Connee Boswell And The Original Memphis Five | 風景の音楽

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“のすたるジジイ”が30~50年代を中心にいいかげんなタワゴトを書いております。ノスタルジ万歳、好き勝手道を邁進します。


令和元年5月20日(月)
Connee Boswell And The Original Memphis Five In Hi-Fi(★★★★☆)


Side 1  
1.When My Sugar Walks Down The Street    
2.Say It Isn't So    
3.At The Jazz Band Ball    
4.Japanese Sandman    
5.Make Love To Me    
6.My Honey's Loving Arms

Side 2
1.Pagan Love Song    
2.Giannina Mia    
3.Singin' The Blues    
4.All Of Me    
5.I Wish I Could Shimmy Like My Sister Kate    
6.When The Saints Go Marching In    

Connee Boswell(vo), James Lytell(cl), Milford Mole(tb), Billy Butterfield(tp), Frank Signorelli(p), Eugene Traxler(b), Anthony Sbarbaro(ds)

Recorded 1957
Released by RCA Victor ‎– LPM-1426

紗の掛かった陽光が柔らかく注いでいる。
今日はまた雨が降るようだ。
今日、明日はまとまった雨になる予報である。
庭の木々が喜んでいる。

コニイ・ボズウェルの57年録音。
メンフィス5との共演である。
RCAのオリジナル、モノーラル盤だ。
レーベルにヒゲ傷がたくさん付いている。

よほど雑な扱いをしていたのだろうか。
これはノイズだらけかとおもいつつ針を下ろした。
おう、まったくノイズがない。
前オーナはターンテーブルに載せるのがヘタなだけだった。

VINYLを載せるときにセンター・スピンドルにVINYLをこすって
穴をさぐる人が居る。
五味康祐氏はヒゲの出来たVINYLのオーナを心底から軽蔑していた。
アタシは、若い頃に五味氏の随筆を読んで肝に銘じたものだ。

片手でごそごそ載せようとするなどとんでもないことだ。
両手でVINYLの縁を持ってターンテーブルの周辺に指を当てれば
すっとスピンドルに填まる。
ヒゲの出来るのはVINYL愛好家の恥なのだ。

コニイはボズウェル・シスターズの次女だ。
ここではソロでメンフィス・ファイブと演っている。
メンフィス・ファイブは1917年に結成されたバンドだが
白人ばかりのバンドでかなりコテコテの演奏をする。

メンバーはクインテットだったりセクステットだったりして
しょっちゅう入れ替わっている。
ベースの代わりにチューバが入っていたときもある。
オールド・スタイルの演奏だけれどその古典的な雰囲気がいい。

ここにコニイのヴォーカルが入ると
がらっと洒落た都会的な雰囲気に変わるのがおもしろい。
そのセンスがコニイの佳さである。
ソロに一番向いているのがコニイだ。

“Japanese Sandman”というのは謎の曲である。
Sandmanとはなんぞやと辞書を引いたら“砂男”だと。
アタシはホフマンの砂男というファンタジイをおもいだした。
もともとはドイツの眠りの妖精のことだそうだ。

砂男は砂の入った袋を背負った老人である。
夜更けになると砂男は袋の砂を人に掛ける。
するとだれもが目が開けられなくなり、眠りについてしまうのだそうだ。
いや、砂が目に入ったら痛くて眠るどころじゃないだろうに。

“THE JAPANESE SANDMAN”
 Won't you stretch imagination
 for the moment and come with me,
 Let us hasten to a nation
 lying over the western sea;
 Hide behind the cherry blossoms,
 here's a sight that will please your eyes,
 There's a baby with a lady of Japan
 singing lullabies,
 Night winds breathe her sighs.

 Here's the Japanese Sandman,
 Sneaking on with the dew,
 Just an old second-hand man,
 He'll buy your old day from you;

 He will take every sorrow 
 Of the day that is through, 
 And he'll give you tomorrow 
 Just to start a life anew

 Then you'll be a bit older
 In the dawn when you wake, 
 And you'll be a bit bolder 
 With the new day you make:

 Here's the Japanese Sandman 
 Trade him silver for gold 
 Just an old second-hand man 
 Trading new days for old.

“日本の眠りの精”とはどんなイメージだったのかね。
骨董屋のジジイが買い取るのは古い夢…と子守歌を歌う大和撫子。
ドイツの砂男とはずいぶん違うねえ。
この歌詞は気に入ったよ。