think alternatives together ~マネジメントアシストのブログ~

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中小企業の資金繰り改善、やる気の出る経営計画策定を支援するコンサルティング会社です。長野県松本市にいます。

https://booklog.jp/item/1/4065181941

韓国出身のフリージャーナリストによる、現代の韓国社会の現状を伝えたルポ。

子供から青年、中年と高齢者に至るまで、生活格差の広がりが大きなひずみを生み出している様子を取材に基づいて取り上げています。

本書の帯には「これは、近未来の日本の姿かもしれない。」と記されていました。読んでみると、行き過ぎた新自由主義的政策によって起こりそうなことは、我が国にもいつか起こるのではないか、と思う部分もあります。

本書の中に出てきた「受験対策のためいくつもの塾に通う子供と、親や彼らを取り巻く人たち」についても、日本でも以前から受験競争が過熱化する傾向もあり、今後少子化が進むなかで本書にあるような異常な競争状態が起こる可能性もあるなあと感じました。一方で読み進めていくと、そのようにして名門大学に入り、有名企業に就職した彼らが果たして幸せになれるのか、不安にもなりました。

社会のなかにある程度の格差が生じるのはやむを得ないところではありますが、それが複数の世代にわたって固定化されるのは、自由を標榜する社会では望ましくないと思います。これは国の政策に左右されるところが大きいのでしょうけれども、格差をできるだけ広げないようにしつつ、その格差が固定化されないような社会の仕組みがつくれたらよいのにと感じました。

https://booklog.jp/item/1/4065178622

『論点別 昭和史-戦争への道-』井上寿一、2019、講談社現代新書

 

歴史の話は、いつも興味をそそられますが、私にとって「興味はあるが理解が浅い」代表的な時代が明治維新前後と戦前といわれる昭和初期です。当時の主な出来事に関する基礎的な理解が足りないせいもあり、当時をおもしろく描いた書物に出会うことはありませんでした。

本書では、時代が昭和に移るころから戦争が始まるまでの約20年間の日本について、天皇、女性、経済、政党などの様々な切り口からその時代のありようを描き出しています。

特に、私が興味をひかれたのは「メディア」の項です。当時のメディアといえば、新聞とラジオになるわけですが、それらのメディアで発せられる情報には、一般国民からなる読者やリスナーからの影響を大きく受けていたとの指摘には、今の時代にも通づるものがあると感じました。このほかにも、当時の歴史的事実を読み解くために、庶民文化や流行を取り入れて論じているところに、歴史解説としてのリアリティを感じました。

また、多くの“一般大衆”の意識は、終戦から70年以上経過した現代とも大きく変わるところはないのではないかと思ったのは新たな気付きでした。私自身が、さきの戦争によって日本の文化や伝統が一度途絶したように、潜在的に思っていたからかもしれません。

https://booklog.jp/item/1/4065175607

『国運の分岐点-中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか-』

デービット・アトキンソン、2019、講談社+α新書

 

どこで見たかは忘れたのですが、あるレビューで、本書は中小企業が、日本の生産性向上を阻んでいるとの論を張っているということを知り、興味を持って購入しました。

論旨としては、日本の中小企業はそのほとんどがごく小規模であり、そのことが低い生産性の原因になっているということを述べていました。

人口減少、少子高齢化局面にある日本においては、中小企業の生産性の向上こそが再生の道であり、そのための方法として最低賃金の引き上げと企業規模の拡大(それに伴う企業数の減少を前提に)を説いていました。

私がふだん、業務に携わるなかで感じることの一つに「まじめに仕事をしていても、規模が小さいと存続できない」という状況に直面している企業が増えてきているのではということがあります。その点で、本書の論旨には納得できるところがいくつもありました。

他方で、最低賃金を引き上げるべきという筆者の主張には、理解はしつつも、全面的にはすんなり受け入れられないところもあります。賃金の引き上げが生産性を向上させるプレッシャーを生み出し、また従業員の所得向上を通じた日本経済の活性化につなげられるとは思います。ただ、この賃上げを国が制度(最低賃金)としてコントロールしなければ実現できないというところ、これは筆者の長年の日本経済分析のなかで出た結論なのかもしれませんが、優良な中小企業から自発的にこの運動が発生し、自然に企業が淘汰されていく状況は作れないものだろうか、とも思いました。

中小企業のあり方に、厳しい一石を投じたという面では、あまり触れられないテーマに思い切って切り込んだ一冊だと思います。