書いて心に刻む日本語 [ 齋藤孝(教育学) ]
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名文を紹介する齋藤先生の十八番です。
いろいろとグッとくる文章が紹介されていますが
ここでは、ちあきなおみの「喝采」を取り上げます。
この頃の歌謡曲はまさしく詩に世界観がきっちりと存在しました。
中学生の日記のような独りよがりの
昨今のJ-POPの歌詞とは雲泥の差があります。
「喝采」
いつものように幕が開き
恋の歌うたう私に
届いた報せは
黒いふちどりがありました
あれは三年前 止めるアナタ駅に残して
動き始めた列車にひとり飛び乗った
ひなびた街の昼下がり
教会のまえにたたずみ
喪服のわたしは祈る言葉さえなくしてた
つたがからまる白い壁 細いかげ長く落として
ひとりのわたしは こぼす涙さえ忘れてた
暗い待合室 話すひともないわたしの
耳にわたしのうたが通りすぎてゆく
いつものように幕が開く 降り注ぐライトのその中
それでもわたしは
今日も恋の歌うたってる
(作詞 吉田旺)
いかがですか。
まるでドラマのような状況が目に浮かぶと思います。