[PL第13節]マンチェスターシティvsリヴァプール | シティなび

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2023−2024イングランド・プレミアリーグ第13節

マンチェスターシティ1−1リヴァプール


シティのSYSTEM


得点者:27分ハーランド


リヴァプールのSYSTEM


選手交代:カーティス・ジョーンズ→グラフェンベルフ、ジョッタ→ルイス・ディアス、ソボスライ→ガクポ、マクアリスター→遠藤、ヌニェス→エリオット


得点者:80分アーノルド


首位攻防戦。やはりリヴァプールとの頂上決戦はどのチームとの対戦よりも面白い。今季のリヴァプールは状態が良いので相手として申し分ない。


で、レビュー

立ち上がりからシティ、リヴァプールともインテンシティが高く素早いトランジションからボールを奪えば縦に速く繋げる攻撃。シティはビルドアップ時偽CBを担うアカンジをCMFの位置まで押し上げるので3−2の形でビルドアップをこなす。この3+2に対してリヴァプールは433なのでSYSTEMの構造上ハメ込む形となる。リヴァプールのハメ込みとハイプレスを剥がすのにシティはGKエデルソンが左右CBの間に立ち位置を取ってボールを受けることでCFヌニェスのプレスを引っ張る。するとここで3vs3の状況となりアカンジと縦関係となってボールを受けに下がるロドリが浮く形となるのでヌニェスの背後から縦パスを引き出せば次は右の大外に開く右SBウォーカーとロドリのゾーンで2vs1の数的優位を作れているからウォーカーに注意を引っ張られて前に出る左SBツィミカスは迷いが生じポジショニングが曖昧となる。そこで前に出たツィミカスの背後でロドリからの縦パスを受けたフォーデンがフリーで前を向き攻撃にスィッチが入る。そこからベルナルド・シウバを経由し左ワイドのドクへと繋いで攻略するわけだがビルドアップから素早い攻撃に結び付けれるのも相手のプレスを上手く引っ張り出してその裏のスペースで縦パスを引き出せているからである。それとシティは序盤から両SBの裏を狙っていた。つまり右アーノルド、左ツィミカスは守備に難があるからだ。


次はパスの距離感をコンパクトにする位置取りであるが3バックを結成する右ウォーカー、左アケが大外に開けば中CBルベン・ディアスとの距離感が広がるのでGKエデルソンが前へ出て左CB化して横パスの距離感を縮める。この時3+2から4+2へと可変する。序盤のビルドアップからファイナルサードへと一気にボールを運んだ決定機でビルドアップの局面を前へと進めたのはGKエデルソンがビルドアップに加わったことで+1をもたらしヌニェスのプレスを引っ張ることでロドリがフリーでボールを引き出せる。4+2はボールサイドで菱形の状態を作りCMFは縦関係なのでマンツーマン気味にハメ込む策だったIHは迷いが生じる。なのでアカンジがIHを立ち位置でピン留めすることによりロドリがフリーとなるわけだ。この中盤のロドリとアカンジはパス回しを潤滑油する為に常に近い距離にポジションを取っているのとその前方のフォーデンとベルナルド・シウバも横の距離が近く横の繋ぎからスムーズにサイドへと展開する。リヴァプールは433なのでアンカーの脇にフォーデン(またはアルバレス)とベルナルド・シウバが立ち位置を取ると2vs1の数的優位を作れるからそこも狙っていたのだろう。

先制点はシティ。GKアリソンのキックミスを拾ったアケがドリブルで軽い対応のアーノルドを抜くと縦パス。この縦パスを最終ラインのギャップで受けたハーランドが仕留める。ハーランドはプレミアリーグ最速で通算50ゴール達成。しかもプレミアでまだゴールを決めたことがなかったリヴァプール相手に決めたことは価値がある。


