薬箱・救急箱(3) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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《NEWS》2020.3.5ロイターより

新型コロナワクチン、アンジェスが共同開発へ 最短6カ月で臨床試験

アンジェス<4563.T>は5日、大阪大学と共同で新型コロナウイルス対策のための予防用DNAワクチンの開発に着手したと発表した。両者のDNAプラスミド製品の開発実績を生かす。すでに実験用ワクチンの製造を始めたという。DNAワクチンの製造は、不活化ウイルスをワクチンとする方法(弱毒化ワクチン)や遺伝子組換えウイルスタンパク質をワクチンとする方法に比べて、短期間で製造プロセスを確立することが可能という。 製造は、プラスミドDNAの製造技術と製造設備を持つタカラバイオ<4974.T>が担当する。大阪大学大学院の森下竜一教授(医学系研究科臨床遺伝子治療学)は記者会見で、共同開発するワクチンは短期間で大量生産することが可能とし、安全性が高く副作用も想定されないと説明した。その上で、早ければ6カ月で臨床試験ができるとの見通しを示した。アンジェスの山田英社長は、開発・製造に対する政府の助成金交付について交渉を始めていることを明らかにした。森下教授によると、現在はDNAプラスミド法によるワクチン製造を始めており、早ければ6カ月で臨床試験ができる見通しという。また、動物実験のためのワクチンはあと2週間程度でできるという。ただ、ワクチンの市販化までには、当局による承認が必要となる。ワクチンが市場に供給される時期について、山田社長はまだ不明としたが、森下教授は「承認手続きに関してどれだけ簡素化できるか各国規制当局とこれから相談したい」と述べた。森下教授によると、DNAプラスミドワクチンについては、10年以上前から12種類のDNAワクチン臨床試験で合計1400人以上に投与されており、高い安全性が確保されているという。このため、コロナウイルスのワクチンに関しても副作用は「想定されない」と述べた。

 

 

《NEWS》

●2020.3.2時事通信社より

フランスを代表する観光名所パリのルーブル美術館は1日、新型コロナウイルスへの感染を懸念する職員が就労を拒否したため、休業を余儀なくされた。職員代表らは2日、今後の方針を協議する。仏紙パリジャンによると、ルーブル美術館では1日、職員の代表者300人が集まって臨時の会合を開催。採決で298人が休業に賛成した。ルーブル美術館はホームページで「状況が変わり次第お伝えする」と述べ、謝罪した。ルーブル美術館には年間約1000万人が来場し、世界の美術館で最も訪問者数が多い。 

●2020.3.3TBSニュースより

新型コロナ恐れ ルーブル美術館休館

フランスのルーブル美術館では新型コロナウイルスに感染するおそれがあるとして、職員らが業務を停止し2日間にわたって休館しています。「ルーブル美術館前です。ご覧のように行列は全くできていません。新型コロナウイルスの影響をもろに受けています」(記者)ルーブル美術館では1日から従業員らが多数の来館者が訪れる環境は新型コロナウイルスに感染するおそれがあるとして業務を停止しています。2日も美術館の管理者側と従業員組合との話し合いが行われましたが、まとまらず、世界最多、年間960万人が訪れる美術館の休館が続いています。フランスでは労働者の命や健康に差し迫った危険がある場合、業務を放棄する権利が認められていて、従業員側は管理者や文化省に十分な安全対策を求めています。「モナリザ見たかったんですけど・・・残念です」(卒業旅行で来た日本人学生)「外国人などたくさんの人と毎日触れ合うし、従業員が怖がるのも理解できます」(フランス人観光客)フランスでは3人が死亡、191人が感染するなど新型コロナウイルスの感染が広がりをみせていて、先月29日から5000人以上が集まる屋内イベントの中止措置がとられています。

●2020.3.5時事通信社より

ルーブル美術館再開/感染防止追加措置で合意―

新型コロナウイルスの感染拡大を懸念する職員が勤務を拒否し、休業していたパリのルーブル美術館が4日、営業を4日ぶりに再開した。同美術館によると、アルコール消毒剤を増やすなどの感染を防止する追加措置で労働組合と合意に至った。職員が労働法に基づき自宅待機する権利を行使したため、美術館は今月1日から休館していた。フランスの労働法では、自身の健康や安全に明確かつ差し迫った危険がある場合、労働者には勤務から★「退く権利」があると規定されている。

 

 

