私は大抵数冊の本を併読しているのですが、
特にメインの本の内容が難解な場合はそれが激しくなるような気がします。
先に読んだアランの「幸福論」も「日本とドイツ 二つの戦後思想」の
いずれも結構歯ごたえがあったので、今回も合間合間に漫画を含めて
いろいろな作品を読んでいました。
今回はこの3冊も読みました。
たまたま手にしてみたら、ちょうど「日本とドイツ・・・」の
日本の部分にかなり重なること、また多少とはいえドイツの戦後に
ついても触れていたこともあり、メインの本をそっちのけで
3冊一気に読んでしまいました。
先に読んだ新書は感想にも書いたように客観的であまり偏りを
感じられないものだったけれど、この3冊は小林よしのりの
思想を描いたものなので、ご存知のとおりかなり濃いです。
私はその個性を好ましく思っているけれども。
新・ゴーマニズム宣言SPECIAL 戦争論/幻冬舎

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先に渾身の一作「戦争論Ⅱ」を読んでしまったので、どうしても比較してしまうことになる。
まだ取っ掛かりという感じで、Ⅱほどの濃さはないと思う。
でもこれしか読んでいなければ、それはそれでう~んとうなったかもしれない。
気になったのは、○○が20万人にくらべ、××は30万人だったといった表現。
これは主に死者の数の説明に使われていたのだけれど、日本人ははこんなに殺傷して
非道だと言われているが、日本人はそれ以上に殺傷されたのだ・・・という言い方が
たびたびされていたこと。
よそから受けた被害の方がより大きい・・・という表現で、日本人のしたことが
帳消しになるとは思えないので、その表現には疑問を感じる。
ただぼんやり読んでいるとそういうマジックについつい陥りそうになる。
でもよく勉強してあるのは確か。いいブレーンがいたのかな?
それとも全くの自力?
新ゴーマニズム宣言SPECIAL 戦争論〈3〉/幻冬舎

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Ⅰ・Ⅱの総括ともいえるのかもしれないけれど、先発の2冊に比べると
日本人の道徳心に焦点をあてているためか、印象がまた別の意味で異なる。
特攻隊の人々の体験談や、遺された短歌や詩が特に取り込まれ、
対・外国よりも主に日本そのものに目を向けていて、3冊の中では特に
情緒面に訴えてくる内容が多かったような印象。
いわゆるA級戦犯―ゴー宣SPECIAL/幻冬舎

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再読。きっかけとしてとてもいい本だと思う。
何人かについては別のものを読んでみたいと思った。
以上、3冊。
よしりんの独断もあるし、漫画なので演出や表現でやはり
デフォルメもかなりあると思うけれども、文章だけを読むよりは理解が早い。
早ければいいわけじゃないけど、読解の助けにはかなりなると思う。
今回は先に読んだ「ドイツと日本 二つの戦後思想」をかなり
補完してくれたと思う。