表題作は筆者の短編の最高峰といわれているのだそう。
表題作と最後の「フランシス・マコンバーの短い幸福な生涯」以外は
本当にごくごく短く、文体など含め、良い作品たちなんだろうと思いつつも
正直、消化不良の感の残るものも多かった。
これはやはり男性の読み物なのかもしれないなとも思う。
壊疽による死を目前にした男性(作家)のお話。
テーマとしてあたためながらも作品にできなかったモチーフへの想いや後悔、
同行している献身的な恋人への八つ当たり・・・。
この「キリマンジャロの雪」は、ヘミングウェイが作品を生み出すことに
苦痛を感じていた頃のものだそうで、作品中にもそんな苦しみが
表れているようでした。
好きな方はきっと凄く好きなんだと思う。
私はまだヘミングウェイはほとんど読んだことがなく、他の作品を
知らないってこともあるからかもしれないけれども、この作品のよさが
十二分にわかったとはいえない。
失っていくもの、形にならなかったものについては、あるものを除いては
私の場合かなり冷静な(つもり)なので共感しづらいのかもしれないけれど
ジャズエイジと呼ばれる世代の方たちの作品は、ぼんやりといい感じはあるものの
読後感がどうもすっきりしないことが多いかもしれない・・・私の場合。
最後の「フランシス・マコンバーの短い幸福な生涯」のほうがむしろ
印象的だった。
はてさて、あれは事故なのか事件なのか??
キリマンジャロの雪 (角川文庫)/角川書店

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