「バースデイ・」ストーリーズ」 村上春樹 訳 | MARIA MANIATICA

MARIA MANIATICA

ASI ES LA VIDA.



ストック本からの1冊。今月は私の誕生月なので。

なかなか手がつかなかったのは、アンソロジー集ということで
さまざまな作家の作品を集めたものだったから。
あれって一見お得なようでありながら、全体の統一感がなくて
いまひとつという印象があったので。
でもこれは、ものすご~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~くよかった!
私の読後感は、カポーティの「誕生日の子供たち」に似ているという印象でとても好みだった。
異なる作家群とは言え、翻訳者(かつ選者)が村上春樹ということで
文章に統一感があったのかもしれない。

中でも白眉は一番初めに出てくる「ムーア人」だった。
いや、もうこれって・・・。
どことなく既視感のある作品ではあるんだけど、たまりません。
形は少し違ってもこの感覚を、ご自身の人生の中で、あるいは本や映画の中で
体験した方は結構いると思うなあ。
え?どんなって・・・それはもう読んでいただくしかないですね。
ここに書いてしまうのはあまりにもったいない。
そしてこの作品を読まずに人生終えるのも、これまたとてももったいないと思う。
私はうるうるしながら読了し、さらにもう一度読み直してしまいましたとさ。

読書メーターに登録しているときに、ついつい他の方の感想を見てしまったけど、
皆さんが言うほど不幸とか孤独とかってものは、ごく一部を除いて私は殆ど感じなかったな。
なぜでしょう?
でもとにかくジメっとした湿気みたいなものは感じられなかったし、
やはり「誕生日」を意識できるということは、心底不幸ではないように思えたのだ。
多分、誕生日に伴う過去の素敵な思い出があるんじゃないかと。
もちろん、その思い出だけでは飽き足らず、今が不幸だとわが身を嘆くことを
どこかでしているのかもしれないけれど、でもこの作品を読んでいる間中、
私はそういった、他の誰かや何かに対しての恨みつらみ的なものは感じることがなかった。

もっと早く読めばよかった。これは殿堂入りだな。


ほとんど日本では知られていない現役の英米作家たちの作品です。
今や世界的にも知名度の高いHARUKI MURAKAMIが自分の作品を選び出し、
翻訳した・・・それはかなり幸せな、作家冥利に尽きることなのではないかな。
いや、たとえ村上春樹選でなくたって、この遠く離れた日本で翻訳されている事実だけでも。


バースデイ・ストーリーズ/中央公論新社

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作品集の最初のページに、この歌詞が。