ご事情でお休みされた理恵さんの代役ということで、私がキーボードを担当した「LPQ」の演奏ですが、私個人の演奏については不満が残るものの、録音された音源を聴いた限りでは、全体的なまとまりとしてはよかったのではないかと感じました。やはり、ロッキーさんのボーカルが持つエネルギーやパワー、そして情感の表現方法や雰囲気作りというところが、多くのリスナーからの高評価や支持、共感につながっているのでしょう。

ピースフェアのときの5人演奏と比べるとコンパクトな構成ですが、ロッキーさんとE子さんのお二人の「芯」がしっかりとしているため、どんな構成になっても安定しています。
更に、今回感じたのは、E子さんのキーボード演奏がとても良いので、私が今回のように緊急的にピアノ演奏に回ったとしても、私自身の至らなさがフォローされるということです。
今回の私自身の演奏に関しては、あまりにも反省点が多すぎて、悔いの残ることも多いです。録音された音源を聞くと、いわゆる観客に聞こえている「外音」のバランスはまあまあよかったようですが、ステージ上のモニターの音質や聞こえ方に関しては、私の判断ミスがあり、うまくいかなかったので後悔しています。
実は、私はいつものようにキーボード専用のセルフモニターを持参していました。使うか使わないかは、現場で決めることにしていました。会場に着いた時に目視確認をしたら、ステージの後方にもモニタースピーカーが置いてあったので、間近にモニターがあれば大丈夫だと判断して、セルフモニターを使わないことにしました。そして、我々の出番前の入れ替えセッティング時には、そのスピーカーの前にキーボード2台を素早く配置しました。画像を見ていただくと、その工夫がお分かりいただけます。
ところが、こちらが思い描くようには物事が進んではいかないものですね。まずは、キーボード用のサブ・ミキサー(持参品)のアウトから指定のDI(昔はダイレクト・ボックスとも言われていた)という機材にPAさんの指示通りに接続したのですが、そのPAさんが、音がメインミキサーに来ていないと言います。私が持ち込んだシールドの線が中で切れているんじゃないかと言われましたが、今朝まで使っていたシールドが左右同時に断線するなんてことあるわけないので、それはないはずですとお答えしました。
サブ・ミキサーのメーターは動いているから音は出ているはずと情報提供をして、DIを通さずにダイレクトでつないでもらうことにしました。そうしたら、やっと音は出たようです。ただし、私にはその音は聞こえませんでしたが。PA さんは、きっと本体ミキサーのレベルメーターとヘッドフォンで確認したのですね。
実は、私はそのDIを見て、音が出ない理由が瞬時にわかったのですが、それをお伝えしても失礼で申し訳ないかなと思ったので、これじゃ音は出ないでしょ、と思いながらも黙っていました。その理由が何であるのか、どうしても興味のある方は、ご遠慮なく直接私にお問合せください。私からその理由を聞くと、機材に詳しかったり興味をお持ちだったりする面々には、すごく腑に落ちる説明になるのではないのかと。
ところで、私達出演者にとってはPAの方あってのライブ演奏であり、イベント等への参加で演奏する際には、私はいつでも、スタッフの皆様にすごく感謝しています。私は自らの過去の苦い経験上のこともあり、自分が出演するイベントやライブの際には、極力PAスタッフさんに不快な思いをさせないように努めているのです。私は、大昔にPAを何度も担当したことがあります。時代遅れの知識ではありますが、それなりのノウハウはもっているつもりです。酸いも甘いも知っている世界なので、リスペクトと感謝の気持ちを欠かしたことはありません。
兎にも角にも、なんだかんだと最初の段取りでかなり時間を費やしてしまい、演奏スタートが遅れました。私は、これはPAさんが悪いのではなく、自身の判断ミスだと書きました。自身が持ち込んだセルフ・モニターアンプを設置しなかったことが、取り返しのつかない失敗の要因となりました。いつも使っている機材なので手慣れていますから、セルフモニターの設置と配線はすごく短時間でできたはずですので、これは完全に私のジャッジ・ミスです。
PAさんから、やっと音がメインミキサーに来たので、最大音量で演奏してみてほしいと言われましたが、自分には何の音も聞こえていない状況で、これが最大音量の演奏です、などと答えることは難しいものです。ま、音の出ない鍵盤をバンバンと強めに叩いて、これがきっと最大ですとお伝えしました。
いよいよ本番が始まり、外の音のことは分かりませんが、モニタースピーカーからもギターやキーボードの音が鳴り始めました。しかし、なぜか私の背後にあるスピーカーからは音が出ていなくて、ステージ前方にある3台のモニタースピーカーから、遠いモコモコ音とモヤモヤ音が聞こえてくるだけでした。これだとキレのある演奏をすることは厳しいだろうという予感はしました。
二つのキーボードの音量バランスについては、サブ・ミキサーのメーターの動きによって、経験値で何とか対応しました。私のすぐ近くに設置されていたモニター・スピーカーから音を出してもらえばよかったのですが、結局はこちらの真意は伝わりませんでした。演奏中にモニタースピーカーを指さして、手の平で「上げて上げて」サインを出したのですが⋯
結局演奏中には、自分の演奏の細かいところまで確認ができずに、イライラは募りました。二人のキーボードのバランスを保つことに努めながら、自分の音が聞こえないからと無限に音量を上げ続けることはせず、とにかく堪えました。私の経験値ですね。自分のミスは、自分でカバーするしかありません。しかし、勘に頼る演奏のようになってしまいました。
キーボードは、本体から聞こえてくるダイレクト音がないので、モニターが唯一の拠り所となるのです。ひとつ前のバンドのキーボーディストさんは、フロントのモニタースピーカーの直前に楽器をセットしていました。トップバッターのバンドなので、ゆっくりとセッティングができたということもあるのでしょう。現場のスタッフさんがそうしろと指示したのかどうかはわかりませんが、さすがだなと思いました。
私はというと、そのバンドの片付け中に、後方のモニタースピーカーの前に素早く陣取ったつもりが、結局そこからは音が出ていなかったので、楽器の配置を失敗してしまいました。何度も言いますが、会場のPAスタッフさんには何の落ち度もないのです。この方は、ほぼワンオペでいくつものバンドの音響対応を臨機応変にこなしていて、すごい方です。尊敬しております。
自分の音がよく聞こえないことによる、思わぬ失敗談もご紹介します。1曲ほど、新曲でストリングス音で演奏したのですが、録音された音源を聞くと、音が重なりすぎていて、濁っているように聞こえる場面が複数回あり、私の演奏らしくないなあと我ながら驚きました。実は私は、ロングトーン系の音でダンパーペダルを多用するタイプのプレーヤーなのです。
ストリングスやパッド音の演奏においては、音を残しながら別の音を重ねていくという高度な技法の際に、ダンパーペダル(メーカーによっては、サスティンペダルとも言う)を使います。更には、ブツギレ演奏にならないように、ダンパーで音を残しておいて次の音を鍵盤で弾き始めてから足を離すという、まさに離れ業(ダジャレではない?笑)を多用します。
今回は、モニターの音が遠くで音の粒が捉えきれなかったため、耳でよく確認した上でのダンパー・ワークができなかったようです。ようです、と書く理由は、音源を聞くまで自分ではうまくいっていたと思っていたからです。ピアノはあちこちミスったけれど、ストリングスはまあまあだったかな、などと勝手に思っていただけに、音源を聞いたときは軽くショックを受けました。

