少し、昔話をしたくなった (失恋編3)

初夏のある日、、、

小笠原諸島へ単身バイトに行った

あの娘から1通の

絵葉書が届いた...

絵葉書のおもて面には、、、

エメラルドブルー
とはいかないまでも

きっと目の当たりにしたら、

えらくテンション上がるんだろうなぁ～

と思わせる海の写真・・・

「海がめちゃくちゃキレイ！」

「仕事は失敗ばっかりだけど、
とにかく充実してます！」

「小笠原行きを快諾してくれて、とっても感謝！」

そんな内容の手紙だったっけ...

束縛は愛ではない・・・

なぁ～んて、、、

俺ってイイ彼氏じゃん！

などと自画自賛してみたり...

そうして、その後も、、、

何通かの手紙のやり取りをし・・・

約束した待望の1ヶ月間を

迎えようとしていた頃、、、

「バイト先の民宿の人手が足りなくて・・・

滞在もう一ヶ月、
延長してもいい？」

・・・だとさ...

ボクは、逢いたくて

仕方なかったけど・・・

その意志とはウラハラに

例のごとく、寛容な彼氏を演じてしまう...

「えっ、ええよ...」

ボクは、ボクで、、、

納期に追われ、

忙しく仕事をこなす日々を送る毎日・・・

「あ～、いつになったら逢えるんだろうなぁ...」

その日、、、

電話が鳴ったんだ...

そう、あの娘からの電話が・・・

「えっと、、、

あの～、相談があります...」

と彼女・・・

あっ、なんかヤダ、、、やめて、、、

その続きは聞きたくない...

って、本能的に悟ったのを

今でも覚えてる...

「好きな人が...出来ました...
別れて下さい...」

・・・ボクは、状況が飲み込めなかった...

きっと、聞き間違い...だよね...

「えっ？...何？...どういうこと？」

バクバクする自分の心臓音を感じつつ、

ボクは、震える声で聞き直した...

「こっちで好きな人が出来たんで...

別れて下さい...」

あーあ、、、

残念ながら、

聞き違い...じゃ...なかった...

ガシャーン！！

彼女の言葉を

どうにかして

かき消したかったんだ...

受話器を壁に投げつけたのは

後にも先にも、
これがはじめてだった・・・

へへっ、
そんなことをしたって・・・

かき消せやしないのにね...

でも、あの時ボクは、、、

そんなことしか
出来なかったんだ...

続く・・・