
「石橋」はやっぱりイイなあ~。
素晴らしいツレと、素晴らしいシテと、素晴らしい地謡の、納得の「石橋」を堪能した
まり子でございました。
