THE KAY STARR STYLE | 風景の音楽

風景の音楽

“のすたるジジイ”が30~50年代を中心にいいかげんなタワゴトを書いております。ノスタルジ万歳、好き勝手道を邁進します。


THE KAY STARR STYLE(★★★★☆)

Side 1
1.Side By Side    
2.It's The Talk Of The Town    
3.Waiting At The End Of The Road    
4.I Just Couldn't Take It Baby    
5.I've Got The World On A String    
6.When My Dream Boat Comes Home

Side 2    
1.The Breeze    
2.To - Night You Belong To Me    
3.Too Busy    
4.What Can I Say After I Say I'm Sorry
5.Please Be Kind    
6.Someday Sweetheart    

Kay Starr(vo),  Harold Mooney (cond : A1, A5 to B2), Vic Schoen (cond : A2, B5), Dave Cavanaugh (cond : A3, B3, B4), Lou Busch (cond : A4, B6)

Recorded 1953
Released by Capitol Records ‎ ‎– H 363 / – T363

雨上がりの青空で迎えた朝だ。
昨日は珍しく終日の雨天だったので
庭の木々も喜んだろう。
今年は山茶花が一気に咲かずに少しずつ開花する。

雨滴の光る花びらが陽光に白さを増している。
学校へ通う集団が無言で通り過ぎた。
朝っぱらから元気を出せぬガキはいかんぞ。
あと一日で週末だからわいわい騒ぎながら登校しろ。

ケイ・スターの二枚目か三枚目の初期アルバム。
オリジナルは十インチ盤だが、
これは、後に四曲を追加して55年に十二インチ盤で出たものだ。
モノーラル盤でこれまたすこぶる鮮度の高い音がする。

十二インチの初プレスにふさわしい音だ。
今月は昨日のギレーヌ・ガイとの二枚を奮発した。
この程度ならばフトコロを痛めるほどではない。
今年はVINYLの枚数を増やさぬためにもオリジナル版発掘でいきたい。

ケイ・スターが初めてシングル盤を出したのは二十六歳の時だ。
LPが出たのは二十八歳の時だからずいぶん遅咲きではある。
ケイ・スターは1922年生まれだが、没年が2016年(九十四歳)で
晩年まで現役だったからアルバムも大量に出している。

アタシはけっこう彼女のアルバムを持っているが
やはり彼女の旬は初期のころだねえ。
スター姐御の歌唱はどんどんダイナミックになっていくので
アタシは30代前半までで打ち止めとしている。

男女にかかわらず若い時分の歌唱は初々しくてよいものだ。
このアルバムはスター姐御が三十一歳の録音だから
もうかなりのキャリアを積んで居り、初々しいとは言えぬ。
それでも活き活き溌剌とした声が魅力的だ。

裏面の“Too Busy”の弾むスイング感は素晴らしい。
アタシにはリズム感覚が乏しいので
姐御の絶妙のスイングを聴くと惚れ惚れしちまう。
これはデイブ・キャバナのアレンジだ。



オケ伴は四人の指揮者が振っている。
それぞれ個性があるが、アタシはハロルド・ムーニイの編曲が好きだ。
なにしろスター姐御のヴォーカルはパワーがあるので
オケ伴にもパワーが要る。

かといってブラス・セクションを出し過ぎると品がない。
ムーニイの編曲はそのバランスが実に巧みである。
五十年代の演奏は“オケ伴黄金時代”の真ん真ん中である。
今ではこんなゴージャスなオケ伴は聴けない、やれ虚しや。