ついに最終予選が始まった。

早いものだね。


今回の最終予選はA・Bグループごとに5チーム総当りで、2位以内が出場権を得る。

昔は枠が少なかったために強豪を撃破しないといけなかったが、今はとにかく格下に勝ちきることが求められる、そんな最終予選になってきていると思う。

もっとも、日本は最終予選まで全勝で勝ち上がってきているわけではないし、ザックジャパンになってから優勝したアジアカップもロースコアかPK勝ちばかりで、決して楽勝な試合ではなかった。

要するに確実に計算がたつ試合なんてない、ということ。


オマーン戦のスタメンは以下の通り。


         前田


香川      本田      岡崎


     遠藤    長谷部


長友               内田

     今野    吉田


         川島



もはや不動のメンバーだ。

ここのところの親善試合では、特にFWにおいて様々な選手を試していたが、やはり大事な最終予選になると前田が起用された。ポストプレーと決定力、双方の安定感で言うと群を抜いている存在の前田。その起用にしっかりと答えて見せた。


前田にボールが納まることで香川と本田が楽に前を向いてプレー出来、相手守備陣はボールの取りどころが掴めない状態に陥った。そんなわけで前半早々から幾度もチャレンジパスを仕掛けることが出来、攻撃で良いリズムを生み出していった。

そして前半から本日飛ばしていたのが右SBの内田。

酒井が急成長してきたことで、尻に火がついた内田は開始早々から高い位置をキープ。まるでヴェルディにおける森を彷彿とさせるかのようだった。

試合後、金田喜稔が試合後の議論番組「プロホガソン」にて、

「オマーン側は香川・長友のいる左サイドをケアする準備をしてきたのだろうが、逆の岡崎と内田ばかりが攻めてくることでプランが崩れたのではないか」

と解説していたが、僕もそう思う。あれほど積極的な内田は、シャルケではたまに見てとれるが、代表ではそれほど記憶にない。それだけ酒井に脅威を感じているということか。


ともあれこの右サイド偏重の攻撃が、結果として左サイドの攻めの手助けになり、先制点に繋がった。

左サイドを始めて駆け上がった長友が絶好のクロスを遅れてPA内に入ってきた本田に上げ、それをインサイドキックのボレーで流し込んだ。シュートは相手DFの股を抜けて入ったのだが、こういうゴールを見ると、やはり本田は「もっている」なぁと感じてしまう。


先制し、重圧が薄れた日本がこのまま攻勢を強めるかに思われたが、少しゆったりめに回し始めた。これにより前半は幾度か決定機もありはしたが、1-0止まりで終了。正直ここで貪欲に2点目を奪いに行って欲しかった。



しかしながら、後半に入ってすぐに、立て続けに2点を奪い、ほぼ勝負ありとなった。

どちらも前田が大きな仕事をした2ゴールだった。

2点目は前田のゴールであり、3点目は前田がPA内で勝負し、鋭いシュートを放ったからこそ生まれたゴールだったと思う。あのこぼれ球に反応していた岡崎もまた、さすがだった。


結果、本田・前田・岡崎と決めるべき人が決めての3-0勝利となり、W杯最終予選としてはこの上ない結果となったわけだが、正直相手のオマーンが拍子抜けする程に怖さがなかった。

あれだけ蹴って来ないと、さすがに日本のほうが数段強さを発揮できる。正直ラッキーだった。

結局オマーンはシュートもCKも「0」!

こんなのは前代未聞だったのではないか。

もっとも、今日はラッキーだったと考えるべきで、AWAYのオマーン戦は別のチームであると思って乗り込むべきだ。実際、3次予選でオマーンはオーストラリアに同じく0-3で敗れたが、HOMEゲームでは1-0で勝利している。侮るわけにはいかない。


次のヨルダン戦まではたった4日しかない。

良い内容で勝利した意味は、ここにも出る。

勢いをつけたまま、ヨルダン戦も勝利したいところ。



<雑感>

・今日は前線の選手たちで十分サッカーが出来ていたのでそれほど目立たなかったが、長谷部の献身的なプレーが安定感を生み出していたように見えた。バランサーとして、彼以上の選手はいない。


