なぜそこで諦める?!? 「葵上」後編 | 能楽師 辰巳満次郎様 ファンブログ

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まり子どす。

「葵上」も好きなお能なので、ついクドクド書いちゃって、
一回では終わりませんでした・・・・・ガーン

お能ではタイトル=シテとならない場合がけっこうあります。
なんでかな?
このお能のタイトルの葵上なんて、人間にさえしてもらえずタダの着物だし…。

昨年拝見した満次郎様の「葵上」はもちろんヨカッタ♪ですよ~。
やはり大(人のキスマーク)女でしたが、紛れも無い(強い)貴婦人で~♪

木曜日の「葵上」もきっとヨカッタに違いありません。
観たかったなぁ~ラブラブ!

 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

梓の弓で喚び出された六条御息所は(ちゃんと二足歩行で?舞台に入って来るんだけど)
実はボロボロに壊された牛車(牛無し)に乗ってる想定。
その牛が繋がれていない長柄に取り縋って、泣いている侍女(青女房:コレも実際は
出てきません)がいる想定。

照日の巫女は「こんなん見えましたけど、お心当たりは~?」と、葵サンのパパ
(ワキヅレ=大臣とあるので、多分パパだと思う)に尋ねますと、
一応あるけどウラを取れ、との回答が。

照日の巫女がさらに注意深く観察してますと・・・・・・

ワタクシを誰だと思うのかしらむかっ六条御息所よDASH!
(こんなタカビーには言いませんよ、念の為。)
ワタクシが皇太子妃だった時はこの葵なんか及びもつかないぐらい華やかで
時めいた身分だったのに…。
源氏の君の正妻だからってイイ気になってワタクシに恥をかかせて…、
今度は葵がその報いを受けることになるのよ。
(またしてもチョ~意訳!)

と、言ってます。
これは、あの有名な賀茂の車争いのことを言ってるんですよ。
(知らない人は調べてみよう!)

ところで「殴り合う貴族たち」(繁田信一著)という本(面白いよ~♪)によれば、

殴り合う貴族たち (角川ソフィア文庫)/繁田 信一

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この時代の貴族の男子は、ぽよよ~んとした草食系ばかりでなく、中には893
ばりに恫喝する暴力を振るう、トンデモ札付きがいたらしいです。
(みなみな高貴のお方あせる

こいつらに飼われている男衆たちもクセモノで、人の屋敷は壊すわ待ち伏せして
集団暴行するわ、悪いことし放題。
こういうことから自衛する為に雇ったのが武士で、毒をもって毒を制するはずが、
やがて武士に取って代わられる、歴史になるのですがそれは別のお話。
こういう男衆達が六条御息所の車を散々にぶち壊したというこのエピソードは、
事実に基づいてたって事を言いたかった訳です。

また脱線でしたガーンダウン

こうして話しているうちにだんだん激してきた六条御息所の生霊は、
寝ている(着物)の葵上をメッタ打ち?に。

この様子が見える照日の巫女は
「当代随一の貴婦人と謳われた六条御息所のなさる事とは思えません。
 恥を知る御方様ならば、お止め下さい」と訴えます。

さあぁ、此処からがこのお能の見所です。

なので原文で参りましょうか。

ただ、ここからの照日の巫女の謡が、青女房が憑依したかのような内容なのに、ご注意!
(シテ謡『』、ツレ謡「」)

『いやいかにいふとも
 今は打たではかなふまじと
 枕に立ち寄りちやうど打てば』


「此上はとて立ち寄りて
 わらわはあとにて苦を見する」

『今の恨みはありし報い』

「嗔恚のほむらは」

『身をこがす』

「思ひ知らずや」

『思ひ知れ』

煽られてさらに激したシテは、小袖の葵上を扇で激しく打擲する様を見せてから
舞になります。

正妻への嫉妬、源氏への未練、砕かれたプライド、を力強い地謡に支えられて舞うと
クライマックスに!アップ

シテは扇を後見の方に投げ捨て、壷折に着ていた唐織の懐を掴んで一気に脱いで
頭から被り、クツロギ(後見の位置まで退場すること)ます。

ここで、物着と言ってシテはお着替えをします。
後見二人が唐織をテントのようにシテに被せて、シテはここで面を「般若」
にかけ替えます。

この間、葵サンのパパは、エクソシストとして名高い
「横川の小聖(ヨカワノコヒジリ)=ワキ」を依頼して、生き霊祓いを開始します。

可哀相な六条御息所は祈り出されて、本性を顕し、後シテとして再び舞台に登場します。

ここからが、
壮絶?な六条御息所の生き霊
vs エクソシスト横川の小聖のオカルトシーン!キラキラ

この部分「イノリ」という型で、他のお能では「道成寺」「黒塚」にこの型があります。

お祓いはワキ&ワキヅレが呪文を唱えながら、手裏剣をシュシュシュっと投げるみたいに
両手をスリスリしながら数珠をじゃらじゃら鳴らすの。
(一番最初にこの型を見た時は、ちょっと笑いそうになったまり子。)

そうすると、その法力に次第にシテが弱って行くんだけど、また盛り返す、
というのが繰り返され、最後は生霊となっても貴婦人だった六条御息所が
改心して終わります。

満次郎様の後シテはパワフルでしたよ~恋の矢ラブラブ!
(想像つきますね。)

だから、ワキもパワフルでないと、
「なぜそこで諦めるんだぁ、六条御息所~」
「敵は弱いぞぉ~」
「改心なんてするな~」
とつい、野次りたくなってしまうんですの、まり子…。

まる子ちゃんも何か書いてくれるみたいなので、皆様期待しててくださいねラブラブ