・・・この作者は「福田繁雄」さん(ランチはヘルメットをかぶって)を知っていたのだろうか?もし知らなかったとしたら、素晴らしい着眼です。知っていたのなら、さらなる展開を期待します。
《参考》「福田繁雄デザイン館」
028-6103岩手県二戸市石切所荷渡6-2二戸市シビックセンター内2階/0195-25-5411
https://www.nbsk.or.jp/fukuda/index.html
世界的グラフィックデザイナーとして著名な故福田繁雄先生(1932~2009)の作品を展示、紹介しております。よく知られている作品を中心にした常設展と年間2回の企画展を中心に、福田先生の創造力や発想の素晴らしさが体験できるデザイン館です。どうぞご利用下さい。
《NEWS》「赤崎水曜日郵便局」閉局、国内外から「物語」6000通/熊本
水曜日の出来事を手紙で送ると、第三者の水曜日の手紙が届く津奈木町のアートプロジェクト「赤崎水曜日郵便局」が2016年3月31日、閉局した。2013年6月の開局以来、「海の上の小学校」として知られた旧赤崎小(10年3月閉校)に設置の郵便ポストを通じて、国内外から6000通を超える「水曜日の物語」が交わされた。熊本県津奈木町にあるつなぎ美術館が主体となって、閉校となった海の上の旧赤崎小学校の校舎を舞台に「赤崎水曜日郵便局」が開局、2016年3月閉局後、再開局を望むたくさんの声が上がりました。
https://motion-gallery.net/projects/wed-post
●ディレクター・遠山昇司からのメッセージ
“トンネルをぬけた「その先」には、水曜日がありました”
海に浮かぶ「赤崎水曜日郵便局」の住所は、熊本県葦北郡津奈木町福浜165番地その先でした。 私たちが、手紙の宛先として設定した「その先」には、世界中からたくさんの水曜日の物語が届き、2016年3月30日水曜日の閉局後も再開局を望む多くの声と想いを頂いてきました。閉局後、新たな「その先」を探す旅をする中で、私は、宮城県東松島市にひっそりと存在する使われなくなった漁港と出会いました。その漁港こそが、今回の『鮫ヶ浦水曜日郵便局』の舞台となる旧鮫ヶ浦漁港です。旧鮫ヶ浦漁港に向かうには、大鮫隧道と呼ばれている素掘りのトンネルを通る必要があります。真っ暗なトンネル内を進んでいくと、ゆっくりと光が近づいてきます。そして、トンネルを抜けた先に、海が現れます。幾度となく、このトンネルへ入っては出ることを繰り返す中で、私は、この地の様々な物語を知ります。古くは、縄文時代から人々が生活していた松島湾沿岸地域の拠点的集落であったということ。戦時中は、この場所が、モーターボートに爆弾を積んだ特攻艇「震洋」の訓練所であったということ。その後、漁港となり、現在は、人がいなくなった静かな場所として存在しているということ。私たちは、トンネルをぬけた「その先」にささやかな希望とともに水曜日が届く場所を設定することにしました。『鮫ヶ浦水曜日郵便局』は、「その先」を静かに照らす灯台のような存在でありたい。そして、同じく地震の被災地でもある熊本から宮城へのお引越しには、トンネルをぬけた先に、ささやかな希望があって欲しいという願いを込めています。
https://kadobun.jp/reviews/572.html
●水曜日郵便局が起こした優しい奇跡の物語『水曜日の手紙』
文:東えりか/「本の旅人」2019年1月号より
一週間にたった一日、水曜日だけ開く郵便局がある。そこに送られてくるのは、水曜日に起こった出来事やその日の気持ちをつづった手紙。もちろん匿名で構わない。「水曜日郵便局」に全国から届いた手紙はシャッフルされ、ほかの誰かのところに転送される。そんなファンタジーのような郵便局が実在する。宮城県東松島市宮戸島の旧鮫ヶ浦漁港に「鮫ヶ浦水曜日郵便局」が開局したのは2017年12月6日(水)。一年間だけのプロジェクトなので、残念ながら2018年12月5日(水)に終わってしまった。もともと二〇一三年から一六年にあった熊本県津奈木町にある「つなぎ美術館」が企画した「赤崎水曜日郵便局」が元になっている。再開局の声に押され、プロジェクト発案者の一人が新たに見つけてきた場所、それが「鮫ヶ浦水曜日郵便局」だ。本書はこの「水曜日郵便局」を舞台にした連作短編小説である。少し人生に迷ったり岐路の真ん中で佇んだりした人が、この「水曜日郵便局」の存在を知り、手紙を書いたことでささやかな奇跡が起こる。登場人物はどこにでもいる普通の人だ。主人公の一人は主婦の井村直美。夫は小さな町工場の常務で父の跡を継ぐことになっている二代目だが、かなり際どい自転車操業を続けていて、忙しすぎてヘロヘロの毎日だ。直美自身も家計を助けるため、ネットの洋服屋の配送現場へパートに出ている。夜、家族が寝静まってからの楽しみは日記に心の毒を吐くこと。上司のパワハラ、義母のいじわる、夫の鈍感さ、など書きたいことはたくさんある。ある日、セレブで優雅な高校の同級生、伊織とお茶をした。「水曜日郵便局」の話は彼女から聞いた。だがそのあとで伊織の生活に嫉妬した直美は心無い言葉を吐いてしまう。後悔の念に苛まれた直美は、ふとこの「水曜日郵便局」を思い出す。手紙を書くまでにそんなに時間はかからなかった。もう一人の主人公は今井洋輝という三十三歳のサラリーマンだ。地方の美大を出てステーショナリーメーカーに就職した。同期入社の小沼はあっさり辞表を出し、今はプロのイラストレーターを目指している。収入は不安定だが夢を追いかける小沼を羨ましく思いつつ、婚約者との生活のため仕事は辞められない。「水曜日郵便局」の話を聞いたのは、婚約者の柿崎照美からだった。ホームページに書かれた局長メッセージに描かれていた絵に刺激を受け、アルコールの力を借りて書いた手紙は翌日投かんされた。この二人の手紙がお互いに配達された。そこには郵便局のちょっとした思惑も絡んでいるのだが、それはこの小説を読んでのお楽しみ。手紙に刺激を受け、二人の未来は思わぬ方向へ進んでいく。手紙を書かなくなってどれほど経つだろう。かつては雑誌に「ペンパル募集」コーナーが必ずあった。遠くの友達を作りたいと思えば、趣味の合う人に手紙を送るしか手段がなかった。今の女子高生にそんなことを言えば「信じられない」「キモい」と言われそうだ。
★手書きの手紙は少なくなってもネット上のメールやメッセージは盛んだ。むしろ昔より情報交換は頻繁だろう。だが考える時間がわずかで、読み返されることなく送られたメッセージは危ない。イジメや絶交が簡単に行われるのは言葉の行き違いがあるからだろう。「ラブレターは夜中に書いてはいけない」と言われたものだ。感情制御のしにくい夜中に書いた文章は、朝読み返すと顔から火が出るほど恥ずかしいことがある。『水曜日の手紙』のふたりは夜中に書いている。そしてどちらも読み返す時間はなかった。幸いなことにそれが功を奏したのだ。知らない相手だから起こった奇跡の物語をどうか楽しんでほしい。あ、でもメールは夜中に書かないほうがいいですよ。
・・・プロジェクトの在り方、いろいろ考えさせられます。「玉手箱プロジェクト」では「岡山からの手紙」という遠距離参加・出品をしていただいているところです。
・・・若いアートにふれ、いろいろな刺激をいただきました。ありがとうございました。