ダニー・ボーイ / ジェリー藤尾 | 風景の音楽

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“のすたるジジイ”が30~50年代を中心にいいかげんなタワゴトを書いております。ノスタルジ万歳、好き勝手道を邁進します。


令和5年6月11日(日)
ダニー・ボーイ / ジェリー藤尾(★★★★★)
ノスタルジ度(★★★★★)
ジャンル:Pop


Side 1 
1.ブルーベリー・ヒル
2.谷間の灯ともし頃
3.私の青空
4.赤い河の谷間

Side 2
1.ダニー・ボーイ
2.峠の我が家
3.ディア・ハート
4.牧場の樹

ジェリー藤尾(vo), 東芝オールスターズ

Recorded 1962
Released by 東芝音楽工業株式会社-JPO 1162(stereo)

今日から七十二候は“腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)”
蛍が舞う季節となった。
孫が幼児の頃に過ごしていた上賀茂にはゲンジボタルがいたものだ。
大分の山暮らしでは先日、戸口に蛍が止まって光っていたそうな。

昨日の日の入りは19時10分だった。
今朝の日の出は4時43分だ。
昨夜からずっと雨が降り続いている。
今日の散歩は休憩だ。

ジェリー藤尾の62年録音。
東芝の10インチ赤盤だ。
GIカットの若々しい顔のジャケットである。
ステージ脇で撮った写真だろうか。

針を下ろすと音圧はやや低いものの
鮮明な若々しい歌唱が流れ出す。
藤尾が22歳の録音だ。
なんともノスタルジックな選曲だ。

上海の日本租界で生まれ育ち、6歳までは英語で生活していた。
高校生のころ、57年にバンドボーイとして出入りしていたジャズ喫茶で
スカウトされて芸能生活に入った。
61年に“悲しきインディアン”でデビューした。

当時はロカビリー路線だった藤尾を
東芝はどう扱ったら良いのか考えあぐねていたようだ。
そこでロカビリーではなくアメリカ民謡の辺りを
選曲したようである。

裏面のトップが“Danny Boy”。
とても若々しい歌唱だ。
小節がロカビリイ風の回し方になっているのが時代を感じさせる。
半間厳一編曲のオケ伴がカントリ調なのがおもしろい。

コーダの高音のロングトーンがわずかにシャープするのが
22歳らしいところだ。
片面に4曲ずつ収められた歌唱は7曲が英語の歌詞を
織り込んでいる。

“ディア・ハート”のオケ伴はJazzのビッグバンドだ。
アレンジャは誰かとみたら三保敬太郎だった。
三保がまだ若かった時分の編曲である。
このアルバムの藤尾の歌唱は、未熟で表現力はまだまだだ。

その素人と変わらぬ感じがとてもよい。
背伸びしながら一生懸命に歌っている。
ジェリー藤尾は、老人ホームや次女夫婦の家で晩年を暮らしていた。
2021年の8月に没したのはまことに惜しかった。