《参考》2020.3.5ハフポスト日本版編集部より

新型コロナで記者に「なぜ専門家ではなく私に聞く?」サッカー・リバプール監督の回答に賞賛の声

「Why me?」

サッカーのイングランド・プレミアリーグでリバプールを率いるユルゲン・クロップ監督が、新型コロナウイルスによる肺炎に関する記者の質問に対し冷静に答えた。やり取りをイギリスのテレビ局「Channel 4」などが報じ、対応に賞賛が相次いでいる。3月3日(現地時間)、FAカップ(国内杯)のチェルシー戦後にクロップ監督が臨んだ記者会見。1人の記者が新型コロナウイルス感染拡大の影響について意見を求めた。するとクロップ監督は「なぜサッカーの監督の意見が重要だと思うのか分からない」「有名人が何を言っているのかというのは重要じゃない」と繰り返し、自身のように知識がない人ではなく、★専門家が発言すべき話題だと指摘。「政治やコロナウイルス。なぜ私に聞く?私は野球帽をかぶって、ヒゲもきちんと剃っていない」と疑問を呈した。さらに「もちろん心配はしている」★「この星に住む1人として、世界が安全で健康であってほしいし、全ての人がよい状態であることを願っている」とした上で、「新型コロナウイルスに関する私の意見は重要じゃない」と強調。チームなどの活動に関する判断についても「(知識のない)私は決断を下さない」と話した。感染拡大は世界中のサッカーも含めたイベントに多くの影響をもたらしている。様々な情報が出回る中での一歩引いた発言に対し、「自身の影響力を前提とした考え方が素晴らしい」「己が知らないということを知っている」などという声が上がっている。

 

・・・素晴らしい対応、発言だと思います。つい私たちは「知ったかぶり」をしたり、「評論家」みたいなことを言ったりします。「無知の知」を、再度自分に言い聞かせたいものです。

 

 

《無知の知》

古代ギリシャの哲学者であるソクラテスの、★「知らないことを自覚する」という哲学の出発点に向かう姿勢を簡略して表現した言葉です。この言葉は、「無知の知」ではなく、「不知の知」という表現が正しいとする論もあります。「無知」とは、知識が欠けることや愚かなことを意味していますが、ソクラテスが自覚しているのは「知らないこと=不知」であるためです。ソクラテス以前の哲学者は、タレスが「万物の根源は水である」と言い、ヘラクレイトスが「万物の根源は火である」と言うなど、万物の根源について探求し、それを知っている者として哲学者は「知者」(ソフィスト)と呼ばれていました。しかしソクラテスは「自分は何も知らない」そして「それを自覚している」といい、自分はソフィストではないとしたのです。ソクラテスの★真理を探究する哲学の基本となる概念である「無知の知(不知の知)」は、ギリシャ哲学の流れの中で画期的な考え方でした。

ソクラテスは「いかに生きるべきか」「よりよく生きること」について問い続けました。★無知である自分に気づいた時、人は安易な自己満足でごまかさず、自分と向き合い、真の知に近づこうとする探求が始まります。それはいかに生きるべきかの探求へもつながります。ソクラテスの「無知の知」は、よりよく生きるための指針でもあるのです。「知」への欲求は「知への愛」とされます。「哲学:フィロソフィー」の言葉のもととなったギリシャ語「フィロソフィア」は「知を愛する」という意味です。

ソクラテスが「自分が何も知らないということを自覚する」に思い至ったきっかけは、デルフォイの神託でした。デルフォイの神託とは、古代ギリシャにおいて最も重要で神聖な場所とされていたデルフォイの神託所で、神の預言として巫女を通じて授けられる言葉です。ある時、ソクラテスの弟子が、アテネで一番の知者は誰かとデルフォイの神託所で尋ねたところ、一番の知者はソクラテスである、と告げられます。それを聞いたソクラテスは、そのお告げの意味を解明するため、賢者とされる人や高名な人を尋ね歩きました。その結果、全ての人は★「何も知らないのに知っていると思い込んでいる」ということにソクラテスは気づき、やはり一番の知者は自分かもしれないと思うのです。なぜなら、★知らないということをわかっているという点が、知恵のある者だからです。
 

《参考》「無知の知」を生み出す神経基盤を発見!前頭極が未経験の出来事に対する確信度判断を担う/東京大学2018.9.5

https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/articles/z0508_00034.html

