光瀬龍さんは「百億の昼と千億の夜」の原作者です。
原作者の文章に、萩尾センセーがイラストを寄せる、というコラボ作品でした。
実はごく最近存在を知ったばかりなのですが、もうこれ絶版だそうです。
光瀬さんの「百億・・・」の原作では、当時高校生だった私には正直ちっとも
面白くなかったのでこの作品はどうなのだろうと、かなり迷った挙句に買ってみました。
地球も含めた宇宙にまつわる短編のお話ですが、SFというよりも
神話のような雰囲気。
叙事詩とあるように、物語ともちょっと違う・・・誰かの語りで聞いたほうが
いいのかも。作中にも何度も登場してきますが吟遊詩人の唄なんかで。
全体として・・・私にはやはり入り込めなかったですねえ。
何かが違う・・・という感じ。
昭和3年生まれの光瀬さん。
活躍された年代と、その活躍の場が日本であることを考えると、存在の価値も
理解できますが、私好みでは残念ながらないようです。
そして私の敬愛する萩尾先生の絵。
相変わらずとても美しいとは思うのですが、でも生きていないというのかなあ・・・。
萩尾先生はイラストレーターとしてではなく、先生の解釈したことばを
キャラクターに語らせてこそ、萩尾望都の世界ができあがるんだと、
今回この本を手にして実感しました。
そういえば高校時代に、萩尾先生の画集を買ったことがあったけど、
本をめったに捨ていない私にしては珍しく、何の躊躇なく処分してしまった。
漫画作品はご存知の方とおり、同じ作品であっても文庫版、コミックス版、
デラックス版・・・・とバージョン違いで何冊も買ってしまうことがしばしばで、
本についてはひたすらためる一方の私が・・・そうなのです。
無意識のうちに、今日思ったように「絵が生きていない」と感じていたのかもしれないですね。
もともと、そういうところはあって「星の王子さま」が好きだからとキャラクターグッズを
揃えたり、箱根のミュージアムに行ったりということもないのです。
萩尾先生の原画展や、そこで販売されているというポーの香水とか・・・全然食指が
動かない私なのです。
私が好きなのは、ただひらすらに萩尾先生の解釈で通訳し、再構築された世界だった
ということなのですね。
この作品も、萩尾解釈でもう一度漫画にしてみる、なんて企画が出てこないかな。

こちらは文庫版。これらも絶版だそうです。
宇宙叙事詩〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)/光瀬 龍

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