ありがとうを選ぶ | 満願寺窯 北川八郎

満願寺窯 北川八郎

九州、熊本は阿蘇山の麓、小国町、満願寺窯からお送りするブログです。
北川八郎の日々の想いや情報を発信してまいります。

「光る足」

1999年2月から2000年12月まで百回にわたって毎週火曜日 熊本日日新聞のコラム「ワラブギ談義」の原本を10年ぶりに開きました。当時53才~55才。当時から伝えていることは変わりなく その心を読み返したく連載します。


2000・1・14 no50


少し自分が損してでも 人にありがとうと言われる方を選ぶ。いつも自分の利を追っているとやがてトラブルが生じる。人はいつも許すことを知っている人 与えてくれる人 自分のことよりも人のことを心配してくれる人 思い上がらずニコニコしている人に近づく。そんな人に 他人の悪口や文句を告げることが恥ずかしくなってゆく。


いつも人に喜びや優しさを与える人は 他人は笑顔で近づくことになる。怒らない人の傍らにいると いつも怒る自分が恥ずかしくなり かえって癒される。昔の人は言う。「徳のレンガと積みなさい」「地にではなく 天に蔵を建てなさい」と。天に蔵を建てるには 人からありがとうと言われる方を選ぶ練習が必要だ。そのためには 少し損をすることを選ぶ勇気がいる。


いつも自分のことを思い 利を追い もうかることを考え お金を貯めることに人生を費やしていると とても損を選べない。人からの「ありがとう」は はるかに遠い。他人からの「ありがとう」の重みとそのありがたさの味わいを一生知らずに過ごしてしまう。


あの世に持っていけるものは何だろう。大事な陶器も たくさんのお金も 広い田畑も 愛する人も何も持っていけない。あの世に持っていけるものは 人に与えた喜びと悲しみ それに秘密だけである。何をお釈迦さまの前に並べるかは あなた次第。人に与えた喜びと たくさんの「ありがとう」を持っていきたいものだ。きっと来生もそこからスタートするだろう。


  *no48.no49は昨年末記載しました