Sarah Vaughan At Mister Kelly's/Sarah Vaughan | 風景の音楽

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“のすたるジジイ”が30~50年代を中心にいいかげんなタワゴトを書いております。ノスタルジ万歳、好き勝手道を邁進します。


令和2年8月15日(土)
Sarah Vaughan At Mister Kelly's/Sarah Vaughan And Her Trio(★★★★★)


Side 1 

1.September In The Rain    
2.Willow Weep For Me    
3.Just One Of Those Things
4.Be Anything But Darling Be Mine

Side 2
1.Thou Swell    
2.Stairway To The Stars    

3.Honeysuckle Rose    
4.Just A Gigolo    

5.How High The Moon

Sarah Vaughan(vo), Jimmy Jones(p), Richard Davis(b), Roy Haynes(ds)

Recorded Aug. 6, 1957. at Mister Kelly's, Chicago
Released by Mercury ‎– MG20326 / 日本フォノグラム BT-1307

庭と前の道に散水をして洗濯物を干し
一仕事済ませるともう汗だくだ。
今日も熱中症警戒警報が出ている。
昨日の夕方に生協まで買い物に行った。

夕方でも体温を超える気温だが
湿度が低いので木陰では汗がすっと引く。
ジャワの夏をおもいだした。
ジャワの八月は冬の乾期で大気がからっとしている。

気温は年間を通してほとんど一定しているが
八月は湿度が低くまことに過ごしやすい。
赤道直下なのに気温は京都の夏がはるかに高い。
アタシが過ごした東部ジャワは海が近くなので涼しかったのかも。

サラ・ヴォーンの57年録音。
オリジナルはマーキュリイ、これは日本フォノグラムの74年復刻盤。
“マーキュリー・ジャズ1300コレクション”シリーズの廉価盤。
ジャケットはがっちりしているがVINYLはペラ盤なり。

それでもモノーラルで出してくれたからありがたい。
針を下ろすと鮮度が高く潤いのある声が流れ出す。
廉価盤などとバカにするものではない。
オリジナル盤は富士の高嶺に咲く花、廉価盤で十分だと吾に言い聞かす。

これはサラ33歳の録音である。
シカゴのクラブ“Mister Kelly's”でのライブ録音だ。
二曲目の“Willow Weep For Me”の2コーラス目で
がたんと大きな音がして客の笑い声が起きる。

舞台でサラがマイク・スタンドを倒しかけたようだ。
サラが何やら言い訳をして客がどっと笑い、
一挙に雰囲気が和やかになる。
ライブ録音というのはいいものだ。

他にサラの素晴らしいライブ録音では“At London House”を持っている。
彼女のライブ・アルバムは案外少ないから不思議である。
この2枚は30代の録音でサラの伸びやかで艶やかな歌唱が
何とも魅惑的なライブ・アルバムだ。

サラのMCの声は歌唱の時よりも可憐な可愛らしい声なので
そのギャップがまたいい。
Jazzに正統派もPop派もジャンル分けしても意味はないけれど、
正統派のJazz Vocalではサラが一番アタシの好みに合う。

歌姫のジョニやDDはPopular歌手と言えるだろう。
アタシはJazz Vocalを聴くようになったのは50を過ぎてからのことだ。
若い時分はそもそもVocalに関心が薄かった。
児童合唱の指導に熱中していたからかも知れぬ。

仕事が忙しくなり児童合唱から身を引いて10年も経った頃に
Jazz Vocalを聴き始めてすっかり虜になっちまった。
男声ヴォーカルではシナトラにとどめを刺すが
女性ではやはりサラが一番だ。

ホリデイもたいそういいのだけど
ホリデイはときとして重すぎて辛くなってくる。
だから歌う悦びを素直にだしてくるサラの朗らかさに救われるのだ。
今年は未聴のサラのアルバムをゆっくりと捜すとしよう。