「土間」を「遺跡発掘調査現場」化するための素材~過去に制作してきた様々な作品や素材がおおいに役立つ!いわばこれまでの「集大成」として取り組んでみようと思う。さらなるヒントとイメージを求めて、心斎橋ヴィトンへ。
★「エスパス ルイ・ヴィトン大阪」
542-0085大阪市中央区心斎橋筋 2-8-16 ルイ・ヴィトンメゾン大阪御堂筋5F/0120-00-1854
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ドイツ人アーティスト★ウラ・フォン・ブランデンブルクによる個展「Chorsingspiel」を開催いたします。本展は、東京、ミュンヘン、ヴェネツィア、北京、ソウル、大阪のエスパス ルイ・ヴィトンにてフォンダシオン ルイ・ヴィトンの所蔵コレクションを公開する「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラムの一環として行うもので、国際的なプロジェクトの実施を通じて、より広くグローバルな観客に作品を届けるというフォンダシオンの理念に基づいています。
ウラ・フォン・ブランデンブルクの作品は、映像やドローイング、壁画、オブジェ、インスタレーションなど多岐にわたりますが、いずれの作品もより大きな★舞台空間の延長、あるいはその一要素として捉えることができます。フォン・ブランデンブルクは、ドイツのハンブルク美術大学に進学する前に★舞台美術を学び、今なお演劇の世界に強い愛着を持ち続けています。★「垂れ幕」は彼女の作品に繰り返し登場する要素で、劇場から本物の緞帳を借りてきて舞台に取付けたり、色とりどりのキルトで表現したりとさまざまです。これらの布は、彫刻と絵画の性質を併せ持ち、★展示空間を形作ったり、区切ったりする役割も果たします。あらゆる空間を作り出し、時に映像が投影される空間へ導く通路ともなるのです。映像やビデオは、フォン・ブランデンブルクが作品制作によく用いる手法です。一見矛盾するようですが、映像の技術を用いることで、活人画や古典悲劇といった現代演劇以前の形式を復活させています。一般的に時代遅れとみなされる表現形式への関心は、彼女の作品に繰り返し表れるテーマの1つ。彼女が好んで用いる図像は、19世紀から20世紀への転換点、つまりオカルトへの傾倒から合理主義へと移行する時代と密接に結び付いています。多くの作品に登場するのは、心霊写真、催眠術から精神分析への変遷、タロットカード、秘密結社などのモチーフ。象徴主義的な想像力を改めて受け入れることで、19世紀末の芸術運動が持つ神秘主義的な側面や「総合美術(Gesamtkunstwerk)」が抱いた理想を現代に蘇らせています。同時に、近代化の中で見過ごされてきた、あるいは抑圧されてきた根源的な要素にも光を当てているのです。
「Chorsingspiel」展では、フォンダシオンの所蔵コレクションから2つのビデオインスタレーションを紹介。《Singspiel》(2009年)は、18世紀後半のドイツで上演されていたオペラの形式を参照しています。無声映画でありながら音声の付帯する本作品は、フォン・ブランデンブルク自身が歌う2曲に合わせて、さまざまな年齢層の人々が集う家族の食事風景や、野外劇場での奇妙なパフォーマンスを描き出しており、20世紀初頭の映画上映時に行われていた生伴奏を彷彿させます。もう1つの作品《Chorspiel》(2010年)も白黒映像ですが、パフォーマンス、演劇、絵画それぞれに特徴的な表現が活人画の形式で融合されており、さらにギリシャ悲劇のコロス(合唱隊)の要素も加わります。日本初公開となるこれらの2作品からは、フォン・ブランデンブルクというドイツを代表するアーティストの多面的な作品世界を存分に感じられることでしょう。