DARLING OF PARIS/Guylaine Guy | 風景の音楽

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“のすたるジジイ”が30~50年代を中心にいいかげんなタワゴトを書いております。ノスタルジ万歳、好き勝手道を邁進します。


DARLING OF PARIS/Guylaine Guy(★★★★☆)

Side 1
1.Ça C'est Formidable (This Is Wonderful)(Bécaud - Azilavour)
2.La Marchande De Ballons (The Balloon Seller)(Bécaud-Amade)
3.Les Tambours Et L'amour (Drums And Love)(Delanoe-Bécaud)
4.Le Ciel (The Sky)(Varel-Bailly)
5.Mon Ami Réveille-Toi (Friend, Wake Up)(Stern-Marnay)
6.Mon Ami Paris (My Friend Paris)(Stern-Maray)

Side 2
1.Liberté De Paris (Alone At Night In Paris)(Charles Trenet)
2.Rien Qu'une Chanson (You Left Me Only A Song)(Charles Trenet)
3.Ou Sont-Ils Donc? (Where Are Those Mysterious Countries?)(Charles Trenet)
4.Les Chansons De La Nuit (The Songs Of The Night)(Charles Trenet)
5.J'ai Mordu Dans Le Fruit (I Have Tasted The Fruit)(Charles Trenet-Brunieres)
6.Du Soir Au Lendemain (From Dusk To Dawn)(Charles Trenet)

Guylaine Guy(vo)

Recorded 1956
Released by RCA Victor ‎– LPM-1298

阪神大震災から二十三年が経った。
アタシが家を建ててから二ヶ月後の震災だったから
どうしようかと慌てたが家は潰れずに済んだ。
階下で響く食器類の割れる音が恐ろしかった。

東南海地震が起きればどうなるだろう。
まだ広かった家には物が増え続けずいぶん狭くなった。
断舎利しなくては、とおもいつつも
“物好き”のアタシにはとてもとても難関である…。

ギレーヌ・ガイのオリジナル盤を手に入れた。
ガイはカナダ生まれの歌手である。
カナダはフランス語圏が多く、ここに収められたのもすべてフランス語だ。
モントリオールのキャバレーで働いいるときにスカウトされ、パリへ移った。

RCAのこのオリジナル盤、がっちりした持ち重りのする盤に
貼り付け印刷の厚い茶ボール紙のジャケットで実にヨロシイ。
やはりVINYLはオリジナルに限る。
安物漁りばかりしていないでまともなVINYLを仕入れよう。

針を下ろすと中域の厚いモノーラル音が飛びだしてくる。
五十年代半ばのこのアルバム、素朴さがあってよい。
アタシはシャンソンをほとんど聴かないので
未だにそのよさが判っていない。

シャンソンには、小粋な雰囲気に両刃の危なさがあるとおもっている。
小娘がおスマシして歌ってる内はまだ背伸びしててカワイイが
あっという間に成長してフレーズをもてあそびだすから困る。
堂々と熱唱されるとますます困っちまう。

日常生活を普通にうたうシャンソンもあるはずだ。
そういう歌は大ヒットするわけでもなく
市井で普通の民衆が口ずさむだけだ。
裏面に収められた曲はそういう穏やかで優しいものが多い。

それらの曲はいわゆるシャンソンではないのかもしれぬ。
シャンソンとはフランス語でただの“歌”のことなんだから、
アタシが勝手にアタマの中で作り上げた観念に囚われているのかもしれぬ。
それにしてもあっけらかんとした明るさがいかにも五十年代である。

アタシは仏語も独語も西語もさっぱり判らぬ。
歌詞が判らないのでは、ヴォーカル聴いても
スキャットかインストと変わらないじゃないか。
勝手に“パリの歌”と脳内でおもって愉しむしかないか。

モノーラル針で聴くこのアルバムはよい音だ。
なぜだかオリジナル盤というものは音の鮮度が高い。
アタシはそのことが不思議でしょうがない。
再発をくり返すに連れて力がぬけてすかすかになっていくのが不思議だ。