・・・「入れ子構造」について調べている時、偶然に出会ったのが
《キッズスマイルをつくる会》
★東日本大震災において、子どもの「目線」から被災地援助を考える。
0:はじめに/被災地における復興支援を考えた時に、被災した人たちの環境改善は重要な問題です。避難所生活の長期化、仮設住宅への入居、コミュニティの再生等、段階をおって考えて行かなくてはいけないことがたくさんあります。それらの多くが被災した大人の目線からみた環境の改善であるとするならば、我々が重要視して取り組んでいるのは、被災した地域の子どもたちの環境改善です。
・・・今さら、と思われるかもしれませんが、だからこそ意味あることではないでしょうか。素晴らしい取り組みを★「継承」していきたいものです。以下、活動の骨子を振り返っていきたいと思います。
1:活動目標/子どもたちが★笑顔で元気に遊べる環境を現地の子どもたちと★共につくりだすこと。これが、我々キッズスマイルプロジェクトがめざす被災地における★環境改善です。
・・・あたり前ですが、「笑顔」ほど元気の源はありません。しかも「子どもたちと共に(主体性)」でなければ意味がないわけです。そして、子どもの元気こそが大人たちに勇気を与え、地域総体の「環境改善」への道筋ができていくのだと考えます。
2:活動内容/具体的な活動内容としては、被災地の子ども達と一緒になって、★ダンボールで子どもの城をつくります。このお城は、子ども達が、駆け回ったり、中にもぐったり、それ自体にラクガキをしたりして、子ども達が元気にアクティブに遊べる★テ゜マが場所を提供します。
・・・身近な「材料」で、しかも「集団」で取り組めて、ある程度の「強度」と「工作性(造りやすさ)」があり、等身大の「居場所」となるもの。ということで「お城」という子どもたちにイメージしやすいテーマが重要です。
3:活動対象地域
津波による被災の激しい東北地方太平洋沿岸部(岩手県、宮城県を主な対象地域とする)の市町村の★子どもたちが集まる場所を中心にワークショップを行って行きます。具体的には避難所や、幼稚園、小学校、仮設住宅地の★コミュニティエリアといった場所で、被災した★地元のニーズに合わせてワークショップを開催します。
・・・「場所」はとても大切です。わざわざ来てもらうのではなく、集まっているところに「行く」ことが第一歩だと思います。
4:活動による地域復興/子どもが元気に遊べる場所には、子どもだけでなく、★その親や、家族、老人といった地域の人が集まるコミュニティを形成します。子どもが元気に遊べる環境=地域コミュニティ復興の拠点をつくります。
・・・そうなんです。「子ども(守られるべき存在)」の周囲にコミュニティがあるわけです。
5:活動の特徴/—ダンボールキャッスル「ワークショップ」5つの特徴
特徴1★どこでも、誰でも、簡単につくれる。専用のダンボール材を使って作る事を前提としていますが、どこでも手に入る梱包用で使われていたダンボールの★再利用でつくることができます。また、梱包用のダンボールをコの字に開いて重ねながら★積み上げるだけで、誰もが簡単に様々な形のダンボールハウスを作り上げることができます。素材がダンボールなので、完成後に窓を開けるなど、後からの★加工も簡単にできます。子どもにとって、遊びながらモノをつくり、モノをつくりながら遊ぶ、という★遊びと学びの場を提供します。
・・・ここでは「遊び」と「学び」と書かれていますが、まさしく★「遊び」と「学び」は「入れ子構造」にあると考えます。
特徴2:ワークショップ形式で★子ども達自らが自分たちの遊び場をつくることができる。ワークショップ形式で、段取りと、コツをつかめば、子どもでも簡単につくることができます。被災地ではあらゆる物が津波に流され、その衝撃に触れた子ども達にとって、★自らの手でゼロからモノをつくる楽しさと、喜びに触れることの意味は、被災地において大きいと思います。子どもが自らの遊び場をつくることが、被災地自体を元気にして行く事に繋がればと思います。
・・・主体性こそが、「復興」への道です。それを「支援」することが重要です。
特徴3:子ども達が笑顔で走り回って★全身を使って元気に遊べる環境を提供する。完成したダンボールキャッスルは周りを駆け回ったり、中に潜り込んでみたり、子どもが元気に遊び回れる場所を提供します。小さな子どもには、駆け回ったり、潜ったり、覗き込んだりという★場所があるだけで、最高の遊び場になります。
・・・この「場所があるだけ」という意味こそが、「環境」の本質だと思います。
特徴4:自由な表現の場を提供することで子どものメンタルケアや★創造性を高める。素材がダンボールなので、完成後、窓を開けたり、ダンボール全体を巨大なキャンパスとして、その壁面に自由にラクガキや絵を描くことができます。こうした表現を自由に行う★場所(キャンパス)があることは、非常に重要なことで子どもたちのメンタルケアにもつながります。
・・・「創造性」は、柔軟で変化に富むことですから、「完成」はもちろん大切ですが、その時々において★「変化」「進化」「転化」していける要素がなければならないと思います。
