「エビータ」 ジョン・バーンズ | MARIA MANIATICA

MARIA MANIATICA

ASI ES LA VIDA.



1953年 33歳の若さで亡くなった、アルゼンチンのファーストレディ、
エバ・ペロンの生涯を描いた作品。
伝記的な作品の中には、その人となりの良い部分のみを過剰に飾り立てたものも
あるけれど、この作品はとても中立的というよりも、むしろ突き放したような印象すら
持ってしまうほど客観的な立場で書かれており、好感が持てた。

アルゼンチンの片田舎の貧しい家庭に生まれ、この世に貧富の差がある
ということよりも富裕な層というものが存在することに衝撃を受けたエバは、
このままではいけないと首都に出ることを考える。
14歳にして愛人を持ち、首都ブエノスアイレスに上京してからは
売れないながらも女優という職業に就き、強いコネクションを持つ
男性たちを渡り歩き、ついにファーストレディの座に上り詰める。

富裕層や知的階級の人々から、このような生い立ちや強引な生き方ゆえに
成り上がり者などと嫌悪されていたものの、彼女と出身を同じくする
貧し人々たちからの支持は絶大なるものだったそう。

あの南アメリカという土地で、必要以上に熱狂しやすい国民性があり、
貧富の差があるとはいえ国家そのものは十分に豊かだったことや、
クーデターやら独裁が特別なことでは多分なかったという条件があったところに
エバの先見の明や、行動力がうまく作用した時代だったのだろうし
ああいう国ならではのサクセスストーリーだとは思うけれど
実際彼女ゆえに、当時の貧困層ははじめて、アルゼンチンが国家として
潤っているということを実感し享受できたのだから、「独裁」ならではの
益もあったということだろうし、その陰で反対派に対して行われた
残酷な流血の粛清など、恩恵を受けた者にとってはどうでもよいことに
なってしまうことだろう。
今でも低所得者の間では人気を誇り、聖人としている人たちも多くあるそう。


アルゼンチンは過去に合計4週間程度滞在したことがあるけれど、
首都ブエノス・アイレスは美しく華やかな街で、私がこれまでに訪れた
海外の国の中でもベスト3に入るくらい気に入っている。
何も・・・本当に何一つないパラグアイでの1年の生活ののちに訪ねたのだから
それはもう目がつぶれそうな位、衝撃的な印象だった。
決して女性一人、油断して歩けるような安心感はなかったけれども
その危うさも含めた魅力のある街だった。
そんなわたし好みのアルゼンチンであったのに、特別アルゼンチン行きの
予習もせず、歴史的なものも調べることなく(手立てもなかったけどね)
訪ねたことは今でも残念に思う。
だって、さすがにあそこまでもう一度行こうなんて言う気力はないものね。

チリもそうだったけど、アルゼンチンもその美しさや、うわべのしつけの良さに
目を奪われて浮かれていた20年ほど前の私だったけれど 後になって
彼らの過ごしてきた血なまぐさい時代が、それほど遠くない時期のことだったり、
関係者がまだ存命中だったりしたことが驚きだった。
歴史って本当に一日一日の積み重ねなのですね。


余談ですが、スペイン語は縮小辞というのがあって、単語の最後に
-ito(a) -illo(a)とつけることがあります。
「小さな」「少ない」という意味合いを持たせることになるのですが、
愛着を込めての愛称にも使われます。
つまり、Evitaはevaに縮小辞-ita(女性名詞なのでaで終わる)が
ついたものなのですね。

若い未婚の女性に使われる senoritaも senoraに縮小辞‐itaをつけた
形というわけです。
たとえばカルメンだとカルメンシータになります。
でもMariaの場合はqを入れて、Mariquita(マリキータ)となりま~す。



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