「一葉落ちて天下の秋を知る」という言葉があります。中国の古典『淮南子(えなんじ)』に由来し、一枚の葉が落ちるのを見て秋の到来を知る、つまり、わずかな前触れから将来の大きな動きを察知するという意味です。
経営においても、大きな変化がある日突然、何の兆候もなく現れるとは限りません。その前には、小さな変化が起きていることが多いものです。
私たちがクライアントと一緒に経営計画をつくり、毎月、四半期と継続的に経営数値を追いかける目的のひとつも、こうした「小さな変化」を捉えることにあります。
毎月の数値を見ていると、ジェットコースターのように大きく変動することもあれば、「先月と同じ数字を見ているのではないか」と思うほど変化が少ないこともあります。しかし、私はむしろ、この「変わっていない」という結果をどう見るかに、経営を考えるうえで重要なポイントがあると思っています。
その際私が、心していることが二つあります。
ひとつは、計画値や前年同月値、業界平均などと比べて差異が生じたとき、その理由を現場のできごとから考えることです。数字だけを見て原因を推測するのではなく、実際に現場を知る人の話を聞く。そこに、数字には直接表れない変化が隠れていることがあります。
もうひとつは、「結果が同じでも、そこに至るプロセスまで同じとは限らない」ということです。
例えば、前月が80点、今月が100点なら、単純に「20点改善した」と考えがちです。しかし実際には、ある部分で60点改善する一方、別の部分で40点悪化し、その結果、差し引き20点の改善になっているのかもしれません。全体の数字だけを見ていると、このプラス60とマイナス40の存在を見落としてしまいます。
特に、この「マイナス40」が将来の大きな変化の兆候である可能性には注意が必要です。反対に「プラス60」の中に、これから会社を成長させる新しい芽が隠れていることもあるでしょう。
小さな変化をすべて大げさに捉える必要はありません。大切なのは、数値の裏側まで考え、「この変化は将来につながるものなのか」と問い続けることです。
一枚の葉から秋の訪れを感じ取るように、日々の小さな変化から、その先に起こるかもしれない大きな変化を考える。そのために経営数値を継続して見続けることが、経営管理の大切な役割のひとつだと考えています。
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