H・S・Z(23)色名と人権平和 | すくらんぶるアートヴィレッジ

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《ペールオレンジ(うすだいだい)》

日本では、「肌色」といったら全員が同じ色を連想するため何の問題もなく会話が成立します。しかし、外国では肌色と言っても人種によって変わります。黒人の人は黒、白人の人は白、アジア人は黄色など様々です。

★「ぺんてる株式会社」

1999年の9月の生産分から、クレヨンや色鉛筆の肌色の表記を「ペールオレンジ」に変更しました。「うすだいだい」ではなく、「ペールオレンジ」というカタカナ表記にしたのは、海外で肌色とされている色は「ペールオレンジ」と呼ばれています。ぺんてるは、海外でのシェアが高いため、海外の呼び方に合わせてこの表記にしたとされています。会社ごとに「うすだいだい」と「ペールオレンジ」のように呼び方が違っていますが、わかりづらいなどの声は出ていないそうです。

★「サクラクレパス」

近年日本の国際化や流行によって、現代人にとって「はだいろ」という色名から連想される色には、バラツキがあること考えられ協議した結果、日本人になじみやすい和名で「うすだいだい」と変更しました。名称を変更しましたが、現代人にとっての「わかりやすさ」「なじみやすさ」を考慮したうえでの決定したようです。この変更は平成12年(2000)からですから、小さな子どもたちは「肌色」という過去の色名を知らないかもしれません。

《参考》日経新聞2020.6.20「春秋」欄より

資生堂の「マイ・クレヨン・プロジェクト」は、長年肌の研究を重ねる化粧品メーカーならではの小学生向け出前授業だ。

https://corp.shiseido.com/mycrayonproject/jp/

日本人の79%は「肌色」を薄いだいだい色だと考えています。でも、「肌色」は、たったの1色だけでしょうか?肌の研究を100年以上続けている資生堂が出した答えは、人間の数だけ「肌色」があるということ。数にして70億色以上。★肌色は無限色なのです。

さまざまな人の肌の色を計測し再現したクレヨンから自分に近いものを選んで自画像を描かせる。肌色は人の数だけあると実感してもらう試み。日本では1990年代の終わりにクレヨンの「肌色」をペールオレンジ(薄橙(だいだい)色)などと言い換えるようになった。国際化が進み人の肌色は多様だとの意識が広まったからだ。米国でも20世紀半ばクレヨンの薄桃色を★フレッシュ・カラー(肉色)と呼ぶのをやめた。しかし肌色をめぐる議論は今も続くことを最近、知った。化粧品や服飾品でよく使われる★「ヌード」なる言葉。いわゆる肌色系の色をさすが、辞書では「白人の肌の色」と説明されてきた。米国人編集者の近著「ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険」によればこれが見直され、「身につけている人の肌の色に合う(淡いベージュや黄褐色などの)色」と修正されたそうだ。資生堂プロジェクトのクレヨンには「ゆうと色」「あんり色」と人の名前がつけられた。そもそも昔は「肌色」なんてなかった。画家たちは緑地に赤やシルバーを混色し、白い胡粉(ごふん)に朱を混ぜて★唯一無二の個性を表現してきたのだ。お仕着せでない「自分色」を手にした子供たちの自画像も、どれも誇らしげに輝いている。

・・・「ペールオレンジ」に近い色味に「ベージュ」があります。

 

ベージュ【仏beige】薄くて明るい茶色。漂白も染色もしていない★羊毛のような色。

 

《参考》カラリスト中塚陽子

https://ameblo.jp/cocoiro-color/entry-12306034889.html

●ベージュ:明るい灰みの赤みを帯びた黄。13世紀頃からあるフランスの伝統色。当時は、普及しなかった色名だそうです。現在、薄い茶色の総称として広く使われています。ピンクベージュやサンドベージュは、ベージュから派生した色名。ですが、グレージュは「グレー+ベージュ」の略語でも造語でもありません。1679年からあるフランスの色名です。ベージュもグレージュも、天然由来(未漂白、未加工)の線維や織物の色を意味します。後に、英色名にもなっています。

