Breakin' It Up/The Barry Harris Trio | 風景の音楽

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“のすたるジジイ”が30~50年代を中心にいいかげんなタワゴトを書いております。ノスタルジ万歳、好き勝手道を邁進します。


令和2年8月22日(土)
Breakin' It Up/The Barry Harris Trio(★★★★★)


Side 1 

1.All The Things You Are    
2.Ornithology 
   
3.Bluesy    
4.Passport

Side 2
1.Allen's Alley    

2.Embraceable You    
3.S R O    
4.Stranger In Paradise    

Barry Harris(p), William Austin(b), Frank Grant(ds)

Recorded jul. 31, 1958.
Released by Argo ‎– LP-644 / Cadet ‎– CA-644 / 

昨日、初めてトンボを見た。
以前は初夏からトンボを見たものだが
今夏はようやくシオカラトンボを見た。
毎年、昆虫の数が減っていく。

ラズベリイにいつもマルハナバチやクマバチが来ていたのに
今年は蜜蜂すら来なかった。
白い花の回りを大きな羽音を立てて飛び回るマルハナバチは
愛らしい風景だったのに残念だった。

バリイ・ハリスの58年録音。
オリジナルはアーゴ、これはカデットの70年代復刻盤。
オリジナルはカラー・ジャケットなのに
カデット盤ではモノクロ・ジャケットで味気ない。

このアルバムはテイチク盤を持っている。
ジャケットはもちろんカラー印刷である。
カデット盤ではどんな音がするかとおもって手に入れた。
バリイはアタシの好きなピアニストである。

期待して針を下ろした。
鮮明で活き活きとした音だ。
ジャケットはヒドイ代物だが音はよい。
テイチク盤もよかったが鮮度はカデットに負ける。

これはバリイが29歳での初リーダ・アルバムである。
ピアノを弾きながら椅子の上で腰が跳ねているような雰囲気だ。
腰で取るリズムがそのままに出てきたような演奏だ。
カデット盤の佳さは強いアタックが突き抜けてくるところだ。

こうなると是非ともオリジナルのアーゴ盤を聴いてみたいが
分相応のカデットでガマンしよう。
ジャケットはテイチク盤をかざっておけばいい。
中身が入れ替わるのだけは注意しないといけない。

裏面は“Allen's Alley”から。
アップテンポの曲だがバリイのピアニズムはテンポが速くとも
饒舌にならぬところが佳い。
つい一音増やしたくなるのが常人の性である。

バリイは速弾きをしても要らぬ音を加えぬ。
これは大抵のことではない。
ピアニストはだれしもアタマの中で旋律が鳴っている。
そのアイデアがルーティンに墜ちてしまうともう抜け殻になる。

29歳のこの演奏はリリシズムに満ちて輝いている。
惜しいことに裏面は傷みがあってところどころでトレースが悪い。
なかなか復刻盤に完璧を求めるのは難しいものだ。
なあに、モノーラル針で掛けるという奥の手があるんだけどね。


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