東京大学大学院医学研究科の宮本健太郎研究員(日本学術振興会特別研究員)、宮下保司客員教授(順天堂大学大学院医学系研究科特任教授)らの研究グループは、前頭葉の先端部にあたる前頭極が、未経験の出来事に対する確信度判断を担うことを発見しました。前頭極は自身の無知に対する自己意識―“無知の知”―を生み出すはたらきを担うことが示唆されました。

 

・・・私が「無知の知」を知ったのは、永山則夫さんの「無知の涙」からでした。

http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309402758/

 

 

「怒られぬ逆らえぬ吾 泣かれぬ死なれぬ吾 三才の赤子か」

https://dokushojin.com/article.html?i=1665

1969年、19歳のときに連続ピストル射殺事件で逮捕され、1997年に処刑されるまで獄中で文筆活動を続けた永山則夫の短歌である。小説も多く書き残しているが、『無知の涙』は主に手記、詩、短歌、俳句を収録している。掲出歌は1969年8月30日に詠んだ一首としてノートに記されている。この二週間前のノートには、「囚人は少しの反抗を見せても、口に出しても許されない。一、二才の赤ん坊同様なのである。夫れ夫れ囚人達の罪名を責めて、拳のコの字を見せても、口に出しても許されない。怒ることは許されないのである。」という記述があり、この一首の着想元であることがわかる。囚人である自分の立場を考えつつも、「人」であることの尊厳を叫ぼうとする歌だ。字足らずの不格好なリズムが妙にハマっている。囚人の短歌というのは島秋人、郷隼人など結構あるが、永山則夫の短歌は悔恨や贖罪の気持ちに満ちているわけでもなければ、むやみに悪態をついているわけでもない。徹底的に「囚人である自分の姿」を客観的に、突き放して詠んでいるような不思議な世界を作っている。短歌は石川啄木しか読んだことがなく、他の歌人を読む気も一切ないと手記に綴られているだけに文体は啄木をなぞったものだが、湿った抒情性は薄く乾いたような印象だ。短歌に限らず永山則夫の書くものはおしなべて、言葉を喪失した人間が言葉を取り戻そうとしているかのような異様な迫力を持った文体だ。(やまだ・わたる=歌人)

 

 

《NEWS》2019.4.24東京新聞より

家族から虐待…19歳で4人殺害/元死刑囚が描いた少年犯罪の背景

四人を殺害した犯行当時は十九歳で、一九九七年に死刑が執行された永山則夫元死刑囚の絵や著書を集めた展示会が二十四日から、北区の書店「青猫書房」(赤羽二)で始まる。警察の調書として残されたイラストなど約三十点を紹介。逮捕から五十年の節目に、現代に通じる少年犯罪の背景を社会に提起する。五月六日まで。展示会は、区内で永山元死刑囚の遺品を公開している「いのちのギャラリー」(志茂二)の主催。「後ずさりし、逃げようとしているみたいで驚いたわ」。ギャラリーを運営する市原みちえさん(73)は、調書に元死刑囚が描いたイラストの複写を見て語る。警備員を殺害する直前の描写だが、市原さんは、元死刑囚の片足に着目した。「取り調べで本人はほとんど話さなかったが、イラストから追い詰められた少年の心理が見えるようだ」と考える。元死刑囚は北海道網走市の貧しい家庭に生まれ、家族から虐待も受けた。集団就職で上京後の一九六八年、盗んだ拳銃で四人を射殺、翌年四月に逮捕された。獄中では罪と向き合おうと懸命に勉強し、多くの文学作品を発表。九七年に四十八歳で刑が執行された。ベストセラーになった手記「無知の涙」を読んだ市原さんは、元死刑囚と手紙のやりとりや面会を重ねた。最後の面会は執行の四日前。段ボール箱約百二十個の遺品を引き取った。児童虐待が繰り返され、世代間で連鎖する例もみられる現状に対し、市原さんは「子どもが健全に育つことは、大人、社会、国の責任」と指摘する。「どうすれば社会をよくできるかが問われる中で、『第二、第三の永山』を出さないためにできることを、永山はのこしている」展示会「ながやまのりおがのこしたもの」は、午前十一時~午後七時(日曜は同五時、最終日は同六時)。火曜定休。入場無料。二十七日午後一時から、元死刑囚の裁判などを支援した武田和夫さんによるトークイベントを開催(参加費千円)。期間中、関連映画の上映やコンサートも。問い合わせは、いのちのギャラリー=電090(9333)8807=へ。

 

 

・・・今まさに起こっている「新型コロナ災渦」にあたり、脱線のように思われるかもしれませんが、一人ひとりが真摯に自己を問わなければと、思うのです。