小呂島(おろのしま)は、福岡市姪浜港から約45km北方の玄界灘に浮かぶ島です。現在の行政区分は福岡市西区となります。

 

(対馬海軍警備隊の概略はこちら→→→

 

対馬警備隊派遣隊の地図で場所を確認します。

 

なお小呂島には海軍の防備衛所だけではなく陸軍の砲台も構築されていました。既に探索済みでレポートしていますので、ご興味ある方はご覧ください。

 
島内における施設の配置は以下の通りです。

 

小呂島に渡るのは、福岡市姪浜港から出港する定期渡船で1時間5分の船旅となりますが、日帰りしようと思えば火・木・土・日曜日に限定されます。さらに、往路は朝9時発、復路は午後1時20分発の一択なので、滞在時間は3時間20分ほどです。

 

定期渡船。そこそこ揺れます(・_・;)

 

港から15分も歩けば防備衛所を示す看板の場所に辿り着きます。

 

小呂島防備衛所は、対馬警備隊の開隊以前は佐世保防備隊に属していました。昭和17年10月の戦時日誌から登場するので、この頃に設置されたのではないかと思われます。島の東側の玄界灘における対潜哨戒・対空警戒任務を行ってきましたが、昭和20年(1945年)5月頃に新設された対馬警備隊に編入されたのち終戦を迎えました。

 

なお遺構の状態ですが、核となる「衛所」はコンクリート造りだったこともあってしっかり残っています。またその後方にある「地下発電機室」2基も見ることができますが、棲息施設となる兵舎や烹炊所は小学校建設によって消滅しているようです。

 

見取図を掲載します。

 

まずは地下発電機室を見ていきます。

 

登山道を歩きながら小学校側の斜面を注意深く窺っていると、煙突状の構造物を見つけることができます。

これが地下発電機室の通気口となります。

 

そして通気口の下を覗き込むと開口部が見えました。

 

下りてみました。地下発電機室の入口です。

 

内部。機器の設置台座が残っています。

 

2つ目の地下発電機室の通気口です。

 

なおこの通気口の下の地下室は斜面が急で下りるのが難しかったため入りませんでしたが、『引渡目録』では同じディーゼル発動機が2台記載されていますので、1つ目の地下室と同型だったと思われます。

 

以上、前編は終了です。後編では「衛所」を見ていきます。

 

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[参考文献]

「4 派遣隊所在各地区(14)小呂島派遣隊」(Ref.C08011400500、アジア歴史資料センター)