「親族への承継で気をつけることは?」

 

【質問】

30年前に創業した中小企業の経営者です。私の長男である専務に、経営の承継をしたいと考えています。経営者の親族に会社を承継するにあたって、その特長と留意点を教えてください。

 

【答え】

30年前に創業された会社を、長男である専務に引き継ぐ。これは中小企業の事業承継として、今なお多く選ばれている形です。2024年の商工中金調査によると、親族への承継意向をもつ経営者は約73%と、2016年調査の79%から下がっているとはいえ、依然として親族内承継は、事業承継先の最有力選択肢となっています。

ただし、親族内承継には明確な特長がある一方で、注意すべき点も存在します。以下では、経営者の親族に会社を承継する際の特長と留意点を、整理してご説明します。


親族内承継の特長

家業としての責任感を引き継ぎやすい
 創業の経緯や会社への思いを、日常生活を通じて共有してきたことで、会社を「自分ごと」として捉えやすい傾向があります。

従業員との信頼関係を引き継ぎやすい
 社長の子どもとして以前から顔を知られている場合、社内での心理的な受け入れが比較的スムーズに進みやすくなります。

経営者としての素養を早期から身につけている可能性がある
 資金繰りの話や人の問題など、経営の現実を間近で見聞きして育っていることは、大きな強みになります。

経営方針や価値観が大きく変わりにくい
 理念や文化が連続しやすく、取引先や金融機関にとっても安心感につながりやすい点は、親族内承継ならではの利点です。


親族内承継における留意点

後継者本人に覚悟と自覚が育っているか
 親の期待だけで進めると、後継者に重い負担を背負わせることになります。経営者になる覚悟が本人の中にあるか、丁寧な対話が欠かせません。

現代の経営環境に適応できる考え方を持っているか
 30年前と比べ、経営環境は大きく変化しています。従来のやり方に固執せず、柔軟に考え、周囲と対話できる力が求められます。

「身内だから」という甘えが生じていないか
 評価や指導が曖昧になると、社内の不満につながります。家族関係と経営上の役割は、意識して切り分ける必要があります。

他の家族の理解と納得が得られているか
 株式や経営に関わる財産の承継について、他の家族との間で感情的な対立が生じないよう、早めの説明と合意形成が重要です。

社内の納得感が確保できているか
 親族であることだけを理由に経営者になると、従業員の不信感を招くことがあります。段階的に役割と実績を積ませる工夫が必要です。


親族内承継は、自然で進めやすい反面、「身内だからこそ見えにくい課題」を多く含んでいます。だからこそ、感情ではなく経営の視点で整理し、時間をかけて準備することが重要です。必要に応じて、事業承継に詳しい専門家の助言を受けながら進めることで、30年築いてきた会社を、次の世代へより確かな形で引き継ぐことができるはずです。

 

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