今回使ったダンパーペダル、2種類です。左は、コルグのピアノタッチキーボードで使用。ハーフペダルもうまく機能して、相性抜群でした。同じメーカーだから、当然と言えばそのとおりですが。
うまくいかなかったのは、右側のペダルです。もう一つのローランドのキーボードにつないで使っていましたが、何となく踏み応えに違和感がありました。うっかりと、付属品のオマケで付いてくるような、安物のペダルを持参してしまいました。単にスイッチング機能しかないようなペダルですが、とにかく、踏んだ感触がよろしくないのです。バネの戻る感じが弱いため、私のような特殊なペダルワークをする人には向いていません。
実は、同じような大きさのダンパーペダルでも、同じメーカーから機能のいいベストセラーの製品が出ていて、私はこちらのペダルを何個も持っているので、そちらを持参すればよかったです。ちょっとした手間を惜しんで、演奏に悔いが残るということになりました。

右側が、同じヤマハ製でありながら、なかなかバネの感触もよい小型ダンパーペダルです。きっとどこかで見たことがある方も多いのではないでしょうか。超ロングセラーの名品です。愛用者も多いはずです。
ここで、私お得意のアホなクイズです。私は、なぜこのダンパーペダルを5つ以上も持っているのでしょうか。今回は、三択にします。
①キーボードを持っている数分だけ、全ての機材にダンパーペダルを用意しておきたいから。
②失くしてしまったと思って、焦って購入した後で、失くしたはずのペダルが出てきたから。
③万が一の予備用として、この手の付属品は複数所有していないと気がすまない性格だから。
さて、どれでしょう。正解者には・・・何もありません笑。
クイズを出しておきながら答えを言わない、とよく指摘されるので、この答えは後ほどお伝えします。私の性格をよく考えれば(ご存知の方は)、簡単なはずです。
※この記事は、書き始め自体が7日(月)の早朝になりましたので、初回投稿日時をそのままにしてあります。