「美味しんぼ」 16巻   雁屋 哲 | MARIA MANIATICA

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ASI ES LA VIDA.

娘が読んでいて、表紙を見たらどうもドイツ風だったので
奪い取ってみたら、やはりドイツ帰りの老夫婦のお話。
プチドイツブームがこの夏から続いている私なので
もちろん速やかに奪い取って、読みました。

第1話・五十年目の味覚・前後編 (ビール、ソーセージ)
第2話・洋食屋の苦悩      (カキフライ)
第3話・鯛勝負         (鯛の揚げ団子のおでん)
第4話・生きている米      (精米)
第5話・対決!!野菜編・前中後編 (キャベツ、カブ)
第6話・ 飯の友        (カツオの塩辛、梅オカカ、ネギミソ)

表紙を飾っていたのは、やはり第一話のメインテーマでした。

山岡と東西新聞社員が訪ねたビア・ホールで、たまたま老夫婦と相席になる。
夫婦は結婚50年を迎え、そのお祝いにこの場所を選んだという。
ドイツ留学中に知り合った、日本人の夫と、ドイツ人の妻は戦争により
一時期離れ離れになる。この時に再会を願って大好きなビールとソーセージを
一切口にしないことを誓い、さらに再会後もその幸せの継続を願いずっと断ったまま
だったというが、結婚50年を迎えたこの年についに解禁することにしたのだった。
いよいよ50年ぶりの再会となったのだが、老人はその味に失望していた。

・・・というわけで、この作品のパターンのひとつ、山岡が頑張って
彼らに本物を食べさせる・・・という形で終わります。

「美味しんぼ」は、最新のものはないけれど、100冊まではほぼ全巻、
それ以降も目にして、興味深い内容なら買うことは今でもあります。
初期のころは、父である海原雄山は本当に単なる嫌な人間だったけれど
最近はすっかり、高邁な精神を持つ自分に厳しい芸術家で、その厳しさの
中に隠した愛情深さ・・・なんて感じで描かれているようですね。
この16巻でもすでにそんな隠れた親心を感じさせるような場面が出てきます。

でもね~、私はこれだけ買っておいてナンですが、この作品の読後は
いつもあまり良い気持ちが残らないですねえ。
食べ物についての薀蓄は面白いし、意外と作り方などは参考になります。
特に「良い食べ物」についての知識は、良い意味で啓蒙してくれそうな
気はするのですが・・・。

カツオやまる子がいつまでたってもちゃっかりしていたり、
のび太がドラえもんに毎回何でもかんでも依存していたり、
・・・そういった漫画たちと同様の「様式」みたいなものだとは思うけど
やはりこの作品に出てくる人々の下品さが気になる。

それは雄山の言葉を借りて発せられる、筆者の思想を際立たせる
一種の手法ではあるのだろうけど、あまりにもあまりにも・・・・
と思ってしまう。
そういうところに気をとられることなど、ないんだろうけど
いつも作品に出てくる不愉快な人間たちの生み出すドラマによって
イヤ~な印象が私に残るのでした。


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