特徴5:ボランティアと★共有する、つくる楽しさ、価値、教育的効果。今回の震災は、現地でボランティアを希望する建築関係者や建築学科の学生が多くいます。その中に被災地支援の★建築的な方法論を模索するばかりに、行動を起こせない人たちがたくさんいます。そうした人たちに、手軽に様々な形の子どもの城をつくる本プロジェクトに★参加してもらうことで、作ることの楽しさや、子どもと共同するプロセス自体から様々なことを体験ベースで学べる機会をつくります。ボランティアや、協力者と共に、ものをつくることを通して、その楽しさや、被災地の人を喜ばす事の意義や価値を、共に学んで行ければと思います。
・・・この部分すごく大切です。やる気がないから「行動をおこせない」のではないのです。ともすれば「真面目に」「深刻に」「あせって」それが「行動」を阻害することもあるのです。「共有」するためには、「簡単」であることと「入口」が広く低い=「ウエルカム」であることです。「やってみようかな」「私にもできそう」という気持ちをつくること、なかなか難しいことですが、「やってみたら意外と簡単だった」「はまってしまう」のです。
6:活動の方針と進め方について
キッズスマイルプロジェクトは、被災地における子ども環境の改善のために、2つの★段階(フェーズ)に分けた活動を考えています。フェーズ1で、★身近にはじめられるところからスタートして、段階を踏みながら被災地と協力しながらプロジェクトを進めていきたいと考えています。
フェーズ1:避難所等におけるダンボールキャッスルワークショップ
梱包用に利用されるダンボール箱や、強化ダンボールを利用して、コの字に開いて積み上げることで、中に入って遊ぶことができる子どものための城をつくります。このダンボールキャッスルを避難所等で生活している子どもと一緒にワークショップ形式で作るプロジェクトです。当面は、このフェーズ1のプロジェクトを活動の中心としていくことになります。
フェーズ2:仮設住宅等のコミュニティ施設内に子ども用遊具を設置する。
子どもが元気に遊べる場所を地域コミュニティ復興の拠点にする。板材パーツをカットし、現場にてそれらの板をシンプルなジョイントで積層させながら組み上げていくことで、中に子どもが入って遊んだり、外が棚として使える小屋家具を作成します。製作した家具には、よじ登って遊んだり、ライブラリー機能をもった読書スペースなどのキッズスペースになります。子どもが元気に遊べる場所には、子どもだけでなく、その親や家族、老人といった地域の人が集まるコミュニティを形成します。こうした子どもが楽しく元気に集まれる場をつくることで、地域コミュニティの復興と再生の拠点となる場所をつくります。
7:現在までの活動実績
2011年4月10日:「キッズスマイルをつくる会」を★POINT/長岡勉+OUVI/横尾真にて結成。
2011年★5月5日:宮城県七ヶ浜市にある避難所にて、1回目のワークショップを開催。
2011年5月15日:★武蔵野美術大学「日月会」サポートフォロにて活動報告のレクチャー。
2011年6月11日:岩手県大槌町にある幼稚園にて、2回目のワークショップを開催。
2011年6月20日:千代田アート3331でのSPACE OURSELVES展に参加し活動を報告。
8:今後の活動予定(2011/6/30現在の予定)
2011年7月20日前後:石巻市で計画中の地域復興の為のプロジェクト石巻工房においてダンボールキャッスルのワークショップを地元の子どもたちと行う。
●「311サポート・フォロ」
日時:平成23年7月3日(日)16:00~
場所:佐奈建設事務所(新宿区西落合2-3-14)
★武蔵野美術大学建築学科同窓会(日月会)のメンバーが立上げた、東日本大震災被災地の復興支援を考えるフォロ(フォーラム)です。
http://311supportforo.seesaa.net/
★横尾(キッズスマイルをつくる会/共同代表)がゲストスピーカーとして参加します。
●団体「キッズスマイルをつくる会」のメンバー、賛同者、協力者
代表者;長岡勉(建築家・株式会社POINT代表)横尾真(建築家・有限会社OUVI)(共同代表者)
活動メンバー:小林俊雅(建築家・小林俊雅建築計画事務所代表)鈴木祐史(武蔵野美術大学建築学科4年生)田中正洋(株式会社POINTパートナー)加藤直樹(株式会社POINTスタッフ)木佐美慶太(有限会社OUVIスタッフ)
【長岡勉】1970東京生まれ1997慶應義塾大学大学院政策メディア研究科修1997~01山下設計勤務1999POINTを立ち上げる。現在、慶應義塾大学、東京電気大学、桑沢デザイン研究所、の各学校で非常勤講師。
【横尾真】1975山梨生まれ2001東海大学大学院建築学専攻修士課程修了2001~04池田昌弘建築研究所勤務2004OUVI一級建築士事務所設立。現在、東京理科大学非常勤講師、東海大学非常勤講師。
●賛同者(50音順):箱山幸子(岩手県大槌町おさなご幼稚園長先生)小野豊(宮城県七が浜町教育委員会生涯学習課課長補佐)岩岡竜夫(建築家・東京理科大学理工学部建築学科教授)内田まほろ(日本科学未来館企画開発課課長)長岡貞夫(工業デザイナー・元日本インテリアデザイナー協会理事長)更田邦彦(建築家★武蔵野美術大学日月会会長、更田邦彦建築研究所代表)
日月会前会長であり16期の更田邦彦さんが、平成29年2月15日に心不全で、ご逝去されました。
以下のサイトは故更田邦彦氏のサイトの記録を保存したものです。著作権等にご配慮のほど、よろしくお願いします。
https://fukedalab.hanamizake.com/index.html
・・・合掌