過利は信を失い 多利は心を失う | 満願寺窯 北川八郎

満願寺窯 北川八郎

九州、熊本は阿蘇山の麓、小国町、満願寺窯からお送りするブログです。
北川八郎の日々の想いや情報を発信してまいります。

<2003年月刊致知10月号より48回にわたり連載された「三農七陶」から抜粋します>


(前略)



東京で急激に業績を伸ばし また急に停滞し下降を始めた会社を訪れた。

社員がきびきびとしているように見えたが 本当は皆ゆとりなく 緊張していることがわかった。社長訓辞は厳しく 皆ピリピリとしていた。業績上昇を目指して 前年対比をもとに全エネルギーを使って 上昇するんだと 掛け声たくましく全社員を励ましていた。一気に上昇すれば あとは滑空するだけで 楽になると夜遅くまで働いているという。


同じ飛ぶなら 私ならばコンドルを目指せと言う。

一人 風を探してうまく乗れば 皆飛べる。無理して上昇しなくても 丘のヒバリのように、それぞれの高さで風と景色を楽しめる。ヒバリは6月の上空で ピーチクピーチク飛びながら仲間同士が騒がしい。

楽しく働くがいい。


別な会社で女性マネージャーが「ここは戦いのリング。皆さん 上がった以上 勝つまで下りてはいけない」と拳を上げていた。

ストレスに弱そうな女性社員が おびえながら並んでいる。

何だか 皆高級料理を食べながら 子宮筋腫や子宮癌にならないか心配してしまう。


職場を戦場にしてはいけない。

職場は平和の場としなさい。いつも 安らぎと平安に満ちた職場から いい商品と 親切な笑顔の対応が生み出される。お店がキリキリとしていたら お客はその雰囲気の鋭さに逃げ出してしまうだろう。理論の鋭い社長のいる会社は 社員の姿勢がお客にも 社員間でも鋭く 怒りと不満のるつぼで苦しむ。



・・・つづく


(月刊致知2004年9月号)



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