・内田の後に入ってきた酒井は、幾度もチャレンジしてクロスを上げていたが、この日はそれも不発。クロスの弾道や狙いどころは面白いけど、ピンポイントな正確性という意味では長友のふんわりクロスにすら劣るか。あとは自分で勝負してえぐってクロスとか、アーリーばかりじゃなくパターンを増やして欲しい。あまりにクロスを上げるだけにこだわりすぎ。アピールしたいのはわかるけどね。


・本田は相手があまりこないからなのか、いつにも増してゆったり持っていた気がする。効果的な面もあったが、もっとプレスをかけてきそうな相手だと、少し怖い。なんというか、もっさり感がハンパなかった。ま、それでも要所でチャンスを作り出してしまうのだから凄いのだけれど。


・本田と香川の両エース、この二人が同時に出ていることの意味は大きい。勝手にマークが分散してくれる。思えばJ開幕当初のヴェルディも、ラモスとビスマルクだけで中盤はいいように支配できていたっけ。


・岡崎は1点こそとったけど、イマイチ調子が悪そうだった。無理が利いてこそ岡崎。なので清武との交替は正解。少し休ませてあげよう。


・今野・遠藤の不調G大阪組はやはり本調子には見えず。

遠藤は珍しくイージーなパスミス、パスチョイスミスが見られ、今野はバウンドの目測を見誤り、あわや独走を許していたかもしれない場面を作り出してしまった。ちょっと心配材料。


・吉田はオーストラリア相手くらいでないと空中戦は負けなさそう。CKをファーサイドで楽勝で競り勝ち、折り返していたのに誰も詰めていないのが2・3回あった。あれは良い武器になるはず。誰だ詰める役割だったやつはw


・3-0となったこういう試合だからこそ、一人くらい当落線上の選手を試してもらいたい気持ちもあった。まぁ、3人目の細貝のあたりが、ザックのイタリア人たる所以かね。この逃げ切り細貝は恒例化しそう。


・松木とセルジオの会話がいつにも増してかみ合わなくなってきている。

セルジオが最終予選ということでマジだったということもあるが、松木の言うことがことごとく的を射ていないように聞こえたのは僕だけではなかろう。相手する名波も大変である。


・川島は暇だっただろうなー。

恐らく一番身体動かしたのは先制点の時のガッツポースだろうなw


・今日の試合を見ながら、この中に阿部ちゃんが入っても普通にやれてそうだなーと思ってしまった。

5-1と大勝だった北九州戦、2-3と悔しい敗戦に終わった栃木戦、苦手大分相手に3-1と快勝・・・と、中位との3連戦は結局2勝1敗。まぁ、最低限の結果は出したんじゃないかな。


北九州戦では、これまで素早いチェイシングでヴェルディを活性化させていた和田が負傷欠場し、替わってスタメンに入ったのがキャプテン祐希。梶川との2ボランチはどうなるかと思ったけど、ヴェルディ以上にDFラインから足元で繋ぎたがる北九州のスタイルに助けられ、前からプレスに行くことが出来た為、二人も後ろをあまり気にせず攻撃に出て行けたので良い面が目立った。結果が5-1というスコアに出たけれど、正直この試合は相手が特殊すぎて参考にならないと思っていた。


次戦、栃木戦でも欠場となった和田。北九州戦での疑念がやはり形となって表れてしまった。栃木のカウンター相手にどんどんDFラインが押し下げられ、簡単にボールを繋がれるようになってしまった。その原因となったのがボランチにあったのではないかと思う。ほぼ、ボールホルダーに対してチェイシングもできず、守備でリズムを生めなかった。深津と祥平の二人も、前への積極的な守備ができないとやはり失点に繋がってしまう。この日怪我で欠場していたバウルが出ていても同じ結果になっていただろう。

やはり和田の不在が大きかったと言わざるをえない。

もっとも、内容が凄く悪かったといえばそこまででもなく、健勇が少し戦う姿勢を見せだしたことで決定的チャンス自体はそこそこ作れていた。前半のうちに幾つかあったビッグチャンスを一つでも決めきれていれば、恐らく勝てていたのではないか。悲観するような敗戦ではなかった。まぁ、2点目はともかくとして、3失点目が余計だったね。



