※「大丸心斎橋店本館」が、2019年9月20日にグランドオープンしたのに伴い、「大丸心斎橋店★北館」は、商業施設「PARCO(パルコ)」と専門店街としてリニューアルするために休館しています。「J.フロント リテイリング」は、現在改装している「大丸心斎橋店 北館」の再オープンを2021年春から★2020年秋に前倒しする方針を明らかにしています。工期の見直しなどで半年前倒しします。 北館の大型核テナントとして「パルコ」導入。「北館」の地下2階~地上7階には「パルコ」が出店、地上8階~14階は「大丸松坂屋百貨店」の不動産事業部が運営する事になります。
・・・なんと「屋上」の藤川勇造によるシンボルモニュメント「飛躍の像」は、どうなるのでしょうか?現在は工事中なので、残念ながら見ることはできません。
《参考》2019.9.20トラベルウォッチより
https://travel.watch.impress.co.jp/docs/news/1208486.html
大丸心斎橋店本館は、★ヴォーリズ建築の外観がひときわ目を引いていた。新本館では、ヴォーリズの内外装をなるべく復元するとともに、今後100年使用できる商業ビルとしての空間づくりを行なっている。新本館は10階建て(地下2フロアも合わせて全12フロア)。1階から7階までの外壁に旧本館の石積をそのまま使用し、外観はこれまでの面影を色濃く残している。それに対して8階以上は未来的なデザインとすることで、新本館の個性が埋没しないように工夫。旧本館屋上にあった★「水晶塔」は7階にそっくりそのまま復元され、誰もが見学できるようなテラスも設けた。内装では1階がヴォーリズの名建築をもっとも色濃く保存・再現している。当時の装飾と現代の鏡面天井を組み合わせた圧倒的な美の空間は、ここでしか味わえない雰囲気だ。特に★エレベーターホール付近には旧建築の部材を使用した部分が間近に見られるので、大丸心斎橋店を訪れた際はぜひ立ち寄りたい。
1階フロアのヴォーリズデザインの再現について、施工を担当した竹中工務店 大阪本店設計部設計第4部長の松本伸洋氏に話をうかがった。氏は、「旧本館から1254ピースを外して保管しており、うち67%を再利用しています。現在の商業ビルの空間にあわせて、柱間も旧本館の6mから8.5mに広げていますが、取り外したパーツをそのまま組み合わせるだけでは足りなくなります。そこでその部分は新造して対処しました。また、石膏製の装飾などはガラス繊維を加えたもので作り直すなどして強度も増しています。さらに天井のシャンデリアは、旧本館の建設時にあったものですが、これは当時の写真をもとに復元しました」などと語った。また、ストアデザインを担当した大丸松坂屋百貨店本社営業本部の森田徹夫氏は「“ヴォーリズの継承と創造”をテーマにデザインを練り上げました。エスカレーターやエレベーターホールは、100年間変わらないエターナル空間として仕上げ、売場は時代に合わせて変更していける設計としています。1階のクラシカルな装飾と鏡面天井の融合、かつて屋上にあった水晶塔をそのまま7階に再建したものなど、随所にかつての面影を残しています。86年間継承されてきた愛を感じていただきたいですね」と述べた。7階は旧本館の屋上にあたる。かつての大丸心斎橋店の趣を残すため、ここには旧本館から「水晶塔」がそのまま移築されたほか、8階以上のフロア面積を少し縮めて建物全体の一体感をあえてスポイルしている。こうして7階部分にできた空間は「心斎橋ひとときテラス」と位置付け、憩いの場に仕上げた。この開放的なエリアにはカフェが設けられ、都心部の緑の空間でリラックスできる。また、フロア内への外光の採り込みにも一役買っているようだ。
1階から10階までのエスカレーター部分には、伝統と最新技術を融合させたシンボル「D-WALL」を設置した。これはライゾマティクス★有國恵介氏が手掛けたもので、高さ約50m、幅約4mの巨大LEDモニター装置の前面にヴォーリズ建築の伝統に由来する彫刻を格子状に組んだもの。これにより、エスカレーターに乗っていると、ゆっくりと壁面に光の模様がみえはじめ、やがて明るく広がっていき、そしてまた見えなくなっていく。エスカレーター部分をそのまま新たな環境演出スペースにしたというこの取り組みは、もちろん世界でも最大のものだ。表示される映像は、季節や時間帯によっても変化していくという。有國氏は「ステンドグラスを現代技術を用いてアップデートしたような新しい見せ方で、単なる移動空間だったエスカレーターをおもてなしの空間に仕上げました。大丸心斎橋店では買い物だけでなく、その空間も楽しんでいただきたいです」とコメントしている。
また、常設ではないが、本館のグランドオープンを記念し、1階ホールには彫刻家 名和晃平氏による「鳳/凰」を10月11日まで展示する。実はこの「鳳/凰」については、少し逸話がある。1925年の大丸心斎橋店(2期工事)竣工時、心斎橋川の中央玄関の上には陶製の「孔雀」が掲げられ、長らく大丸のシンボルとして孔雀が使われてきた。しかしこの孔雀は、当時の大丸社長が「フェニックス」を発注したものが、なんらかの事情で孔雀になったという。つまり今回は“復活の「鳳/凰」”というわけだ。このいきさつと名和氏の略歴については、鳳凰の台座にも書かれている。非常に精巧で美しく輝いているので、展示期間中に見ておきたい。
・・・8階のギャラリーへ。