シティの攻撃時のSYSTEMは325。右SBウォーカーが1列前に上がりボール回しに加われば235へと可変する。シーズン初めは右WGフォーデンが中央に入る傾向が強く大外のスペースをウォーカーがオーバーラップして攻め上がる右サイドのメカニズムだったがここ何試合か見てるとフォーデンは大外にポジションを取り幅を取ることが多くフォーデンのタメからアルバレスが右に流れたりウォーカーを使う。だがボールが集中するのは左サイドでドクの単独突破という一撃必殺があるからだ。この左サイドはベルナルド・シウバがリヴァプールのアンカーの脇のスペースを常に狙っておりハーフスペースにポジション取り。このハーフスペースでベルナルド・シウバが縦パスを受けると左ワイドのドクへと繋ぐ。ここベルナルド・シウバをワンクッションで使う意図はショートパスでスムーズにドクへと繋げる為でCMFからWGへのパスの距離は若干遠いのでハーフスペースを経由することによりパスの距離を短くする。もしも長いレンジのパスをカットされるとカウンターを受ける可能性があるのでリスクを避ける為でもある。もう1つベルナルド・シウバがハーフスペースに立ち位置を取ることでボールサイドで1vs1の状況を作り出せる。左サイドのドクへ直接ボールを入れるとCMFやCBがスライドして1vs2の数的不利となるからハーフスペースにベルナルド・シウバを置いてスライドさせないようピン留めする狙いがある。この左サイドはドクがハーフスペースへ入ればベルナルド・シウバが左ワイドに流れたりと旋回する。後ろのアケは外へ回ってデコイとなったり攻撃を組み立て直したり周りがポジション修正する時間を作る役割を担う。リヴァプールはハイプレスとリトリートの使い分け。シティがリヴァプール陣内でポゼッションすれば442の守備ブロックを自陣に敷いてスペースを埋めようとする。


後半はリヴァプールは少し修正してきた。前半ベルナルド・シウバのポジションが浮いていたのでここにボールが入った場合はアーノルドがプレスをかけて潰しにいく守備の立ち位置となり左ワイドのドクには右CBマティプがスライドして対応する。後半もシティはドクの左サイドから攻撃を仕掛けていた。

シティの守備面はボール非保持時は442となり2トップはハーランドとアルバレスだがベルナルド・シウバが前から出て追い込みをかける。懸念されるのは右SBアーノルドがインサイドへと入って偽SBとなった時に生じる守備のズレとカウンターへの対応。位置的にはハーランドがカバーシャドウで消す、ハーランドがCB+GKへプレスをかけにいけば位置的にベルナルド・シウバ、アルバレスがマクアリスター、アーノルドを監視する。ここでベルナルド・シウバまで前へ出てしまえばアーノルドorマクアリスターのどちらかが空くわけでリヴァプールは左右への揺さぶりから守備のズレを生む工夫はしていた思う。攻撃は右サラーが右の大外に開いてチャンスメイク、スルーパスからダイアゴナルにヌニェスが抜け出してフィニッシュ。シティはサラーにはアケが対峙していたが抜かれた場合にアカンジが素早くカバーに入り潰しにいってたしポケットへの侵入もスライドでカバー。守備時はCBのアカンジの守備能力の高さが光っていた。

カウンターへの対応はハイプレスを剥がされてゾーン1からゾーン2を突破された場合に最終ライン4枚の手前に空間ができてそこを突かれる。ここは昨シーズンと比べるとカウンターに対する守備強度が低い感じする。同点ゴールはアーノルドの精度の高い右足によるもの。ビルドアップからファイナルサードへ一気にボールを運んだリヴァプールは左サイドのルイス・ディアスのクロスを右サラーがトラップしてパスを出せばガクポがオフザボールで空けたスペースにアーノルドが入り込んで右足で決めている。


そんな感じで首位攻防戦は引き分け。シティ2試合連続ドローで足踏み。アーセナルが首位に躍り出る。

次節はトッテナム戦