
八朔でしたね。
今日は熱海のMOAで薪能だったはずの満次郎様…。
あまりにお忙しそうなので、ちょっとおカラダは大丈夫かと
心配になってしまいます。
さて、七月に始めたこのシリーズ、あまりに間が空いたので、
忘れられちゃっただろうな~、とは思いますが、
まり子は細々ちみちみと、書いては消し消しては書き、しておりました…。
できたら七月中にケリをつけたかった…、のに八月になってしまいました…。
まあ…、期待していらっしゃる方はほとんどイナイ、とは存じますが…。
やっとこ完結編も長くなっちゃったので、前後に分けてお送りします。
それでは、まり子チャレンジ新作能「六条」推理バージョンのはじまり、はじまり~。
(ナンチャッテ詞章と粗筋が入り乱れてて、スミマセン。)
興味のある方は、改めて過去ログの、①・②・③・④も読んでみてね♪
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舞台は「或る女」の書斎。以降「或る女」は或女、登場。
或女:これは、或る女にて候。
と、軽く自己紹介。
今「源氏物語」の夕顔の巻を読んでいるのだが、六条御息所ほどのプライドの高い
女性でも、夕顔のような格下の女に光君が興味が移ると、嫉妬のあまり物の怪に
なっちゃうのね。
私はこんな惨めな女には絶対にならないわ。家にも男にも世間の常識にも縛られない、
自由で独立した女になるのよ。恋に生きても恋に縛られない、そんな心のままの
人生を生きる、新しい女になるのよ、とモノローグ謡。
ここへ「六条御息所」、以降は六条、が登場。
六条:のう、いかにその草紙を読みつる女。
(と、六条が登場しながら或女に呼び掛ける。)
六条:私は、そのような賎の女など、気にかけたことはない。嫉妬などとは片腹痛い。
あまりに浅はかな推量である。
或女:暗闇にほのかに見ゆる人影は、もしや六条御息所にてましますか?
六条:いかにもわらわ六条御息所の幽霊なりしが。
(この辺でシテは舞台に入り、常座で立って或女と問答する。)
六条:わらわ高貴の身と生まれ、女御としての絶頂を極めんと日々を送る。
東宮に先立たれ、かつての輝きは失われたが、それでも下賎の女など知るよしもなし。知らぬ者は存在しない者と同じ、夢幻の如くなり。
或女:ならば何故ゆえ物の怪となって夕顔を取り殺したのか?
六条:私が求めたのは光君ただひとり。光君のいらっしゃらない夜は、寂しさに心乱れ、せめて夢の中なりともお逢いしたいと願っただけ。
しかし夢で会うた光君の側には見知らぬ女がいた…。
或女:それこそを、嫉妬ゆえにさまよい出でた物の怪と言うのではないか。
御息所程の教養ある女性が、それほどまでに光君に心奪われるとは情けなや。
六条:情けなやとな。情けなきは光君の御振る舞い。
光君より初めて文が届いた時は、陰りがちな日々に一筋の煌めく光が差し込んだ
如くであったが、一抹の不安は拭い去れなかった。しかし、日に日に光は煌めきと
まばゆさを増して、それは不安の黒雲をさえ見えなくしてしまった。
ついに、池中の魚は浮かみ出でてかの人の掌に抱かれ、高き梢の鳥は舞い降りて
かの人の懐にまどろむ。
しかし、まばゆき光に包まれた悦びとは裏腹に、魚は呼吸もできず、鳥は翼を広げる
こともできない。
いつしか光は薄れ、妄執の黒雲に覆われたわらわには、一筋の希望も残されなかった。
或女:それが男というもの。
六条:真心という名の罠を仕掛け、
或女:魚を漁り、
六条:鳥を追う。
地謡:それが男というもの。真心という名の罠を仕掛けて、魚を漁り鳥を追う。
戯れに花を手折って誇らしげに頭に挿しても、すぐに次の花に興味が移る。
手折られて捨てられた花はどこへ流れてゆけばよいのだろう。
後編につづく。