https://booklog.jp/item/1/4065181941
韓国出身のフリージャーナリストによる、現代の韓国社会の現状を伝えたルポ。
子供から青年、中年と高齢者に至るまで、生活格差の広がりが大きなひずみを生み出している様子を取材に基づいて取り上げています。
本書の帯には「これは、近未来の日本の姿かもしれない。」と記されていました。読んでみると、行き過ぎた新自由主義的政策によって起こりそうなことは、我が国にもいつか起こるのではないか、と思う部分もあります。
本書の中に出てきた「受験対策のためいくつもの塾に通う子供と、親や彼らを取り巻く人たち」についても、日本でも以前から受験競争が過熱化する傾向もあり、今後少子化が進むなかで本書にあるような異常な競争状態が起こる可能性もあるなあと感じました。一方で読み進めていくと、そのようにして名門大学に入り、有名企業に就職した彼らが果たして幸せになれるのか、不安にもなりました。
社会のなかにある程度の格差が生じるのはやむを得ないところではありますが、それが複数の世代にわたって固定化されるのは、自由を標榜する社会では望ましくないと思います。これは国の政策に左右されるところが大きいのでしょうけれども、格差をできるだけ広げないようにしつつ、その格差が固定化されないような社会の仕組みがつくれたらよいのにと感じました。