聴樹(長寿)庵 | すくらんぶるアートヴィレッジ

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・・・ブログ「タテモノ」が100号となりましたので、新たにブログ「ケンチク」として継続していきます。三重県伊賀はブログ「庭園公園」から紹介してきましたが、ここからは「ケンチク」がメインになりますので、こちらに乗り換えです。

 

《ミュージアム青山讃頌舎》

518-0221三重県伊賀市別府718-3/0595-52-2100

https://www.city.iga.lg.jp/0000007644.html

穐月明(1919~2017)さんは和歌山県高野山で生まれ、京都市立美術専門学校(現在の京都市立芸術大学)で日本画と洋画の基礎を学ぶも、水墨画に魅せられて、独習で水墨画の道に入りました。そして、師に付かず、派閥に属さず、賞も断って画業に専念し、独自の絵画世界を築きました。旧青山町(現在の伊賀市)の風景をこよなく愛した穐月さんは、1981年に移住し住まい・アトリエをかまえられました。さらに私設美術館を開設しておられましたが、穐月さんの死後、平成30年1月に遺族が市に寄贈、伊賀市で★初めての美術作品等の展示専用施設「伊賀市ミュージアム青山讃頌舎(うたのいえ)」と名称変更してリニューアルオープンさせました。「青山讃頌舎」という名前は、穐月さんが地名の青山とその豊かな山河を称える意味で命名されたものです。

 

★企画展「美の視点-穐月明の収集古物を紐解く」

2020年9月11日~12月20日

https://aoyamautanoie.net/museum/

穐月明は独自の美意識と見識を基に多様な古美術を集めていました。収集は二十代の骨董市に始まり国内屈指の質と量を誇るガンダーラ美術を収集するまでに至ります。ガンダーラ美術等は★龍谷ミュージアム設立時に寄贈され展示の中核の一つを担っていますが、残されたコレクションも多種多様で単なる骨董ではなく歴史的にも考古学的にも価値の高いものが多く有ります。今回の企画展はコレクションの公開とその価値と意味をわかり易く解説するとともに関連する穐月作品を展示しました。その背景の文化や歴史にきっと驚き、意外な発見をしていただけると思います。

 

《NEWS》2018.2.2伊賀タウン情報より

画家の故穐月さん伊賀市に作品など遺贈

2017年4月に亡くなった画家の故穐月明さん(享年87)の家族が2月2日、伊賀市に水墨画を中心とした作や資料、同市別府にある美術館などの土地と建物を遺贈した。同課によると、市では条例整備の手続きを経て、市立美術館として活用する予定。穐月さんは和歌山県の生まれで、少年時代を愛媛県西条市の実報寺で過ごした後、京都市立美術専門学校(現京都市立芸術大学)に入学。洋画と日本画の基礎を学んだ後、転入した1981年から約35年間、伊賀で創作活動を続けていた。大村神社が近くにある緑豊かで静かな場所が気に入っていたという。市文化交流課によると、遺贈されたのは作品92点、収集した蔵書約2万冊や古美術など約850点の他、土地延べ約1000平方メートル、建物が美術館(約240平方メートル)と茶室(約57平方メートル)、東屋で価値総額は約3億4500万円。この日の感謝状贈呈式には相続人で妻★由紀子さん(85)と長男の大介さん(62)が出席。穐月さんの作品などを展示している2016年開館の美術館「青山賛頌舎(あおやまうたのいえ)」で館長を務めている大介さんは「父がここは美しい土地、いいところだと言っていた。遺贈はこの地で絵を描かせてもらった感謝の気持ちです」と話した。岡本栄市長は「立派で尊いものを頂戴し、ありがたい。市民を代表して感謝を申し上げる。より充実した市の美術館計画に組み込んでいきたい」と礼を述べた。

 

2016年2月に私設美術館として「青山讃頌舎」をオープン。正確には美術館だけでなく、茶室や画家の居室・画室などを含む施設全体の名称です。美術館には「日月舎」という名前が付いています。美術館よりずっと以前、約25年前に建てられたのが茶室「聴樹庵」(木洩れ陽のなかで風のおとを聴く)」、穐月さんが自ら木材や壁土等を選び細部に至るまで趣向を凝らし、建具の一つ一つの全てがこだわり抜かれた凝った造りとなっています。壁の染みのように見える黒い部分は、壁土に含まれていた鉄分が長い時間を経て浮き出してきたもので、建築時に将来こうなることを見越して仕組まれたそうです。少し変わった風合いの炉縁には★渡月橋の古材を用いておられ、小間は京間4畳半で柱や天井に令法、黒柿、錆丸太、萩、埋れ木、椿、屋久杉など、土壁には★伊勢暦が貼られており、奥様の由紀子さん(88)の話では穐月さんが気に入った茶室の写しとして取り入れたとのことです。広間は天井に煤竹、杉皮を使用しています。特に庭の樹木を剪定せず楓は大きく枝をのばし、春は新緑、秋は紅葉が美しく目を楽しませ、自然に根付いた草花も可憐な花をつけます。庭には待合を備え本格的な茶事も行えますが、空調や照明など近代設備も完備している居心地の良い茶室です。

 

・・・今回の訪問では、ゆっくりと由紀子さん(88)と「茶室」あれこれについて語り合え、最高のヒトトキとなりました。お茶こそしませんでしたが、様々なシツライについて思いを馳せ、穐月さんを偲ぶことができました。本当に由紀子さん有難うございました。くれぐれもご健康に気を付けられ、またの訪問時まで元気でいらしてくださること(聴樹=長寿)を切に願っております。

 

・・・さてこれから、「伊賀城」に向かいます。