SNS全盛の現代では充分に起こりうる物語です。
全く身に覚えがない犯罪の犯人に、ある日突然
仕立てられます。
アカウントも本人のもを使用して、殺人現場の
画像がアップされます。すると野次馬がそれら
を拡散し、犯人と思しき人物の特定が始まり、
プライベート情報が瞬く間に世間に広まってし
まいます。
犯人にされてしまった主人王は、現代版「逃亡
者」さながら様々な苦難を乗り越えて、逃げて
最後は意外な真実に辿り着きます。
しかしこの本はそのどんでん返しが主題ではな
いです。
主題は普通ほ人々の「正義感」です。彼らは犯
人(にされた)をSNSで追います。それは正義
感からやっているのだ、と皆考えます。
「犯人を許さない」「居場所を突き止めてやる」
などと義憤に駆られてはいるが、根底にあるの
は、「悪いのはこいつだ。悪くない自分は犯人
を追う資格がある」という、第三者的なポジシ
ョンからの発信が共通しています。
それはこのような殺人事件だけでなく、政治や
社会の問題のような答えが一つとは限らない案
件に対しても同じです。
「俺は悪くない」「間違った答えをバッシング
する資格が俺にはある」
皆、思い当たる点はないでしょうか。
深く考えさせられる余韻を残す一冊です。
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