そして大分戦。

和田がボランチに復帰。そしてこの内容、結果。素晴らしい。

1失点はしたものの、厳しめのPK判定によるもので、ほぼ完勝と言って差し支えないだろう。

栃木戦で少しだけ垣間見えた健勇のやる気は、この試合でもっともっと体現されていた。1点目の健勇のゴールなどは正にそれが現れていたと思う。これまでの健勇だったら、走るのを緩めてDFラインを抜けきる前にボールを足元に貰おうとしていただろう。それがこの日の健勇は、阿部を信じて全力疾走。それがこの得点に繋がったし、このシーン以外にも幾つか全力疾走をする健勇が見られた。あとはハイボールに対するチャレンジもだいぶ見られるようになってきた。ようやっと、ケツさんのゲキが届き始めたのかもしれない。

和田のチェイシングが戻り、阿部の相方が埋まると、こんなにもヴェルディは強いと思わせてくれる試合だった。正直特殊な北九州戦の5-1よりも、価値のある勝利だったと思う。ついでに言うと、飯尾が今年最高の出来。解説の三浦淳がことあるごとにベタ褒めしていた。スカパーのマッチデーJリーグで中継に呼ばれた西は、「あいつが一番巧いんじゃない?」と言っていた。ヴェルディ加入後すぐのインタビューで言っていた、びっくりするほど巧い選手ってのは飯尾のことだったのかな?


ま、ともあれ難しい大分戦を気分良く快勝で終われたのは凄く大きい。

しかもこの節は上位陣がことごとく取りこぼし、前節の負けをチャラにできたのは大きい。

次からは鳥取・岐阜と下位勢が相手。しっかりと連勝し、大事な千葉戦に向けて勢いをつけたいね。



今後に向けては、祐希をこの後どうするのか、中谷が帰ってきたとき祥平と中谷どちらを使うのか、この2点がやや気になる点かな。健勇が大分戦くらいやれれば、FWの件は当分考えなくて済む。まぁ、この出来がMAXでも困るのだが・・・。

まぁ実際のところ、今年のヴェルディは層厚くなってきたね~。

大分戦でサポグループが掲げていた弾幕、「今年のメンバーにかけている。このチームでJ1へ」みたいな内容の文言。本当にそう思う。現状の運営費で、これ以上の選手が集うことはそうそうないはず。なんとしても今年上がらないと!

プレミアリーグも終了し、応援するアーセナルは結局3位でCL出場権を無事獲得できた。

正直ベンゲル体制になってから最も厳しいメンバーでの船出となったと思うのだが、ファンペルシーの大活躍もあって何とか乗り切ったという印象。

そんなアーセナルの一年間の印象をざっくりと。


まず、シーズン開幕までにキャプテンであったセスクと、昨シーズンに大活躍したナスリを放出。代わりに入った選手も大物とは言えず、確実に厳しいシーズンになることは誰もが想像したことだと思う。


個人的には、セスクの穴はアーロン・ラムジーとジャック・ウィルシャーが埋めてくれるハズと期待していたのだが、早々にウィルシャーが怪我で離脱。結局戻ってこなかった(泣)

ラムジーも期待していた程の活躍は出来ず、まぁ毎年よりは怪我の離脱期間が短かったかなくらいで、ここは大きな期待はずれに終わってしまった。が、今後のアーセナルの中盤の出来がこの二人にかかっていることは間違いない。まずは二人とも怪我しにくい身体を・・・ねTT


で、前述した移籍組二人の穴を埋めるべく補強されたアルテタとベナユンは、しっかり一年間を通して試合に絡んでくれた。結局この二人が穴を埋めた格好にはなったのだが、正直前半戦は微妙だなぁと思っていた。なんというか、及第点の出来は続けたが、違いを作り出すまでには至らなかったという感じ。もっとも、シーズン終盤にきて大分フィットしてきた感は出てきていたので、来シーズンにはもっともっと期待をかけたい。まぁ、ベナユンは確かレンタルなので残ってくれればの話だけど・・・。


