「日本とドイツ 二つの戦後思想」  仲正昌樹 | MARIA MANIATICA

MARIA MANIATICA

ASI ES LA VIDA.


少々時間がかかりましたが、なんとか読破・・・。

タイトルにあるように、日本とドイツの戦後の思想について解説したもの。

この人生で受けた衝撃はいくつかあるけれど、そのひとつが
スペインで知り合ったドイツ人たちの戦争の負の部分の背負い方にある。
なぜ私よりずっと若いドイツ人たちが、過ぎ去った戦争をここまで
自分のものとして考えることができるのか?
こんなにも時間が経って、しかも戦争を知らない世代でありながら
1988年当時もなお、重荷としてひきずっていることに心底驚いた。

日本人でそんなことを考えるのは、特別な思想を持った人たちでしか
ないように私は思っていたので、いつになったら彼らが自分たちに、
あるいは他人に残した傷がなくなるのだろう、もういいじゃないか、
なんて思ったものだった。
と、同時に「戦争=悪」、「戦争=過去のも」としか認識のない自分にも
問題ありそうだとも思うようになった。
そして彼らがどんな教育を受けてきたのか、それは日本人とは
どんな違いがあるのかを知りたいとも思っていた。

先日「朗読者」を再読した際に、またその感覚を思い出したところで
この本に出会い、読んでみることに。

私の知りたいことについては第1章に集約されてたけれど
全体の分量から見るかなり少なめで、もう少し読みたいという気持ちはあります。
が、内容は偏りのない客観的なものでとても良かったと思う。
この手のものを読んだことがないので、ほかと比べようもないけれど、
知りたいことの基本はほぼ書かれていたと思う。

アジアのいくつかの国から未だに賠償と謝罪を求められ、
一体いつまで謝らなくてはならないんだろうと思いながら、
ドイツ人もあんなに反省していたのだから、私たちもまだまだ
足りないのかも、なんてことを人ごとのように思ってもいた私だった。
それでいて原爆という被害も受けている・・・そのことが
どうしても私の中ではつじつまが合わないというか、
同じ戦場に並べられないというか・・・負けたことは事実としても、
日本は加害者なのか被害者なのかがわからないままだったのは確か。
それがようやく明確になった!・・・なあんてことはもちろんないけれど
そもそもの日本の置かれた状況自体が物心両面ともに曖昧なもの
だったということや、ドイツとの立場の違いが具体的に書かれて
いたことで、多少その理解に近づけたのは収穫だった。

後半は「マルクス主義」と「ポストモダン」についての考察。
これはもう私にとってはほとんど未知の世界なので、
読んでも頭になかなか入ってこなかった。
やはり基本は抑えておかないと、用語や人名に全くついていけない。

そういうわけで、脳内が整理できたとは残念ながら言えないけれど
まずは昔から持っていたきっかけとも呼べるものがあって
そしてここでようやくその次の段階に進むことはできたかな。

最近は新書も各出版社がいろいろ出しているけれど、
岩波新書とかブルーバックスぐらいしかなかった頃に比べると
かなり玉石混合という気はします。
テーマは壮大なのに中途半端なものも結構あったので、あまり
お手軽な感じの新書には近寄らないようにしていたけれど、
これは読んで良かったと思う。

 
日本とドイツ 二つの戦後思想 (光文社新書)/光文社

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