●アイボリー(象牙色):黄みのうすい灰色

14世紀から使われている英色名。アイボリーは、象牙の素色。加工した色が、アイボリーホワイト。

象牙は、古代から装飾品や工芸品に使われたので、色名としても欧米で古くから用いられていたようです。ベージュは、薄茶色、アイボリーは、灰色というよりは白に近い黄白色として使われているベージュより明るい色です。どちらも、古くからある色名。どちらも、★未加工の素の色なんです。

《参考》朝日新聞2020.6.30『化粧品の「美白」表現、欧米で外す動き』より

欧米の化粧品大手で、スキンケア商品やブランド名から★「美白」に相当する文言を外す動きが広がっている。米国で起きた黒人暴行死事件をきっかけに人種差別につながる社会行動への反発が強まり、「白い肌」を強調する化粧品業界の風潮も見直しを迫られた。欧米メディアによると、世界最大手の仏ロレアルは27日、スキンケア商品について★「ホワイト(白い)、フェア(色白)、ライト(明るい)の文言を取り除くことを決めた」と発表した。米大手のジョンソン・エンド・ジョンソンや欧州大手のユニリーバも今月、同様の措置を相次いで表明した。ジョンソン・エンド・ジョンソンは一部商品名などが「白いことが本来の肌の色より良いかのような表現になっていた」とし、「健康な肌こそ美しい肌だ」と表明。ユニリーバは声明で、アジアで展開する「フェア&ラブリー」のブランド名を変更する方針を示した。広告起用も見直し、「異なる肌の色の女性を取り上げ、インドや他地域の美の多様性を表せるようにしたい」と述べた。欧米では化粧品メーカー各社に対し、一部の製品が肌の色による差別を助長していると批判の声があがっていた。

●カーキはkhaki (土ぼこりの意で、もとウルドゥー語)から》黄色に茶色の混じったくすんだ色。軍服などに用いられる。枯れ草色。古くは泥濁色と訳す文献もある。「茶色がかった黄色」と表現されるものであるが、軍服の色は国や時代によって差異があるため、現実には橙色に近いものから緑色に近いものまでかなりの幅を持って使われており、★単一の色調を示す用語ではない。このため「砂色」「枯草色」などと呼ばれる場合もあり、「黄土色」や「オリーブ色」★「ベージュ」なども広い意味でのカーキ色に含まれ、現代日本においてはいわゆる★アースカラー全般をさす言葉となっている。 ただし、諸外国では後述するオリジナルのKhaki(砂色)のみをカーキと呼ぶ場合が多く、定義上の齟齬が生じる例がしばしばみられる。軍服としてのカーキ色は、19世紀半ばに植民地であるインドに駐留していた英国軍が、白い夏服の汚れを嫌って当地の★土を用いて服を染め、それを現地語でカーキ と称したのが始まりであると言われている。その後、「軍服色」という意味合いで、森林地帯での戦闘を想定して採用された米軍のくすんだ★濃緑色(オリーブドラブ) のこともカーキと呼ばれるようになり、英語圏でも色の定義が混同されるようになっていった。しかし、ヨーロッパ諸国の軍服に用いられる青やグレー系統の色 は、★軍装色であってもカーキと呼ばれることはない。「カーキ」という単語は現在も多くの国々で軍隊の代名詞として使用されており、例えば英語で“Get into khaki”と言えば軍に入隊するという意味になる。日本では、1906年(明治39年)に陸軍がそれまでの濃紺に代えて採用した★帯赤茶褐色(黄土色) がカーキ色として紹介された。これは当時の★主戦場であった中国大陸の黄土の色に合わせたものである。このため日本語でカーキ色と言う場合には欧米のそれよりもかなり赤みの強い色を指すこともあり、旧制神戸一中および二中では、作業服などに用いられるオレンジ系の色 を「カーキ色」と称して★学生服に採用している。なお、1920年(大正9年)以降の陸軍軍服に用いられるようになった帯青茶褐色 は★「国防色」と呼ばれ、上記のカーキ色とは区別されることが多い。

 

・・・大好きでよく用いる色だからこそ、これらの経緯や意味を認識したうえで、作品に生かしていきたいものです。多様な価値、他との違いを認め合う、そうした社会になることをめざして制作に励みましょう。