・・・まだまだ重森美玲さんの観たい庭園があちらこちらにあり、付箋の数はなかなか減らない。と書きながら、コロナ禍で次なる庭園に訪れることをかまけていました。
《一之瀬王子跡》
https://welcome-sennan.com/tourist-spots/ichinoseoji
地蔵菩薩馬頭観音を祀っており、この辺りに熊野詣の九十九王子のひとつ、信達一之瀬王子があったと想定されています。鎌倉時代初期の歌人藤原定家の熊野御幸記によると「天晴るる払暁道にいでて信達一ノ瀬王子に参ず また坂の中において祓う 次いで地蔵堂の王子に参ず 次いでウハ目王子に参ず」とあり、後鳥羽上皇一行がここを出発したときの様子が記されています。
★熊野街道・緑の一里塚
https://www.city.sennan.lg.jp/kanko/kanko/kankoshinko/1580458500985.html
《林昌寺》
590-0523泉南市信達岡中395/072-483-2705
https://welcome-sennan.com/tourist-spots/rinshoji
愛宕山という小高い山の中腹に、ひっそりと門を構える真言宗御室派の寺院。山号は躑躅(てきちょく)山。岡大師とも呼ばれる。伝承によれば、聖武天皇の勅願寺として行基により天平年間(729~748)に開創されたという。現在の山号と寺号は堀河天皇の勅号である。天正5年(1577)に織田信長の雑賀攻めによる兵火を受け全山焼失したが、堂宇は江戸時代に再建された。境内にはツツジの名所として知られる山の斜面に造られた★重森三玲(1896~1975)が昭和36年(1961)に作庭した「法林の庭」があります。一時は泉南市内に4箇所あったという三玲氏の庭も現在ではここ一箇所となっています。ツツジは毎年4月下旬に色づき始めます。阿弥陀の浄土を表すという庭の優美な曲線を見ていると、日頃の雑然とした感情が整理され、穏やかな気持ちに変わっていくようです。
その他1565年の銘がある補陀洛渡海碑や仏足石など貴重な文化遺産を有しています。
このお寺から2人観音信仰で東方浄土をめざして生きながら小さい船で船出したという。南紀勝浦には、「補陀落寺」が世界遺産になっていて船も実物大のものが展示されている。補陀落の根拠地とか。足摺岬、室戸岬からも船出する僧が多かった。
境内にひっそりと「仏足石」が安置されています。仏足石は、全国でも百ほどの例が知られるのみで、大きな石の上にふたつの大きな足型が刻(きざ)まれており、むかって右足の方が古く中世につくられたもの、左側のものはやや新しく、後に追加されたもののようです。仏足石は釈迦の足型を刻んだといわれる石です。インドでは原始仏教の時代から礼拝の対象となっていました。日本には、唐(を経て奈良時代に伝わってきました。奈良県薬師寺にある仏足石は、唐の都長安、普光寺のものを写したもので、天平勝宝5年(753)に刻まれた日本最古のものです。
境内の山の頂には愛宕権現社が鎮座しています。庭の最上部からのびている参道には四国88ヶ所の本尊が祀られており、1時間ほどで巡礼できるようになっています。1月には、境内の愛宕山山頂で山伏による紫燈大護摩供(さいとうおおごまく)が行われます。修験道の護摩焚きで野外において山伏が生木や柴などを積み上げて火を焚き五穀豊穣、風雨順次、国家安泰、家内安全等を祈願するものです。その後、まだ熱い炭の上を歩き災難厄除けを祈る「火渡り神事」が行われ、一般の参詣者も参加することができます。
★大阪府最南端の銅鐸
http://www.city.sennan.lg.jp/kanko/bunka/maizou/bunkazai/iseki/1458795154292.html
林昌寺の裏山、経塚山から銅鐸が見つかっています。明治36(1903)年、竹やぶを開墾している時に掘り出されたもので、約2000年前の弥生代の中ごろに製作されたものと考えられます。発見時に出来たと考えられる大きなくぼみが片面に残っています。また現在は銅特有の緑青がふいていますが、当時はさぞや美しく輝いていたのでしょう。銅鐸は弥生時代の代表的な遺物で、全国各地から400点あまりの発見例が知られています。叩いて音を出したベルのようなものをルーツとして、しだいに大型化、シンボル化していったものと考えられています。人々は豊作を願い、自然の神々に様々なまつりをささげました。そのまつりの中心でこの銅鐸は用いられていたのでしょう。また埋納された状態でみつかる銅鐸も多く、集落の境界を明らかにし、その神聖な力によって敵の侵入を防(ふせ)いでいたものとも考えられています。林昌寺から北西へ約2キロメートル離れた男里遺跡では弥生時代中ごろの大きな集落がみつかっています。男里遺跡に住まう人々が、この銅鐸を大切に埋めたのかもしれません。
・・・上からも庭園が俯瞰できるだろうと、いさんで石段をのぼったのですが、
・・・これほどまで、お庭を眺める位置が限定されているとは、重森美玲おそるべし。