小倉南区に聳える高蔵山(標高356m)の南方には、明治33年(1900)に築城された高蔵山堡塁がありますが、この堡塁と企救山系の稜線を結ぶ約2~2.5㎞において当時の軍道が残っています。
なおタイトルに「高蔵山軍道」と書きましたが、当時そう呼ばれていたわけではなく便宜上勝手に名付けた名前ですので、あしからず(^^;
地図で示します。
北西から南東に伸びるオレンジ色の線が軍道で、北から南へ縦に伸びるのは企救自然歩道と呼ばれる企救山系を縦走する登山道となります。
軍道もまた登山道として利用されていますが、歩いてみると、排水設備、軍道を補強する石垣、転落防止の車止め、そして数多くの軍用地境界標を見ることができます。
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では、企救自然歩道から分岐する軍道を下って堡塁に向けて歩いて行きますが、その前に、分岐点の近くに埋設されているコンクリート製の軍用地境界標を紹介します。
標柱の表面は“陸”の文字、裏面は“防九四”の通し番号が刻まれています。
企救自然歩道沿いにはこのタイプのコンクリート製標柱が数多く埋設されていますが、これらの標柱は昭和期に建設された冨野弾薬本庫を囲う形で配置されています。
一方、軍道沿いや堡塁周辺の標柱は、コンクリート製ではなくすべて石製の標柱となりますので、石製は堡塁が建設された明治期もしくは大正期に埋設されたものだと推測されます。
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高蔵山森林公園方面に向けてスタート!(・∀・)
分岐点の辺りは軍道が崩壊しているので斜面を下ります。
すぐに幅のある道に着地します。軍道の始まりです。
山側に土留めの石垣が設けられていますが、道は少々荒れている箇所も見られます。
A の箇所に来ました。谷側に転落防止の車止めが設けられています。
車止めは自然石を置いただけですが、、、。
少し進むと成形された石の車止めに変わりました。
こちらは B の箇所ですが、谷側に立派な石垣が築かれています。
谷が深い所は高石垣が設けられているのに対し低い所はこんな感じです。
C の箇所に排水関係と思われる遺構があります。
右側にある石積みの凹みです。
中を覗くと、谷側に向けて穴が開いてます。
谷側の高石垣に排水の土管がありますが、先ほどの穴はここに繋がっているのかな?
左側はレンガ積みのアーチ遺構です。
中を覗いてみる。どのように使われていた物なのかよく分かりません。
軍道谷側に自然石の車止めが埋設されています。先ほどの高石垣の上ですね。
Cの箇所から少し進むと道が広くなっています。
ここから少し下った谷側に軍用地境界標が埋設されています。
石製の標柱で“陸軍”の文字が刻まれています。裏面に“防なんちゃら”の番号表示がないタイプですが、現存しているのはこのタイプが多いです。
南に下って D の箇所。
E の箇所。山側に高めの石垣が組まれています。
F の箇所です。高蔵山の山頂西側に到達しました。
ここは広場のようになっていますが、標柱が1本転がっています。
標柱は下関要塞第一地帯標 第五號。高蔵山堡塁を囲む第一区5本のうちの1本です。抜かれて放置されていますので、これだけ長い物だったのかと驚きます(・_・;)
まっすぐ登ると高蔵山山頂ですが、左の軍道を続けて進みます。
山頂の北側を東に向けて進みますが、道が崩壊して荒れている所があります。
高蔵山森林公園から来た登山道と合流します。
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合流地点の周辺にはたくさんの軍用地境界標が埋設されています。
軍道谷側に“陸軍”石製境界標。
近くに“陸”“防八三”石製境界標。
さらに軍道山側にも“陸軍”石製境界標。
“陸”“防一一九”石製境界標もあります。
もう2本ほど“陸軍”石製境界標がありましたが割愛します。
いずれも石造りの標柱ですので、堡塁が機能していた明治から大正期に埋設された物と思われますが、なぜ2種類存在するのでしょう?
おそらく“陸軍”の番号なし標柱が最初で、後年に境界標の埋設方法が変更されたことで、“陸”の通し番号付き標柱に置き換えられたのではないかなと。昭和期の境界標はほとんど“陸””防〇〇”タイプですからね。
でもココには近接して“防83”と“防119”がありますが、なぜ30も数字が離れているのでしょうか?探せば続き番号が続々現れるのかな?まぁ本格的に標柱探しをすればたくさん発見できそうな気がしますが。
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G の箇所に排水溝があります。
C にあった物と同じ用途でしょうね。
4コーナーを曲がって最後の直線です。
ゴール直前に“陸”“防九〇”石製境界標が軍道谷側にあります。
ゴール!高蔵山堡塁に到着しました(・∀・)
以上、高蔵山軍道でした。
引き続き堡塁レポをご覧下さい(^^)