Helen O'Connell With Irv Orton's Orchestra | 風景の音楽

風景の音楽

“のすたるジジイ”が30~50年代を中心にいいかげんなタワゴトを書いております。ノスタルジ万歳、好き勝手道を邁進します。


令和2年8月23日(日)
Helen O'Connell With Irv Orton's Orchestra(★★★★☆)


Side 1 
1.Stay As Sweet As You Are    1:40
2.The Nearness Of You    2:00
3.Pocketful Of Dreams    1:54
4.Deep In A Dream    1:50
5.Imagination    2:00
6.I Could Have Danced All Night    1:31

7.I'm Getting Sentimental Over You    2:09

Side 2
1.Can't We Just Talk It Over    1:56
2.My Future Just Passed Away    1:35
3.Tennessee Fish Fry    1:48
4.Once In Awhile    2:26
5.I See Your Face Before Me    2:42
6.Zip-A -Doo-Dah    1:21
7.Thanks For The Memory    1:32

Helen O'Connell(vo), Irv Orton(cond)

Recorded 1955
Released by Hindsight Records ‎– HSR-217

昨夕に豪雨が降った。
雷までついて豪勢な夕立となった。
三時間ほどで雨は止んだ。
雨が止むと窓から虫のすだく声が聞こえて来た。

今夏初めての虫の声だ。
すでに秋の虫は孵っていたが
残暑にひっそりと静まっていたのだ。
驟雨で気温が下がり、一斉に初鳴きしたというわけか。

今日は“処暑”。
暑さが峠を越える頃というとおり
降雨のおかげですっかり涼しい朝を迎えた。
蝉の声もなく町内には静けさが満ちている。

道には通る車も人の姿もなく静まりかえっている。
昨夜の虫の音は夢を見ていたのだろうか。
ジャック・フィニイのSF小説をおもいだした。
七十二候は“綿柎開(めんぷひらく)”。

気付かぬうちに季節はちゃんと移ろっている。
今夏の猛暑は梅の土用干しには最適だったのに
ベランダに干し場をつくる元気が湧かなかった。
ぼうっとしている内にもう晩夏となっちまった…。

ヘレン・オコネルの55年録音。
ヒンドサイトの85年復刻盤である。
ジャケット印刷は半艶でざらりとした手触りが珍しい。
シボではないが凸凹した印刷がおもしろい。

音源はラジオ放送のための16インチ、トランスクリプション盤。
今回、ライナーに“Transcription”の記述があって
放送に16インチ盤が使われていたことを初めて知った。
局用のRCAのプレーヤの大きなターンテーブルは魅惑的だ。

16インチ盤はさすがにでかい。
12インチのLP盤がオモチャのように見える。
ラジオ放送用に開発されたトランスクリプション盤は
テープと違ってトラックが丸見えだからたしかに便利だったろう。

MCやCMもまるごと収められた盤もあったようだ。
ラジオ放送で使うには16インチ盤はとても重宝する。
局用のターンテーブルにも憧れたものだが
小型冷蔵庫のような大きさでは持て余してしまう。

だいいち、SP仕様の16インチ盤はRIAAカーブではない。
20年代当時はさまざまなイコライザ・カーブがあったものだ。
切り替えの付いたプリも出ていたが
今更、完動品を求めるのは無理が多い。

オコネルの声は少しベタ気味だ。
アタシはすかっと抜ける声質が好きだ。
ベタ声でもオコネルは朗らかな歌唱なのが佳い。
彼女の声質にはアーブ・オルトンのオケは実に似合っている。

アーブ・オルトンはストリングスを使わぬ。
ところがブラスの派手さを抑えていて
落ち着きのある佳いウタ伴だ。
これで金管がぐいと前に出る編曲だと暑苦しくなる。

夏にはオケが張り切るヴォーカルは向かぬ。
オルトン・オケは甘い雰囲気を出しながらも
すっきりした味わいの演奏だ。
こういうすっきりしたオケ伴は案外少ないのである。

ヒンドサイトの四ツ目シリーズをアタシはとても気に入っている。
中古屋に四ツ目が出ることがめっきり減ってきた。
やはり、いいものはだれもが目を付ける。
かといってeベイにまで手を出す気はないけどね。