・「俺ではない炎上」朝倉秋成 著 | 有井努(ありいつとむ)の乱読ブログ

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多読はするもののインプットと比較してアウトプットが極端に少ない。
そこでブログを利用することにしました。
ノンフィクションが好きなジャンルです。齋藤孝氏もよく読みます。
さらっと内容に触れただけの読書日記ですが、読んでいただければ幸いです。

 

 

SNS全盛の現代では充分に起こりうる物語です。

 

全く身に覚えがない犯罪の犯人に、ある日突然

仕立てられます。

 

アカウントも本人のもを使用して、殺人現場の

画像がアップされます。すると野次馬がそれら

を拡散し、犯人と思しき人物の特定が始まり、

プライベート情報が瞬く間に世間に広まってし

まいます。

 

犯人にされてしまった主人王は、現代版「逃亡

者」さながら様々な苦難を乗り越えて、逃げて

最後は意外な真実に辿り着きます。

 

しかしこの本はそのどんでん返しが主題ではな

いです。

 

主題は普通ほ人々の「正義感」です。彼らは犯

人(にされた)をSNSで追います。それは正義

感からやっているのだ、と皆考えます。

 

「犯人を許さない」「居場所を突き止めてやる」

などと義憤に駆られてはいるが、根底にあるの

は、「悪いのはこいつだ。悪くない自分は犯人

を追う資格がある」という、第三者的なポジシ

ョンからの発信が共通しています。

 

それはこのような殺人事件だけでなく、政治や

社会の問題のような答えが一つとは限らない案

件に対しても同じです。

 

「俺は悪くない」「間違った答えをバッシング

する資格が俺にはある」

 

皆、思い当たる点はないでしょうか。

 

深く考えさせられる余韻を残す一冊です。

 

 

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