パパが6年前に発症したスキルス胃がんは、
見つけるのが大変難しい特殊な胃がんです。
パパが胃の痛みを訴えた時から、何回も胃カメラ飲んで、
CT取って、MRI受けても三ヶ月も診断はつきませんでした。
血液検査も、腫瘍マーカーも異常なし。
健康体としか思えない、とまで言われました。
でも、胃の痛みを訴えるパパを見てると、私は
「絶対、何か抱えてるはず。」と思いつつ
大きくなる当時お腹の中にいた娘っこに不安を与えるのを
心配して、不安を打ち消して生活していました。
三ヶ月経った頃に娘っこが生まれました。
それを待っていたかのように、私が産院から退院してきてすぐ、
当時かかっていた大学病院から電話がきました。
「二人揃ってお話があります。明日、来れますか?」
有無を言わさず、という雰囲気でただ事じゃない感じでした。
翌日、パパと二人で病院へ行ったら、
いきなりのガン告知でした。
このときは、スキルスということは言われませんでした。
数日後の医学部長の説明で初めて告げられたのです。
通常の胃がんなら、胃カメラで採取する細胞で
悪性と診断がつくが、スキルスは表面の粘膜ではなく
深い部分で硬く広がるので、細胞が取れないのですが、
たまたまパパは胃潰瘍ができていて、そこから悪性細胞が
採取できた。これはラッキーなことと言える。
スキルス胃がんは、見つかったら手遅れ、ということが多い。
そう説明されました。
ラッキーと言われても、私たちには大きな岩を頭に落とされたような
衝撃的な告知でした。
いきなりステージⅣーbと言われ、ラッキーと思えるでしょうか?
この時の記憶がパパにはあまりないようです。
医学部長に説明を受けた内容をあまり覚えてないのです。
あまりにもショックで受け入れられなかったのだと思います。
でも、それでよかったと思います。
無事に胃を全摘できて、転移もなく、
TS-1を5年も飲み続けて、奇跡的とも言える
スキルス胃がん5年生存率を少し上げることに
貢献できました。
もちろん5年間はきつくて苦しいときもありましたが、
「自分は治ってるんだ」っていう強い信念が
パパを支えてくれていました。
無事に5年を経過して半年も経たないうちに、パパは
右のミゾオチあたりが痛いと訴えるようになりました。
定期的に受ける大学病院での検査は、血液検査。
4ヶ月~半年おきのCT。
「神経痛みたいなものじゃない?」
最初はそんな感じで、そっか、前に帯状疱疹をしたし
免疫が弱ってるのかもね。そう話していたけど、
やはり痛みが続き、5月にCTを取ってもらいました。
1月には異常なかったCTに、明らかに異物が写っていました。
内臓でなく、内臓と骨の間に挟まれるように、
それはありました。
こんな異常事態でも、血液検査も腫瘍マーカーも
正常値でした。
「血腫のようなもので、そのうち吸収されるだろう。
がんではないよ。」
そう言われても、パパの痛みは引かないし、
6月になって高熱をだしてしまいました。
白血球が上がっていて、炎症を起こしてると言われ
これは、絶対ミゾオチあたりにできた腫瘍のせいだと
私は思っていました。
思いたくなくても、直感だったのでしょう。
先生は、毎月一回CTを取って様子を見てもいいと
言われましたが、珍しく私は意見を主張しました。
「5年半前の時も診断つかないまま3ヶ月待ちました。
もう、あんな思いをしたくないので、
本人は痛い思いをするけど、ちゃんと手術して
取り除いてください。」
パパは嫌がりましたが、手術を6月末に受けて
全部を取りきることは不可能なので、
一部分を切除して、病理に回して結果を待ちました。
結果は、思った通り。
悪性細胞が見つかりました。
そのちょっと後にその細胞はスキルス胃がんの
標本細胞と合致したと聞きました。
なんて、しつこい、なんて陰険な細胞なんだ!!!
結局、再発と診断され、ステージⅣと知ったのは
転院してからのことでした。
長くなりましたが、こういう経緯があったので、
私たちは今回も安心しきれないのです。
「腫瘍マーカーは下がり、腫瘍はなくなりつつある。」
のは、表面的なもので、
見えないとこに巣食っているんじゃないだろうか?
疑いの心を持たずにはいられないのです。
パパは、まだ少し痛みは残っているし、
別の部分に小さな小さな悪いヤツがどこかに
潜んでいたとしたら・・・。
だからこそ、今の主治医は、ほぼ消滅しているといえる段階でも
徹底的にヤツを叩いておきたいのだと思います。
点滴による抗がん剤は血液から入っていい細胞まで殺してしまう
危険性はありますが、ちょっとの悪い細胞も消しておけるうちに
消してしまいたい。
一度耐性ができたら、今の抗がん剤が使えなくなるので、
効いてるうちに、やっつけてしまいたい。
きっとそういうお考えなのだろう、と思います。
悪いことは考えてはいけない。
でも、常に覚悟を持って生きることにしました。
私だけは。
パパは、完治した!治った!
って思って明るく生活して欲しいけど、
「まだ不安は残るんだよなー。」と
昨夜、ぼそっと言っていました。
スキルスに一度かかったら、簡単には解放してくれないということを
この6年で思い知りました。
でも、同じ病を抱えている人のためにも
支えてくれる周りのみんなのためにも
希望を持って。
感謝を忘れずに。
一日一日を大事に、
笑顔で過ごさないとね。
いいニュースの後で重い内容になりましたが、
これが今の、本当の気持ちです。
今日から、4クール目始まりました。
気合入れて、頑張っていこうぜぃ、mayo。