歌う泉 | 満願寺窯 北川八郎

満願寺窯 北川八郎

九州、熊本は阿蘇山の麓、小国町、満願寺窯からお送りするブログです。
北川八郎の日々の想いや情報を発信してまいります。

「光る足」

1999年2月から2000年12月まで百回にわたって毎週火曜日 熊本日日新聞のコラム「ワラブギ談義」の原本を10年ぶりに開きました。当時53才~55才。当時から伝えていることは変わりなく その心を読み返したく連載します。


1999・10・1 no35


世の中面白いものだ。私がこのコラムで南小国を自慢した時も 役場の人でさえもほとんど この欄を読んでいない。ところが よそ者の私が小国郷の悪口を書くと たちまちこの欄のことは知れ渡る。今回は小国の自慢を書いてみよう。


このひなびた谷の湯 満願寺にはいくつかの宝がある。村人さえも気づいていないものがある。私の借家の下流に素敵な懐石料理で訪れる人の舌をうならせている旅館があって そのすぐ根っこに もう幾百年も小さな泉がわいている。私は勝手に「歌う泉」と呼んでいる。


この湧水に声をかけると笑うし歌う。心から感謝をこめて「いつもきれいな水をありがとう。いつものように歌っておくれ」「ありがとう。本当に素晴らしい」と声をかけると歌ってくれる。


泉に手をかざし声をかけ続けると 波紋が広がり楽譜のようになびき始める。初めのころ それを笑っていると感じ ある時「歌っているんだ!」と気づいた。


昨年ラジオで次のような話を聞いた。「水には人の心が伝わることがわかったのです。水に汚いとか嫌なやつと言い続けると 水の分子がバラバラになり乱れるのです。ありがとうとか きれいと思うと分子はそろい美しく並ぶのです。また湧水は分子の並びが美しく 水道水や汚水は乱れています。でも感謝し続けるとまたきれいに並ぶんですよ」


みなさん 近くの湧水で水といっしょに歌ってみませんか。私たちの心が水に伝わるのです。