もう一人の加入組として、一番鳴り物入りであったのはジェルヴィーニョ。実際シーズン序盤はチーム全体でパスが回らない中、この人のスピードと突破に助けられた部分はあった。が、アフリカネーションズカップで離脱以降、あまり輝けなくなった。それ以降チームの調子が上向いてきて、パスサッカーが復活してきたことも要因としてあるのかもしれないが、ちょっと期待外れ気味のシーズンとなってしまった。まぁこれからこれから(希望的観測)



まぁ、結果として、この移籍組3人がセスク、ナスリの穴を完全に埋め、アーセナルの攻撃を彩ったのかといえば正直そこまでではなかった。序盤戦はなかなかフィットせずにパスが回らなかったし、そのせいで相当負け数も多くなっていた。が、結局シーズン終了までにはいつものパスサッカーを大分体現できるようになっていった。その立役者はトーマス・ロシツキだったと思う。


鳴り物入りで入団しつつ、これまで数年間活躍しきれなかったロシツキだったが、今年は出色の出来だったと思う。シーズン中盤くらいで怪我明けから戻ってきたあたりから、チームがフィットし始めた印象があった。昨シーズンのナスリと同じくらいの貢献度だったと思う。正直この人が覚醒しなかったら、この順位では終えていないで、チームは低空飛行を続けていたと思う。



とまぁ、色々書いたが何といっても今シーズンはこの人のアーセナルだった。ファンペルシー。

脅威の30ゴールを叩き出して、しかも得意のスペ体質も封印。正直一人で瀕死のガナーズを救ったと言っても過言ではないだろう。もう、何も言うことはない。異次元の選手になってしまった。


結局、3位で終えれたのもファンペルシーのおかげであって、アーセナルの攻撃がなんとかなっていたのはこの人がいたおかげで拙さがバレなかっただけなのではないか、と僕は思っている。来期もいてくれるのか・・・、まぁ渋チンのアーセナルでは多分引き止められないだろうなぁ(棒)

ファンペルシ自身もそろそろタイトル欲しいだろうしね。


ファンペルシというフィニッシャーがありえないくらい覚醒して、中盤もやっとそこそこの形が作れるようになって、やっとこさこの順位。そんなシーズンだったのではないか。まぁよく3位で終えたな、という感じ。




さて、アーセナルといえば毎年出てくる若手の有望株なのだが、今年もなんやかんやで出てきた。チェンバレンだ。18歳でありながら身体の強さも感じられるし、テクも素晴らしい。仕掛ける度胸もある。数年後が楽しみな選手。日本にもこういうタイプ出てこないかなー。


あとはそうそう、何気に今年そこそこ良かったのがウォルコット。

いつもは決めきれないところでしっかり重要な得点をマークするなど、良い意味でウォルコットらしからぬパフォーマンスを見せてくれた。この出来を今後も続けてくれれば、まだまだ大化け出来る年齢だ。




さてさて、来期に向けてだが、最重要補強ポイントはファンペルシの残留。それは間違いない。

あとはやっぱり相変わらずスペ体質が多く、そのせいで層の薄めなCB陣に、大物が一人欲しい。

ここのところ数シーズンのアーセナルがタイトルを取れないのは、DFの陣容が明らかに見劣りする部分にあると思う。ここに良い選手を引っ張ってこれないと、来期もタイトル獲得は難しいのではないか。

あとは加入が内定しているポドルスキがどんな違いを生み出せるかに期待したい。

シャマフとかパクとか、余剰戦力を切る金でCB補強しないかなぁ。

岡山戦の予想スタメンがエルゴラに掲載されたけど、驚いた。

祐希がFWでの起用もありえるとのこと。

個人的に少し試して欲しいと思ってたところだったので超楽しみ。

まぁ練習段階で上手くいかずにポシャる可能性もあるだけに、当日になってみないとわからないけど、一度は見てみたいなー。祐希このままベンチ要員も勿体無いし。もし上手くいっちゃったりしたら、凄いワクワクするメンツだ。きっと水戸戦の2点目のような得点シーンが増えるに違いない。


まぁ、健勇とジョジがあの調子じゃあこういう話も出てくるというもの。それだけ今は前線以外が上手くいっているという証明でもあるよなぁ。


あと、エルゴラのスタメン予想には祥平が入っていなかった。中谷が今良いというのは勿論だけど、今回は相手選手に対する頭突きより、相手サポに対する挑発行為のほうが問題なんだろうし、そういうの川勝さんうるさそうだからなぁ。懲罰の意味もあるのかね?


