Rare Live Performances In Los Angeles 1944/Nat K | 風景の音楽

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“のすたるジジイ”が30~50年代を中心にいいかげんなタワゴトを書いております。ノスタルジ万歳、好き勝手道を邁進します。


令和2年8月19日(水)
Rare Live Performances In Los Angeles 1944/Nat King Cole(★★★★★)


Side 1 

1.Old Piano Plays The Blues    3:42
2.Yes Sir, That's My Baby    1:48
3.Last But Not Least    2:30
4.Don't Cry, Cry Baby    3:21
5.Paper Moon    1:57

Side 2
1.Body And Soul    4:06
2.Cole's Bop Blues    3:57

3.Nat Meets June  4:38
 – June Christy(vo)
4.The Greatest Inventor    2:20

A1~
B2 : Nat King Cole(p, vo), Oscar Koore(g), JohnnyMiller(b)
B3,4 : Big Band ; Nat King Cole(p, vo), June Christy(vo)

Recorded 1944 in Los Angeles
Released by Musidisc ‎– 30 JA 5175

東風が吹いて爽やかな朝を迎えた。
日差しは変わらぬままだが
着実に夏の終わりが近づいている。
昨日はツクツクボウシの声を聴いた。

ナット・キング・コールの44年録音。
ロスのクラブでのライブ録音である。
ムジディスクの“Jazz Anthology”シリーズの復刻盤。
仏盤でシュリンクの掛かった新品だ。

モノクロ写真の簡素なペラ・ジャケに仏盤らしさがある。
売れそうにないデザインである。
シュリンクをペリペリと剥がしてプレイヤに載っけた。
針を下ろすとナットの若々しい声が飛び出す。

ナットが歌うブルース・ナンバーは初めて聴く。
ナットは39年に自身のピアノ・トリオを結成している。
これはドラム抜きのピアノ、ギター、ベースのトリオだ。
このアルバムの演奏もこのトリオで演っている。

ブルージイなピアノにオスカー・クールのごつごつしたギターが
曲名どおり“古びた”雰囲気を醸し出している。
かなりノイズが乗るのは音源がSPかとおもったら
ジャケ裏面に小さい英語のコメントがついていた。

“これは30年以上も前の録音であり、品質は完璧ではない。
フィルタを掛けることは演奏の音質に影響が出るため
最低限に留めています。”
さいですか、これはSPではないのですね。

ノイズ除去を僅かに留めたのは慧眼なり。
だが、もう一歩ガマンしてまったくそのままに
カッティングしたらどうだったのかね。
古い録音のノイズは気にならぬものだ。

雨の日でも音楽を聴くのにはなんの差し支えもない。
それと一緒である。
ナットの甘い歌唱は初々しく朗らかだ。
これはナットが25歳のライブである。

ナットがドラムレスのトリオを組んだのはおもしろい。
穏やかな雰囲気の演奏をしたかったのかもしれぬ。
少年時代にナットは教会オルガン奏者の母親からオルガンを習った。
一人で完結するオルガンの影響もあるかも知れない。

ビッグバンド全盛の当時にこのトリオはたいそう評判を呼び
トリオ・コンボの草分け存在だったそうだ。
裏面の“Nat Meets June”ではジューン・クリスティとデュエットしている。
オスカーのブルージイなギターがノスタルジックだ。

ナットはアラバマ生まれなので教会でもブルースを元にした音楽は
たくさん演奏されていただろう。
アタシはブルースのVINYLはほとんど持っていないが
米国南部の雰囲気には強く惹かれるものがある。