入れ子構造(2) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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《入れ子(いれこ)》Wikiより

同様の形状の大きさの異なる容器などを順に中に入れたもの。

・重箱や杯などの入れ子細工

・箱根細工の入れ子人形(こけし・だるま・七福神)

・ロシアのマトリョーシカ人形

・プログラミングにおけるネスティング(入れ子構造)のこと。

・劇中劇などのように、物語の中で別の物語が展開する構造のこと。 ⇒ 枠物語

・額縁の部品の一つ。油彩額などに使われる、絵とガラスとを密着させないための枠。

・死亡した実子に代りに養子を迎えること、またはその養子のこと。

・手こぎの船で櫓杭(ろぐい)を差し込むために櫓にあけた穴。

 

 

★建築の概念から見直した/TOTO通信より

https://jp.toto.com/tsushin/2017_spring/case01.htm

作品「House N」/設計:藤本壮介

(前略)一番影響を受けたのは『混沌からの秩序』(I・プリゴジン、I・スタンジェール著/みすず書房)という本だと思います。これは、ノーベル化学賞をとった物理化学者が書いた、その世界ではとても有名な本です。昔のことなので、細かい内容は忘れてしまいましたが、近代がもっていた「大きな秩序」に対して、部分と部分の関係から生じる★「部分からの秩序」がありえる、というメッセージに衝撃を受けたことを覚えています。たとえば、一見無秩序に見える森の木々でも、互いに何かしらの秩序をもっている。しかし、それは誰かがやってきて配置を決めたものではないし、不確定さをもち、意外な展開も見せます。この本を読んで、そんな部分の関係から成り立っていて、★秩序と不確定性、意外性が同居するような建築をつくりたいと思うようになりました。それから、日本や西洋建築史の図集もよく見ていました。昔の日本の建物は、★外側に縁側が巡って「入れ子」のようになっています。縁側が内外の★中間的な役割を果たしていることはよく指摘されますね。民家なども土間が住宅の半分を占め、★内部に外部のような空間をつくる。あるいは、パルテノン神殿などを見ると、屋根はもうなくなっていて、石の柱や壁だけが残っている。本来内部であった場所が外部になっています。廃墟というと語弊がありますが、遺構がもつ★周囲と溶けあっていくような関係にも可能性を感じていました。私が初期につくった住宅のひとつである「House N」はそれらの影響がとてもよく反映された作品だと思います。3つの箱が入れ子になっていますが、外から見ると穴だらけでプライバシーがないように見える。ただ、中に入ると外の視線はカットされていて、逆に庭とは密に関係しています。壁同士の関係だけで、つまり部分の関係だけで居場所ができていて、それぞれ適切な開口があいています。お施主さんはご近所さんから「あなたの家は穴だらけなのに、いるのかいないのか全然わからないわ」とよく言われるそうで、おもしろがって話をしてくれます。(中略)やはり、住宅の本質は暮らしにあると思いますし、そのリアリティは大切にしなければいけません。だからこそ、今まで以上に快適な暮らしの場をつくりたいとも思います。そのためには、壁や天井といった建築の基本的な要素をもう一度考え直してみる。その結果、何かしらの概念が生まれます。しかし重要なことは、その概念が施主の要望をしっかり反映できるものであることです。(中略)入れ子の設計にはその後の展開があって、そのまま拡大したような美術館の計画(「De Museum Complex[中華人民共和国・上海]」2010〜)などもありました。ただ、入れ子にこだわっているわけではなく、アイデアはそのつど、さまざまなものが出てきています。分子構造のようだったり、新体操のスティックのようだったり。現在は、大型のものや、海外のプロジェクトがかなり増えていますが、それでも部分の関係から建築を考えることや、自然に溶け込んでいくような建築のあり方、それを成立させる概念という原点は、今でもずっと探求を続けています。

 

 

【藤本壮介】1971年北海道生まれ。94年東京大学工学部建築学科卒業、2000年藤本壮介建築設計事務所設立。主な作品に「Serpentine Gallery Pavilion 2013」(イギリス、ロンドン、2013年 )、 「House NA」(東京都、2011年)、★「武蔵野美術大学 美術館・図書館」(東京都、2010年 )、「House N」(大分県、2008年 )。JIA日本建築大賞(2008年)、ベトン・ハラ ウォーターフロントセンター国際設計競技(セルビア)1等(2011年)、台湾タワー国際設計競技(台湾)1等(2011年)、王立英国建築家協会(RIBA)インターナショナル・フェローシップ(2012年)、第13回ベネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館の展示で金獅子賞(2012)、モンペリエ 国際設計競技最優秀賞(2014)、Wall Street Journal Architecture Innovator 2014(2014年)など受賞多数。

 

 

《藤本壮介展:未来の未来》

2015年4月17日(金)~6月13日(土) ★TOTOギャラリー

https://architecture-tour.com/event/2015-sou-fujimoto/

https://jp.toto.com/gallerma/ex150417/

 

 

●新建築 2010年7月号/新建築オンラインより

「武蔵野美術大学美術館・図書館」/設計:藤本壮介建築設計事務所/施工:大成建設

芦原義信氏設計による旧美術資料図書館 (1967年) の増築計画として、2007年のプロポーザルコンペを経て選出された。鉄骨造、地下1階地上2階建て、厚さ約900mmの書架の壁による★渦巻き型の構成、書架の壁にはさまざまな高さの開口が開けられ、多方向への動線が確保されている。

https://mauml.musabi.ac.jp/

武蔵野美術大学 美術館・図書館は、一つの組織のなかに美術館・博物館・図書館の機能を併せ持つ、知の複合施設です。本学は1967年、書籍だけでなく美術作品にも親しめるような美術大学ならではの図書館を作ろうという、意欲的で柔軟性に富んだ発想から、「図書館」に「美術館・博物館」の機能を持たせた複合施設、武蔵野美術大学美術資料図書館を開館しました。その美術資料図書館が母体となり、現在の美術館・図書館は二つの大きな機能を兼ね備えたユニークな施設となったのです。現在、美術館としては、開館以来収集した3万点に及ぶポスターと400脚を超える近代椅子を中心に、4万点を超えるデザイン資料や美術作品のコレクションを持ち、年間を通じて多くの企画展を開催しています。また図書館としては、約32万冊の図書や学術雑誌・専門誌約5000タイトルを所蔵し、美術、デザインの専門書を中心とした図書館としても日本有数の規模を誇るまでになりました。さらに約9万点の国内有数のコレクションを持つ民俗資料室や、約2万点の映像資料を視聴できるイメージライブラリーを併設して、その展示や独自の活動によって、それぞれ属性や扱いの異なるさまざまな資料群を相互に関連づけ、融合の機会を生み出す場となっています。武蔵野美術大学 美術館・図書館は、本学の学生、教員の研究制作に役立つ情報拠点として、また社会に開かれた専門大学の研究機関として、教育研究機能の充実をめざして先端的な取組みを進めています。

 

 

・・・嗚呼、もう一度大学にもどれたらなあ。