なんか祐希といい、健勇といい、祥平といい、川勝さんは五輪への誘惑をうまいことダシに使って一皮剥けさせようとしているように思える。たまたまかもしれないけど、ワザとこのタイミングで試練を与えているようにどうしても見えてしまう。だとしたら策士すぎるなぁ。


岡山戦のスタメン、楽しみだ。

徳島戦から始まった、戦力的に昇格争いに絡むであろうチームと、現在調子の良いチームとの7連戦。しかもGWを挟むことでとんでもない過密日程の中で行われた中で、結果4勝3敗ということになった。結果だけ見る限り、良いということはないが最低限の成績では切り抜けたと言って良いと思う。3敗のうちどれかに勝つか引き分けることが出来ていればだいぶ印象も違っていたのだろうが、まぁ最悪のケースを考えれば十分か。


京都、湘南、山形と嫌なチームに負けたのが痛いところだが、苦手の熊本や福岡の九州AWAYで勝てたのは大きかった。正直この中でお得意様は徳島しかいなかったので、よくやったのではないかとは思う。


この7連戦で、過密日程ということもあって様々なことが起こった。

・深津の安定感。

・キャプテン小林祐希がサブにまわり、梶川が先発に。

・ジョジマールと健勇のチョイス。

・祥平の3試合出場停止。

・第4のCB吉弘の及第点。

・やっと内容の伴った試合が出てきた。

・相変わらずの怪我人。

・南、田中貴のユースルーキー今期初出場


などなど。




ポジティブな面としては、深津の安定感によって相当守備が良くなってきていること。特に跳ね返しの部分で、大きくヘディングで返せることで、昨年まで散見したこぼれ球を高い位置で拾い捲られてカウンターという嫌なパターンを受けづらくなっていること。昨日水戸戦で今期初先発を飾った吉弘もその部分を徹底していた。これが秋田塾の成果か。


そしてさらに良いディフェンスを生むことに多大な貢献をしているのが、梶川、和田の両ボランチ。

この二人にしてからDFラインが上がり、コンパクトな守備ラインを敷くことが出来るようになったため、DFも思い切って当たっていけるようになった。和田の潰しの速さ、そして梶川の豊富な運動量を生かしての球捌きによって、やっと内容の伴った勝ち試合が出来るようになってきた。


DFラインが高くなることで得たメリットは、ディフェンスがしやすくなっただけではない。SBが高い位置をとることによって、相手のサイドを簡単に上げさせない効果も生まれている。J2においては特に、攻撃のときサイドの攻防に勝機を見出すチームが多いので、相手のサイドを押し込めることが出来ているのは同時に相手の攻撃の幅を狭めていることにも繋がっている。何もしないで守備が出来ているようなものだ。しかもヴェルディには森という攻撃で多大な貢献の出来るSBがいる。相手のサイドを封じつつこちらは森という攻撃が使えるということで、一石二鳥である。これまで先発をはずされたこともある森だが、それは守備が軽いところがあるためで、そういう場面が散見していた時期は総じてヴェルディのDFラインがズルズル下がってしまうときばかりだった。ヴェルディが自分たちのサッカーを出来ているバロメーターとして、森の位置取りの高さというのは分かりやすい現象の一つだろう。それがこの7連戦で一つの形となってきていること、その要因が和田と梶川の2ボランチによるものだということで、祐希がSUBに回るのは致し方ない部分があるのだろう。


さて、それでもなかなか得点を挙げるまでに苦労しているのもまた事実。正直、森や中谷があれだけ高い位置で受けられ、仕掛ければだいたいクロスを上げるところまでは容易に出来ている、CKもとれている。しかしサイドのクロスから点に繋がったシーンや決定的なシュートまで行ったシーンはあまり印象にない。そこが、今後の大きな課題の一つだ。ネガティブな面として、今最も大きいのが2トップ。阿部の相方のチョイスだ。


