ここ十数年、仲の良い人だけが集まる食事会に参加しない友人がいた。
元気そうに見えたが、体に起こる様々な不調と日々戦っていると言っていた。
一時期、海外のオーガニック製品や日本の有機食品にハマっていたのは知っている。高いのに、なんでわざわざ買うのかなと、その当時は思っていた。自分が元気な頃だったから、おすそわけしてもらった製品や食品が値段に見合っているものには思えなかった。
そして、先日、気になることを言っていた。
「私、ウツだったのよ。あと、普通の物が食べられなくて、食事会にも参加できなかったの。柔軟剤のニオイとか香水とかがちょっと苦手だったということもあるのよ。」
その話を聞いて、化学物質過敏症に片足をつっこんでいたんじゃないかと思った。栄養の偏りとか化学物質の影響とかでウツっぽくなっていたんじゃないかと。
だから、どうやって克服したのかを聞いてみた。答えはあっけなかった。自然に治ったと。
そうなんだ。自然に治っちゃったんだ。
なんでも食べられるようになってよかったねえ。
なんとなく、私も自然に治る道を歩み始めたような気がする。
ただ、無農薬無肥料野菜からは足を洗えない。
最近、無農薬無肥料の野菜の味を薄く感じるようになってきた。
もっと味のある、栄養のありそうな野菜を食べたいのだが、肥料を増やすと余分な物まで増えてしまうのか、反応が出てしまう。
もし友人が化学物質過敏症の軽症だったとしたら、十数年かけて自然治癒…か。
私はあと何年さまよい歩くのか。いや、何十年かもしれない。
とりあえず、できることをするしかないのはわかっているのだが、
ちょっと無理して頑張ってみたくもなる。
具合が良くなれば反応が出なくなるということなら、
かえって頑張らないほうがいいのか。
それとも、この汚い空気を吸いながら生きていくためには
多少の努力をしないと復活は望めないのか。
あの日以来、数日ではあったが、頭の中でいろいろな考えが渦を巻いていた。だが、もう考えるのが面倒になってきた。今のところ回復傾向にあるので、好きなことを自由気ままに続けていこうと思った。
自分が一番困っているのは、食べ物。食べられない無農薬無肥料農家さんの野菜は、いつになっても食べられる気配がない。ちょっと違う方面で農家さん探しを再開しようと思う。