大学では、毎学期の終了前に、学生による授業評価が行われます。
授業の内容についての評価や意見を求める、アンケート形式で実施されます。
前回のブログでは「ピアノ指導法」の授業評価の結果をご紹介しました。ご参考まで…
今日は「初見試奏」クラスの結果をご紹介したいと思います。
このクラスは、1年生のピアノとオルガンの専攻生が中心でした。
こちらも「授業と教師の全体評価」は5段階中5でした。
学生からの感想を読むと、「テクニックの上達に役立った」という感想が多かったです。
このクラスの講義名は「初見試奏」ですが、実際には、初見とピアノ演奏に必要な様々な基礎を網羅しました。
様々なことを学んだ中でも、多くの学生が「テクニックの上達」を一番感じたというのは、私自身は少し驚きました。
指の訓練のために「ハノン(39番以後)」と「ドホナーニ」は毎週宿題にしていました。
学生達にとっては楽しい宿題ではなかったはずです。
アメリカではあまり歓迎されない指の練習については先月書きました。ご参考まで…
弾いた事のない練習に苦戦し、音をちょっとでも間違えると私に「正確に」「もっと良く聞いて」「もっと練習して」などと言われたりしました。
それでもできないと残されて特訓・・・
でも結局その効果を感じた様です!!
その感想の一部をご紹介します。
(「訳はウェブサイトが(?)自動でしてくれる」と聞いたので、一応要約だけ載せました。)
Thank you so much for teaching me fundamental techniques which helps me polishing my piano skill a lot this year.
テクニックの基礎を教えてくれてありがとうございました。一年で自分のピアノ技術がとても向上しました。
Before college I barely worked on my scales, and I only knew some white-key major arpeggios. This class has taught me the importance of technique, and while I made progress, I still have a long ways to go, but I’m excited to improve.
大学に入るまで、スケールはちゃんと練習しなかったし、アルペジオは白鍵から始まる調しか弾きませんでした。このクラスでテクニックの重要性を知りました。これからも練習します。だいぶ上達し、これからの上達も楽しみです。
Thank you so much for teaching us this semester!! I really improved so much technically, and I improved so much in hymn improvisation!
テクニックがとても上達しました。また賛美歌の即興がとても上達しました。
指の練習に関して思い出した事があります。
アメリカでは、現代曲などはすごい勢いで弾けるのに、ベートーベンを弾くと下手な子供達の演奏を時々耳にします。
一度、その様な高校生の大学受験準備を頼まれました。
ラヴェルの「道化師の朝」は素晴らしい演奏でした!
でもベートーベンのソナタを聞いてすぐに「スケールを練習していない」と感じました。
質問してみると、音の配列や指使いは知っていて、ゆっくりは弾けますが、早く弾く練習は殆どした事がないとのこと。
それで、「ベートーベン・ソナタは、受験では特に上手に弾けなければいけないので、スケールの練習を始めましょう。」と提案したところ、その生徒さんもお母様もそれを受け入れられず、もとの先生に戻っていかれました。
その生徒さんは授業料無料で知られる有名大学を受験しましたが、結局受かりませんでした。
プレスラー先生が、あるマスタークラスの出席者から質問されました。
「指がものすごく動くけど音楽性がない生徒と、音楽性は豊かだけど指が動かない生徒、どちらを取りますか?」
先生は「指が動く生徒。指が動かなければ次に進めない。」と即答されました。
先生も独自の、ハノンxドホナーニの様な指の練習をしておられましたし、必要な学生にもその練習パターンを課していました。
指の練習に関しては色々な意見がある様ですが、私は、レパートリーと指の練習のどちらも大事で、両方をバランス良く取り入れる必要があると思います。