健勇の加入でここが解消されたかに思えたが、全体的に良かったというのは後半から途中出場して決勝ゴールを決めた町田戦くらいで、次の徳島戦では得点こそとったものの期待されている役割、ポストプレーが全くと言っていいほど出来ない。対してジョジマールもこの部分で効果的な働きが出来ず、今のところどっちもどっちという評価が多勢を占めているのではないか。


個人的な健勇とジョジマールの現在の比較はこうだ。

<健勇>

上背があるのと、前を向いて持てた時に違いを出せるのはプラス。

マイナス部分は全ての動き出しが遅いこと。ボールが来てから動くので慌てる。ロングボールの落下点に入れず競ることも出来ない時が多い。トラップが大きい。


<ジョジマール>

落下点に入る動きは健勇より上。だが元気でガツガツくるDF相手には完敗することも。

阿部との連携面、距離感は大きくジョジに軍配。一対一の場面を決め切れなかったり、不運が重なっているところがある。


健勇には正直、現在メリットを感じることは少ない。だが、ジョジマールも先発から出ると何も出来ずに終わることもしばしば。2ゴールを決めている、「持っている」健勇と、動きや連携はいいが「持っていない」ジョジという印象のこの二人。どちらがより貢献度が高いかといえば、結局どっちもどっちで貢献度は低いと言わざるをえない。そこがなかなか得点を奪うまでに至らない原因の一つであることは間違いない。


とりあえず現在のヴェルディの決定機は、ほとんどのシーンで阿部が違いを見せたときに作られている。もしくは中盤のパスワークから、西や梶川、飯尾や森あたりが連動してラストパスをどこかに供給出来たとき。まぁその連動に阿部は大抵絡むので、実質阿部が絡まないとビッグチャンスは作れていないと言えなくもない。

他にビッグチャンスが来るとすれば、一人で違いを出せる祐希くらいか。だが祐希は最近先発にいない。

要するに阿部の相方がカッチリハマれば、もっともっと得点のチャンスは増やせるはずなのだ。だが現在そこが中途半端


ここ数試合は、健勇が先発で出て、後半ジョジが入ることで攻撃が活性化されている。

それは途中から出てきての貢献度に違いがあるからだろう。

健勇は途中から出ても泥臭さがないのであまり違いがない。ジョジはDFにガツガツ当たられなければポストをしっかりこなせるので、今まで前線に効果的なポストワークがなかったところで違いを作り出すことが出来、結果攻撃のスイッチャー役として貢献出来ている。

現状先発で出たら埋没する二人だからこそ、こういう交替策で乗り切っているというのが川勝監督の苦肉の策なのだろう。


もっとも、どんなに動きが悪かろうが得点さえ決めれば評価されるのがFW。

当分はこの流れでいくと思うが、得点を決めたほうが優先されるのは間違いない。

二人には切磋琢磨してもらって、早く前半から効果的な攻めを行えるヴェルディになってほしい。




総括すると、現状守備においては相当安定してきている。

あとは攻撃でいかにビッグチャンスを作りきれるか。

それは阿部の相方であるFWの出来にかかっている。

あとはサイドのクロスに対しての入り方にもっと迫力が出てくれば、得点機会はさらに増えるはずだ。


この7連戦、結果は4勝3敗だったが、内容面ではプラスが大きかった。あと深津の累積警告を消化出来たことも大きい。飯尾の怪我が心配だが、最近後半から出てきて違いを作り出している祐希がサイドで新境地を開くかもしれないし、全てをマイナスに捉える必要もないと思う。吉弘が使えることがわかったのも大きかったし、なんか交替選手が良さを出す流れも出来つつある気がする。


チームの土台の構築、SUBメンバーの突き上げが同時に出来つつある、それがこの7連戦の間に起こったことか。

その良い変化が出来つつ、3位のポジションにつくことが出来たのは、今後に向けて明るい。


多角的に考えると、この7連戦は有意義だったのではないかな。