そうこうしている内に、土曜日は12月の五雲会、今年最後の宝生会オフィシャルの演能会です。
演目は、「龍田」「生田敦盛」「天鼓」「猩々」の4本立て♪
なるほどがってんポッドキャスティングに取り上げられていることだし、「龍田」は必見ですね。
ところで、以前の記事に書いたように、11月初旬に奈良に行く用事があったまり子は、
「龍田」の謡のお稽古もしていることだしぃ、
12月の五雲会に(確実に)麗しい「龍田」がでることだしぃ、
なかなか興味のわきづらい演目だしぃ、
またしても濃いめの「だしぃ」で、だからこそ龍田神社に行ってみようと、思い立ちました。
実を言えば、春に斑鳩の地で辰巳満次郎様の「マクベス」が上演されるので、いかるがホールにどうやって行ったらいいのか等をネットで調べていた時に、実は龍田神社が法隆寺からメチャクチャ(地図の上では)近いことに気づきました。
それで、11月に行くことだし、あわよくば紅葉を堪能してこようと、その時から「龍田探訪」をじんわりと計画しておりました。
そしてさらに調べてみると、能「龍田」に出てくる「神の社」候補が二つあることに気づきました。
いったいドッチだ?
JR王寺駅を中心にご説明すると、大阪寄りの三郷(サンゴウ)の地に龍田大社、法隆寺寄りの龍田の地に龍田神社があります。
後者の方が、三室の山にも、竜田川にも近いので、能「龍田」の舞台としては、後者ではないかな、と思います。
言い伝えに寄れば、その昔、聖徳太子が、法隆寺建立の地を竜田川に沿って探していたところ、どこともなく白髪の老人が現れて「ここから東にまだらのハト(斑鳩)が群棲している郷がある。そこに伽藍を建てれば、仏法が末永く興隆するでしょう」と告げたとか。
その白髪の老人こそが、龍田明神の化身でしたが、三郷の地の龍田大社(本宮)は遠いので、斑鳩に龍田神社を祭って龍田明神をお迎えし、法隆寺の鎮守となしたと伝えられているそうです。
ならばやっぱり竜田川に近い龍田神社が、とりあえず能「龍田」の舞台でありましょう。

聖徳太子には白髪の老人として現れた龍田明神も、お能では謎の?美女として登場。
紅く燃えるような紅葉がご神木の龍田姫(明神)は古歌を二つ引用して、旅の僧を戒めます。
立田川もみぢみだれて流るめり
わたらば錦中や絶なん
龍田川紅葉を閉ずる薄氷
渡らばそれも中や絶なん」
女子ならば、わかるはず…。
一年で一番美しく色づいた紅葉…。
木に留まっていて美しい紅葉は、散って川面にたゆとうていても美しい。
ましてやご神木、川面を覆い尽くすほど、それが「錦」と見紛うほど、それはそのまま神の衣…。
その美しい神の衣を踏ん付けてやってくる無神経な者をアナタは許せマスか?
女神様は気難しいのです。
氷が張れば、錦の上に薄く紗を掛けたよう(まさに紅葉襲ね♪)になり、これまた別の装い。
紗の襲ねを引き裂くような行為も、龍田の姫神様には非礼となるのです。
「龍田」はそういう、お能です。
これからひと時、晩秋の紅葉を…、いえいえ2010年の最新モードをまとった美しい姫神様を賞賛しに、行ってまいります。
まり子